第115話 悪役なら敵の本拠地へ乗り込む
白翼会。
反魔族派の過激組織。
その拠点があるという場所へ。
俺たちは向かっていた。
「本当に少人数で行くんですか?」
リリアが聞く。
「ああ。」
「危険ですよ。」
「大人数で行けば逃げる。」
セレナが頷く。
「確かに。」
「秘密組織なら。」
「こちらの動きを察知される可能性があります。」
「……。」
森の奥。
古い砦。
そこが白翼会の拠点だった。
「ここか。」
クラウス隊長が周囲を見る。
「警備は少ない。」
「罠の可能性があります。」
「……。」
なら。
悪役らしく。
正面から行く。
俺は門へ向かう。
「え?」
リリアが驚く。
「隠れないんですか?」
「必要ない。」
門の前。
大声で言う。
「いるなら出てこい。」
静寂。
数秒後。
門が開いた。
「……。」
中から。
一人の男が現れる。
白い装束。
白翼会の指導者らしい。
「アルベルト・フォン・グランディア。」
「来ると思っていた。」
「……。」
「魔族の味方をする。」
「愚かな男だ。」
「違う。」
「?」
「面倒だから来ただけだ。」
「……。」
リリアが後ろで小さくため息。
「またです。」
男は笑う。
「君は本当に。」
「自分を悪く見せるのが好きだな。」
「?」
「何の話だ。」
「……。」
男は表情を変える。
「魔族は危険だ。」
「歴史を見ろ。」
「奴らは何度も人間を襲った。」
「……。」
俺は聞く。
「なら。」
「今いる魔族は?」
「?」
「今。」
「交流機関で働いている魔族。」
「街で暮らしている魔族。」
「そいつらも敵なのか。」
「当然だ。」
即答。
「魔族は魔族だ。」
「……。」
なるほど。
話し合いでは難しい。
「なら。」
俺は言う。
「お前たちも。」
「人間だから危険だな。」
「なっ……。」
男の顔が変わる。
「何を言っている!」
「同じ理屈だ。」
「過去に悪い人間がいた。」
「だから。」
「今いる全員が悪い。」
「お前の言っていることはそういうことだ。」
「……。」
沈黙。
しかし。
男は怒鳴る。
「違う!」
「人間と魔族は違う!」
「……。」
その時。
砦の奥から声がした。
「隊長。」
「もうやめてください。」
「!」
若い女性が出てきた。
白翼会の服。
しかし。
震えている。
「彼らは。」
「本当は魔族を憎んでいるわけではありません。」
「何?」
男が振り返る。
「黙れ!」
女性は続ける。
「利用されているんです。」
「過去の戦争の記憶。」
「家族を失った悲しみ。」
「そこにつけ込まれて……。」
「……。」
俺は男を見る。
「黒幕がいるのか。」
女性は頷いた。
「はい。」
「白翼会を裏で操っている人間がいます。」
また。
黒幕。
仮面の男。
古代魔王。
そして。
今度は白翼会。
「……。」
俺はため息を吐く。
「またか。」
その瞬間。
砦の奥から。
拍手が聞こえた。
「素晴らしい。」
「やはり君は面白い。」
「……。」
聞き覚えのある声。
仮面。
黒いローブ。
「久しぶりだな。」
「アルベルト。」
仮面の男。
まだ終わっていなかった。
第115話を読んでいただきありがとうございます!
白翼会の背後に、再び黒幕の存在が見え始めました。
単なる人間と魔族の対立ではなく、憎しみを利用する者がいることが判明。
そして仮面の男が再登場しました。
次回、黒幕との因縁がさらに深まります!




