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第109話 悪役なら最強の敵を倒す

 古代魔王封印領域。


 第二形態へ移行した古代魔王。


 その姿は。


 先ほどまでとは別物だった。


 黒い鎧。


 巨大な角。


 周囲の魔力を吸収するような圧倒的な存在感。


「これが……。」


 魔王レオンハルトが呟く。


「本来の力。」


 古代魔王は笑う。


「懐かしい。」


「この感覚。」


「世界が我を恐れる。」


「……。」


 リリアが杖を握る。


「すごい魔力です……。」


 セレナも表情を引き締める。


「普通なら。」


「近付くことすら難しいですね。」


 しかし。


 俺は歩く。


「アルベルト。」


 魔王が呼ぶ。


「無茶をするな。」


「……。」


「違う。」


 俺は答える。


「終わらせるだけだ。」


 古代魔王が腕を振る。


 黒い斬撃。


 空間そのものが裂ける。


「危ない!」


 リリアが叫ぶ。


 だが。


 俺の前に。


 光の壁。


「……。」


 リリア。


「男爵様。」


「今度は。」


「私たちが守ります。」


「……。」


 一瞬。


 言葉が出なかった。


 今まで。


 守る側だった。


 守られることなど。


 考えたこともなかった。


「……。」


「助かった。」


 リリアが笑う。


「はい。」


 セレナが続く。


「珍しいですね。」


「何がだ。」


「素直に言いました。」


「……。」


 古代魔王が笑う。


「面白い。」


「貴様らは。」


「力ある者と弱き者。」


「本来なら。」


「共に戦うことなどない。」


「……。」


 魔王レオンハルトが前へ出る。


「それは。」


「過去の話だ。」


「今の我々は違う。」


「人間も。」


「魔族も。」


「同じ時代を生きている。」


「……。」


 古代魔王は少し黙る。


「ならば。」


「その絆ごと。」


「消し去ろう。」


 巨大な魔法陣。


 封印領域全体が黒く染まる。


「まずい。」


 セレナが言う。


「この魔法。」


「周囲全体を破壊します。」


「……。」


 なら。


 止める。


 俺は魔法陣へ近付く。


「無理だ!」


 古代魔王が叫ぶ。


「これは。」


「我の全魔力を込めた一撃!」


「……。」


 俺は手を伸ばす。


「なら。」


「全部受け取る。」


「何?」


 魔法陣へ触れる。


 黒い魔力が流れ込む。


「男爵様!」


「危険です!」


 だが。


 分かる。


 この魔力。


 破壊するためだけじゃない。


 制御できる。


「魔力は。」


「使う者次第だ。」


「……。」


 黒い光が。


 少しずつ白へ変わっていく。


「ありえない……。」


 古代魔王が驚く。


「我の力を。」


「浄化しているのか……。」


「違う。」


 俺は答える。


「利用しているだけだ。」


 その瞬間。


 魔法陣が消える。


 静寂。


 古代魔王が膝をつく。


「……。」


「見事だ。」


「貴様。」


「名は何と言った?」


「アルベルト。」


「そうか。」


 古代魔王は笑う。


「ならば覚えておこう。」


「この時代に。」


「力ではなく。」


「繋がりを選んだ者として。」


「……。」


 しかし。


 まだ終わっていない。


 古代魔王の身体から。


 黒い魔力が抜けていく。


「封印は。」


「完全には戻らない。」


 魔王が近付く。


「なら。」


「どうすればいい。」


 古代魔王は目を閉じる。


「選べ。」


「我を消すか。」


「それとも。」


「新たな時代を受け入れるか。」


「……。」


 全員の視線が俺へ集まる。


「なぜ俺を見る。」


 リリアが笑う。


「男爵様だからです。」


「……。」


 また。


 面倒な選択を任された。

第109話を読んでいただきありがとうございます!


古代魔王との決戦も最終局面へ。


アルベルトは力で押し切るだけではなく、仲間と共に戦うことで新しい答えへ近付いています。


次回、古代魔王との最後の選択が描かれます。

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