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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第九十八章 蠱を練る艱難

「何だと!?あの小僧こぞう二転蛊師にてんこしになり、内務堂ないむどう分家任務ぶんけにんむ申請しんせいしただと!?」伯父おじ古月凍土こげつ とうどおどろきといかりが)()じったこえ)会客室かいきゃくしつ)ひび)かせた。


「そのとお)りです。元石げんせき)いた)きましたが、かれ)阻止そし)できず三日後みっかご)任務にんむ)わた)すとつた)えるのが精一杯せいいっぱい)でした」かたわ)らにすわ)中年ちゅうねん)男性蛊師だんせいこし)こた)える。


古月凍土こげつ とうど)内心ないしん)わら)った。「『三日みっか)おく)らせるのが限界げんかい)』だと?かね)無心むしん))まってる」


いま)遺産いさん)保全ほぜん)最優先さいゆうせん)だ! この餓鬼がき)め、成長せいちょう)はや)すぎて気味きみ)わる)いわ!」凍土とうど)ひたい)つめ)たいあせ)つた)う。


)らせに)ただけです。失礼しつれい)男性蛊師だんせいこし)))がる。


)った! 老弟おとうと)よ」凍土とうど)あわ)てて錢袋ぜにぶくろ)を取りとりだ)男性蛊師だんせいこし))))けた。「もうすこ)協力きょうりょく)を……」


元石げんせき)ふく)らんだふくろ)ふところ)おさ)めた蛊師こし)態度たいど)一変いっぺん)させほが)らかにわら)った:「凍土とうど)兄貴あにき)遠慮えんりょ)すんなって! 十年じゅうねん)まえ)からのなか)じゃねえか。安心あんしん)しろ、方源ほうげん)には最悪さいあく)任務にんむ)))けてやる。ただしやつ)ほか)蛊師こし)やと)可能性かのうせい)には注意ちゅうい)しろよ」


「フフフ、そのてん心配無用しんぱいむようだ。兄貴あにき引退いんたいしたが人脈じんみゃくのこってる。やつうごきは監視かんしさせてる。族規ぞくき違反いはんやとえば、すなわ証拠しょうこつかめるってわけさ」


「それなら安心あんしんだ。では失礼しつれい

見送みおくりしよう」

かまわん、どまれ」


古月凍土こげつ とうど蛊師こし背中せなか見送みおくり、作りわらいが徐々(じょじょ)にくずれていった。


「この方源ほうげん丙等へいとう資質ししつ二転にてんとは……角三かくぞうらはなにをやってたんだ! 生身なまみひと監視かんしもできぬとは!」


全員ぜんいん獣潮じゅうちょうぬとは不甲斐ふがいない。二転にてんした以上いじょう遺産相続任務いさんそうぞくにんむ強制きょうせいされる。従来じゅうらい抑止よくし手段しゅだん使つかえんが……」


て! やつうんつよい。前回ぜんかい獣潮じゅうちょうれた。万一まんいち任務にんむ達成たっせいされたら……最悪さいあく想定そうていせねば」


老獪ろうかい古月凍土こげつ とうど今日きょうまでびてきたのは、人脈操作じんみゃくそうささいあってこそだ。


しの方源ほうげんとは、人付ひとづいの手腕しゅわん格段かくだん上回うわまわっている。


……


蜜酒みしゅ採取さいしゅだと?」方源ほうげん遺産任務いさんにんむ内容ないよう確認かくにんし、ひややかにひかった。黄金蜂おうごんばち蜜酒みしゅ五両ごりょうあつめるという厄介やっかい任務にんむだ。拳大こぶしだい黒金模様くろきんもようはち毒針どくばりするどく、攻撃的こうげきてき性質せいしつられる。


普通ふつう小型こがた蜂群はちむれには蜂蜜はちみつしかない。中型ちゅうがた以上の長期間ちょうきかん熟成じゅくせいされたものだけが蜜酒みしゅとなる。


五人組ごにんぐみでも難易度なんいどたか任務にんむだ。防御用ぼうぎょう蛊虫こちゅうければはち攻撃こうげきえられん。叔父おじ仕業しわざちがいない……だが計算違けいさんちがいだ」方源ほうげん内心ないしん嘲笑あざわらった。


花酒行者かしゅぎょうじゃ遺産いざいいまいてくる。


表立おもてだって行動こうどうすれば対策たいさくられやすいが、秘密ひみつかかえていれば相手あいてうちめない。


「ただし玉皮蛊ぎょくひこだけでは不十分ふじゅうぶん二転にてん白玉蛊はくぎょくこ昇格しょうかくすれば楽勝らくしょうだろう」


危険きけん試行錯誤しこうさくごける豊富ほうふ経験けいけんが、方源ほうげん無駄むだな回りみちからすくった。


現在げんざい二転初階にてんしょかい蛊師こしながら、春秋蝉しゅんじゅうせみ以外いがいは全て(すべて)一転いってん蛊虫こちゅう所持しょじしている状況じょうきょうだ。


大関刀だいかんとうるう巨漢きょかん小刀こがたなにぎっているようなもの。本来ほんらい実力じつりょく発揮はっきできぬ」



方源ほうげんもとには七匹ななひき蛊虫こちゅう存在そんざいする。


本命蛊ほんめいこ春秋蝉しゅんじゅうせみ月光蛊げっこうこ酒虫しゅちゅう白豕蛊はくしこ玉皮蛊ぎょくひこ、そして錆蛊さびこ二匹にひき


このなか月光蛊げっこうこ錆蛊さびこ二匹にひき合練ごうれんすれば二転にてん月芒蛊げつぼうこが、白豕蛊はくしこ玉皮蛊ぎょくひこ合練ごうれんすれば白玉蛊はくぎょくこ誕生たんじょうする。


月芒蛊げつぼうこ攻撃力こうげきりょく飛躍ひやくを、白玉蛊はくぎょくこ防御力ぼうぎょりょく向上こうじょう意味いみする。


元石げんせき潤沢じゅんたくであれば両方りょうほうるのだが、二転突破にてんとっぱ大部分だいぶぶん消費しょうひしたいま)のこ)りでは一度いちど)合練ごうれん)しかできない。


まよ)余地よち)なく白玉蛊はくぎょくこ)えら)ぶべきだ。蜜酒みしゅ)採取さいしゅ)可能かのう)になるうえ)花酒行者かしゅぎょうじゃ)遺産いさん)解明かいめい)にも役立やくだ)つ。しかし失敗しっぱい)したら……」


つめ)たいあせ)背中せなか)つた)う。経済的けいざいてき)限界げんかい)ちか)づいており、失敗しっぱい)すれば遺産相続いさんそうぞく)不可能ふかのう)になり、成長速度せいちょうそくど)致命的ちめいてき)遅延ちえん)する。


成功せいこう)すれば前途ぜんと)洋々(ようよう)、失敗しっぱい)すれば奈落ならく)そこ)だ)



蛊師こしみずからの元海げんかい基盤きばんとし、蛊虫こちゅう手段しゅだんとする。くして蛊師こし存在そんざいせず、り・やしない・もちいる――これらみっつのみちきぬ探究たんきゅうようする」


部屋へやの中で族長ぞくちょう古月博こげつ はく方正ほうせい丁寧ていねいかしていた。


るというてんでは、すで蛊虫こちゅう煉化れんかするすべっておるだろう。だがそれらは単煉たんれんぎぬ。より重要じゅうようなのは合練ごうれんだ」


ことなる蛊虫こちゅう合練ごうれんすれば、より高次こうじへと進化しんかする。生命せいめい昇華しょうかえよう。方正ほうせいよ、おまえすで二転にてんいきたっしているのに、にする蛊虫こちゅう一転いってんばかり。合練ごうれんすべきときだ」


方正ほうせいう:「では族長ぞくちょう、どのように合練ごうれんすれば?」


古月博こげつ はくこたえる:「合練ごうれんには秘方ひほうる。蛊虫こちゅうの組みわせによっては相性あいしょうわるい。古月一族こげついちぞく月光蛊げっこうこ研究けんきゅうに最も注力ちゅうりょくし、いま五転ごてん秘方ひほうふた掌中しょうちゅうおさめておる」


五転秘方ごてんひほうとは?」


「その秘方ひほうしたが合練ごうれんかさねれば、最終的さいしゅうてき五転ごてん宝月光王蛊ほうげっこうおうこ』をせる。おまえ玉皮蛊ぎょくひこ月光蛊げっこうこはその秘方ひほう初期しょき段階だんかいかなっておる」


宝月光王蛊ほうげっこうおうこ……!」方正ほうせいかがやいた。


「フフフ、五転ごてんはなしはまだはやい。まず玉皮蛊ぎょくひこ月光蛊げっこうこを取りとりだせ。二転にてん月霓裳げつげいしょう』へと合練ごうれんする方法ほうほうおしえよう」


古月博こげつ はくおごそかにつづけた:「合練ごうれん要諦ようてい多意識統御たいしきとうぎょだ。すで煉化れんかした両蛊りょうこ意識いしき融合ゆうごうさせねばならん。玉皮ぎょくひ守護意識しゅごいしき月光げっこう攻撃意識こうげきいしきを、おの精神せいしんつむわせるのだ」


融合ゆうごうさせる……?」方正ほうせいまばたきをかえし、困惑こんわくした表情ひょうじょうかべた。


古月博こげつ はくおだやかにわらった:「心配しんぱい無用むよう練習れんしゅうかさねれば感覚かんかくつかめる。さあはじめよう」


「はい」方正ほうせいうなずき、赤鉄真元せきてつしんげんけむりのようにげる。玉皮蛊ぎょくひこ月光蛊げっこうこちゅういた。


じた方正ほうせいは、両蛊りょうこ意識いしきさぐ統御とうぎょはじめた。


古月博こげつ はく見守みまもなか二匹にひきたがいを周回しゅうかいする星辰せいしんのようだった。意識いしき同調どうちょうすすむにつれ、距離きょりちぢまっていく。


三時間さんじかん試行錯誤しこうさくごすえ両者りょうしゃ意識いしき完全かんぜん融合ゆうごうした瞬間しゅんかん——


パッ!


玉皮蛊ぎょくひこ月光蛊げっこうこまぶしい白光はっこうはなち、かおおおきさの光球こうきゅう形成けいせいした。


現状維持げんじょういじだ。ひかりなか元石げんせき))()め」古月博こげつ はく)指示しじ)する。


方正ほうせい)元石げんせき)ほう))げると、いし)純粋じゅんすい)真元しんげん)へと変容へんよう)し、白色はくしょく)こな)だけが布団ふとん))そそ)いだ。


つづ)けろ。二転にてん))あらわ)れるまで」


つぎ)元石げんせき)))んだ刹那せつな)白光はっこう)突然とつぜん))え、両蛊りょうこ)反対方向はんたいほうこう)はじ)かれた。


ガチャン!


玉皮蛊ぎょくひこ)ゆか)ころ)がり、月光蛊げっこうこ)かべ)たた)きつけられた。


合練ごうれん)……失敗しっぱい)か」古月博こげつ はく)にが)表情ひょうじょう)つぶや)いた。


「しまった!意識いしき融合ゆうごう維持いじわすれてた!」方正ほうせい即座そくざみずからのあやまちに気付きづいた。


古月博こげつ はくなぐさめるようにった:「心配しんぱいするな。最初さいしょ失敗しっぱいたりまえだ」しかしつづけて警告けいこくした:「だが失敗しっぱいかさぎると、月光蛊げっこうこ玉皮蛊ぎょくひこ消滅しょうめつするぞ」


方正ほうせい両蛊りょうこ召還しょうかんすると、月光蛊げっこうこ表面ひょうめんかすかな亀裂きれつはしり、玉皮蛊ぎょくひこ元気げんき様子ようすだった。


かれこころおもしずんだ。煉蠱れんこむずかしさをみてかんじた。


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