第105話 悪役なら黒幕の力を試す
魔力鉱山最深部。
黒い魔法陣の中央。
仮面の男が立っていた。
「君は本当に邪魔だ。」
男は言う。
「王都でも。」
「北部でも。」
「そして魔王領でも。」
「必ず私の計画の前に現れる。」
「……。」
俺はため息を吐く。
「それは。」
「お前が毎回面倒なことをするからだ。」
「……。」
仮面の男は少し黙った。
「面倒。」
「君はいつもそれだな。」
「そうだ。」
即答。
後ろでリリアが小さく笑う。
「本当に変わりませんね。」
セレナも頷く。
「敵を前にしても通常運転です。」
仮面の男の魔力が膨れる。
「ならば。」
「君のその余裕。」
「壊してみせる。」
魔法陣から黒い鎧が現れる。
巨大な魔力の塊。
「これは。」
ルシアが息を呑む。
「古代魔法兵……。」
「魔王軍でも封印指定されているものです。」
「……。」
仮面の男は笑う。
「古代の力。」
「これこそが。」
「世界を変える力だ。」
巨大な魔法兵が動く。
地面が揺れる。
「下がれ。」
俺は前へ出る。
「男爵様。」
リリアが呼ぶ。
「今回は。」
「私たちが先に道を作ります。」
「……。」
セレナも杖を構える。
「一人で倒す必要はありません。」
「……。」
以前なら。
断っていた。
だが。
「分かった。」
魔法兵の攻撃。
巨大な拳。
「セレナ!」
「はい!」
氷の壁。
衝撃を受け止める。
「リリア!」
「光よ!」
魔法兵の動きが鈍る。
「ルシア!」
「任せてください!」
魔族剣技。
足元へ斬撃。
巨体が揺れる。
「今です!」
全員の視線が俺へ集まる。
「……。」
なら。
終わらせる。
俺は拳を握る。
「一つ。」
魔力を集中。
「聞きたい。」
仮面の男を見る。
「なぜ。」
「そこまでして世界を変えたい。」
男は笑う。
「愚問だ。」
「この世界は間違っている。」
「強者が弱者を支配する。」
「人間も。」
「魔族も。」
「全て。」
「なら。」
「壊すしかない。」
「……。」
俺は答える。
「違う。」
「何がだ。」
「壊すだけでは。」
「何も変わらない。」
男の表情が変わる。
「君に何が分かる。」
「分からない。」
即答。
「だが。」
「少なくとも。」
「困っている奴を増やす方法は。」
「間違っている。」
「……。」
魔力が最大になる。
「終わりだ。」
一撃。
魔法兵の胸へ拳を叩き込む。
轟音。
古代魔法兵は崩れ落ちた。
「……。」
仮面の男が後退する。
「ありえない。」
「古代兵器を。」
「ただの一撃で……。」
俺は歩く。
「終わりか。」
男は笑った。
「いや。」
「まだだ。」
「……。」
黒い魔石を取り出す。
「これは。」
「本当の始まりだ。」
魔石が砕ける。
瞬間。
鉱山全体が揺れた。
「何をした!」
ルシアが叫ぶ。
仮面の男は消えながら言う。
「封印は。」
「もう解け始めている。」
「古代魔王は。」
「もうすぐ目覚める。」
「……。」
静寂。
残された魔法陣。
そして。
遠くから響く巨大な咆哮。
「……。」
リリアが青ざめる。
「今の音。」
セレナが呟く。
「まさか。」
ルシアは剣を握る。
「魔王城へ戻ります。」
「急がなければ。」
「本当に。」
「古代魔王が復活します。」
俺は空を見る。
「……。」
また。
静かな生活が遠ざかった。
第105話を読んでいただきありがとうございます!
仮面の男との再戦でした。
しかし敵の計画は止まらず、ついに古代魔王復活の段階へ進んでしまいます。
人間と魔族が協力する最後の戦いへ向けて、物語は大きく動き始めます。




