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第114話 悪役なら襲撃犯を許さない

 人間魔族交流機関。


 設立から間もない建物。


 そこは。


 人間と魔族が初めて同じ目的で集まる場所だった。


 だからこそ。


「狙われたか。」


 俺は現場を見る。


 壁は破壊。


 魔法痕。


 黒い煙。


 幸い。


 死者はいない。


「犯人は?」


 クラウス隊長が報告する。


「逃走しました。」


「ですが。」


 床に残された紋章。


「反魔族派の過激組織。」


「『白翼会』のものです。」


「……。」


 名前からして面倒そうだ。


 リリアが不安そうに建物を見る。


「ここまでしてしまうなんて……。」


 セレナは険しい顔。


「交流を壊したいのでしょう。」


「……。」


 悪役なら。


 怒りを見せる。


 しかし。


 俺は冷静に周囲を見る。


「違う。」


「?」


「目的は。」


「破壊ではない。」


 全員が見る。


「何が分かるんですか?」


「簡単だ。」


 床を見る。


「本棚。」


「机。」


「資料。」


「ほとんど壊されていない。」


「……。」


「狙ったのは。」


「人だ。」


 セレナの表情が変わる。


「脅迫……。」


「ああ。」


 交流機関にいる者へ。


 恐怖を植え付ける。


 それが目的。


「なら。」


 リリアが拳を握る。


「許せません。」


「……。」


 珍しい。


 リリアが怒っている。


 その時。


 魔族側の職員が近付いてきた。


「男爵様。」


「……。」


「我々は。」


「魔王領へ戻った方がいいのでしょうか。」


 声が震えている。


「人間の中で。」


「歓迎されていないなら。」


「……。」


 周囲が静かになる。


 ここが一番重要だ。


 俺は答える。


「帰るな。」


「え?」


「ここに残れ。」


「でも。」


「襲撃されたから逃げる。」


「それでは。」


「犯人の思う通りだ。」


「……。」


 魔族職員は目を見開く。


「怖くないわけではない。」


 俺は続ける。


「だが。」


「怖いから離れるなら。」


「何も変わらない。」


「……。」


 リリアが微笑む。


「男爵様。」


「?」


「今の言葉。」


「すごく良かったです。」


「違う。」


「?」


「普通のことを言っただけだ。」


 セレナが小さく笑う。


「それを言える人が少ないんですよ。」


 その夜。


 犯人から手紙が届いた。


『アルベルト・フォン・グランディアへ』


『次はお前だ』


『魔族を庇う偽善者には相応しい結末を与える』


「……。」


 俺は手紙を見る。


「俺を狙うか。」


 悪役なら。


 ここで笑う。


 しかし。


「面倒だ。」


 ただ。


 少しだけ。


 怒っていた。


 俺ではない。


 交流機関でもない。


 そこで暮らしている人たちを。


 利用されたことに。


「探す。」


 クラウス隊長が頷く。


「協力します。」


「私も。」


 リリアが言う。


「当然です。」


 セレナも続く。


「ここまで来たら。」


「最後まで付き合います。」


「……。」


 翌日。


 白翼会の拠点へ向けて。


 調査が始まった。


 しかし。


 そこには。


 予想外の人物が待っていた。

第114話を読んでいただきありがとうございます!


交流機関への襲撃事件が発生しました。


今回はアルベルトがただ敵を倒すのではなく、「恐怖にどう向き合うか」という部分が中心になりました。


次回、白翼会の正体へ迫ります!

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