当たり前
気づけば祖父母も、この世から居なくなっていた。
リビングの戸は、まだ怖くて開けられていない。
息を引き取った日ですら、私は知らない。
研究に囚われ続けていた。
父も、もう私をみなくなった。
父はもう、この家に帰ってこなくなった。
生きてるかさえ、わからない。
私だけ。
私だけが、お母さんに囚われている。
自ら囚われている。
私が見捨てたらお母さん一人になっちゃうよね。
救われなくなっちゃうよね。
可哀想なお母さん。
もうすぐだよ。
もうちょっと我慢してね、お母さん。
助けてあげるから。
ねぇお母さん。
当たり前に囚われなくても
いいんだよね?
私はリビングの扉をあけた。
そこには少し腐敗の進んだ、祖父母の遺体があった。
「ごめんね、おじいちゃん、おばあちゃん。
でも、こんな私を許してくれるよね。
おじいちゃんたちなら―――」
これもお母さんのためなの。
プレゼントだと思って、受け取ってほしいな。
見慣れていた祖父母が、怪物たちの手に染められていく。
得体の知れないものに、蝕まれていく。
ひたすら眺めた。
お腹が空いたな、久しぶりにナクドが食べたいな。
そんなことを考えていたらいつの間にか
怪物たちが全て、祖父母の体内に入っていた。
何時間たっても何も起きなかった。
呆れた。
私が今までしたことは、無駄だったんだ。
もう私も、死んでしまえばいいのに。
私の願いは、届かなかったんだ。
最後に祖父母に謝ろうと、祖父母の方をみた。
「おじい、ちゃん?」
思わず息を呑んだ。
目から、目から―――
白い涙―――いや、糸が、溢れていた。
「あぁ―――」
やっぱり、救われたじゃない。
―――ねぇお母さん。
本編はこれで完結です!
明日の朝8時に、アフターストーリーが投稿されるのでそちらの方もぜひお楽しみください!




