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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百七十五節:杀招完善

「ウォーン──!」


(おおかみ)遠吠(とおぼ)えが突然(とつぜん)(ひび)(わた)り、大群(おおむれ)亀甲狼(きっこうろう)前方(ぜんぽう)(あら)われた。


(おおかみ)だ、何故(なぜ)狼の()れが?」


潘平(はんぺい)(うご)きを一瞬(いっしゅん)()め、(おどろ)いた表情(ひょうじょう)()かべた。


常飚(じょうひょう)顔色(かおいろ)(くも)らせた。


方源(ほうげん)(けん)()(らい)(かれ)(もっと)(きら)動物(どうぶつ)(おおかみ)であった。


しかし(かれ)は、方源(ほうげん)()(かん)掌握(しょうあく)しているとは(ゆめ)にも(おも)わない。


(ひく)(しず)んだ(こえ)()った。


今回(こんかい)目的(もくてき)様子見(ようすみ)(しゅ)だ。


(しか)状況(じょうきょう)()わった以上(いじょう)一先(ひとま)()(おおかみ)(ども)始末(しまつ)してから、(あらた)めて見定(みさだ)めよう。」


「うむ!」


潘平(はんぺい)(うなず)いて(うけが)いった。


両人(りょうにん)協力(きょうりょく)して狼群(おおかみむれ)(おそ)()かった。


当初(とうしょ)両人(りょうにん)優勢(ゆうせい)で、(おお)いに(あば)(まわ)った。


普通(ふつう)亀甲狼(きっこうろう)など、両人(りょうにん)(てき)でないのは当然(とうぜん)であった。


しかし()もなく、狼群(おおかみむれ)()()なく(あら)われ、朱炎狼(しゅえんろう)水狼(すいろう)風狼(ふうろう)など(ほか)品種(ひんしゅ)(あら)われ(はじ)めた。


(さら)には狂狼(きょうろう)白眼狼(はくがんろう)などの異獣(いじゅう)()れも(あら)われた。


次第(しだい)両人(りょうにん)()()えなくなっていった。


何故(なぜ)()(ほど)多くの(おおかみ)()れが?」


()(かん)は、闖关(ちんかん)する蛊師(こし)戦闘能力(せんとうのうりょく)(ため)すと()うのか?」


大量(たいりょう)千狼王(せんろうおう)万狼王(ばんろうおう)戦場(せんじょう)加勢(かせい)し、潘平(はんぺい)常飚(じょうひょう)顔色(かおいろ)次第(しだい)(けん)しくなっていった。


()(かん)(むずか)()ぎる!」


潘平(はんぺい)感嘆(かんたん)()じりに()った。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)は、(かん)(すす)(ほど)難易度(なんいど)()がる。


(こと)第九十関(だいきゅうじゅうかん)から最終(さいしゅう)第百関(だいひゃっかん)までは、(もっと)艱難(かんなん)である。」


常飚(じょうひょう)同調(どうちょう)するように(こた)えた。


(さら)片時(かたとき)(たたか)ううちに、両人(りょうにん)()()れなくなった。


状況(じょうきょう)(すで)把握(はあく)した。


第九十関(だいきゅうじゅうかん)には迷宮(めいきゅう)だけでなく、(おおかみ)()れも存在(そんざい)する!」


常飚(じょうひょう)(しず)んだ(こえ)総括(そうかつ)した。


両側(りょうがわ)とも(かべ)で、地形(ちけい)(せま)く、人海戦術(じんかいせんじゅつ)使(つか)えぬ。如何(どう)すれば良い?」


潘平(はんぺい)(まゆ)をひそめた。


一旦(いったん)撤退(てったい)し、(あらた)めて協議(きょうぎ)しよう。」


常飚(じょうひょう)嘆息(たんそく)()じりに()った。


(かれ)潘平(はんぺい)巨陽血脉(きょようけつみゃく)()たず、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)には来客令(らいきゃくれい)(はい)っていた。


来客令(らいきゃくれい)貴重(きちょう)なため、彼ら(かれら)の出入(ではい)りには毎回(まいかい)多額(たがく)費用(ひよう)がかかるのだ。


()かった!」


潘平(はんぺい)以前(いぜん)から撤退(てったい)(かんが)えていた。


(かれ)眼前(がんぜん)の狼の(おおかみのむ)れを(にら)みつけ、()()いしばって()った。


畜生(ちくしょう)めの狼の(おおかみのこ)(ども)よ、(おそ)(はや)くお前等(まえら)狼王(ろうおう)()(つぶ)し、徹底的(てっていてき)屈辱(くつじょく)(あじ)わわせてやる!


はははは……」


(かれ)(のろ)いの言葉(ことば)(なか)の「狼王(ろうおう)」が、方源(ほうげん)()していることは()うまでもない。


「えっ!」


次の瞬間(しゅんかん)潘平(はんぺい)高笑(たかわら)いは(さえぎ)られ、恐怖(きょうふ)(ゆが)んだ表情(ひょうじょう)()(かお)()(かた)まった。


(なん)という(こと)だ!()られないと()うのか!?」


(そば)では常飚(じょうひょう)も、()深刻(しんこく)事態(じたい)気付(きづ)いていた。


元来(がんらい)両人(りょうにん)来客令(らいきゃくれい)楼内(ろうない)(はい)り、()(ねん)じるだけで退出(たいしゅつ)できた。


度重(たびかさ)なる出入(ではい)りで、(すで)()()っていた(はず)だった。


(しか)(いま)方源(ほうげん)()階層(かいそう)掌握(しょうあく)し、五角楼(ごかくろう)主令(しゅれい)来客令(らいきゃくれい)凌駕(りょうが)した(ため)彼等(かれら)(かご)(とり)(ごと)く、絶体絶命(ぜったいぜつめい)窮地(きゅうち)(おちい)っていた。


畜生(ちくしょう)()れで如何(どう)すれば良い!?


(おれ)真元(しんげん)(のこ)三割(さんわり)しかない!」


潘平(はんぺい)(さけ)んだ――()(こえ)には(あせ)りと恐慌(きょうこう)()ちていた。


常飚(じょうひょう)顔色(かおいろ)(きび)しくして、(かる)(かつ)した:「()()け!」


(かれ)状況(じょうきょう)潘平(はんぺい)より(すこ)()く、空窺(くうき)(なか)真元(しんげん)はまだ半分(はんぶん)(のこ)っている。


しかし真元(しんげん)完璧(かんぺい)状態(じょうたい)であっても、目前(もくぜん)狼群(おおかみむれ)()()なく(あら)われるので、早晩(そうばん)消耗(しょうもう)()きてしまう。


()状況(じょうきょう)滅多(めった)()い。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)何故(なぜ)()られないのか?


()関卡(かんか)相当(そうとう)古怪(こかい)で、多分(たぶん)蛊師(こし)胆力(たんりょく)(ため)しているのだ!


(けっ)して(ひる)んではならない!」


常飚(じょうひょう)一考(いっこう)した(のち)(また)(さけ)んだ。


潘平(はんぺい)()言葉(ことば)()き、驚惶(きょうこう)(じょう)(すこ)(やわ)らいた。


(かれ)過去(かこ)歴史(れきし)において、(たし)かに古怪(こかい)関卡(かんか)()り、(それ)(ほか)ならぬ蛊師(こし)心境(しんきょう)(ため)すものだったことを(おぼ)えていた。


此等(これら)関卡(かんか)では、往々(おうおう)にして蛊師(こし)(ひる)めば(ひる)(ほど)直面(ちょくめん)する怪物(かいぶつ)威力(いりょく)(つよ)まるのだった。


潘平(はんぺい)常飚(じょうひょう)二人(ふたり)()いられて冷静(れいせい)(よそお)い、狼群(おおかみむれ)包囲網(ほういもう)からの突破(とっぱ)(こころ)みた。


しかし方源(ほうげん)()(かん)掌握(しょうあく)しており、所謂(いわゆる)迷宮(めいきゅう)など、(かれ)心中(しんちゅう)では一目瞭然(いちもくりょうぜん)、隅々(すみずみ)まで把握(はあく)されていた。


(かれ)狼群(おおかみむれ)自在(じざい)(あやつ)り、(きわ)めて(かろ)々(が)と指揮(しき)する。


潘平(はんぺい)常飚(じょうひょう)如何(いか)突撃(とつげき)しようとも、()()なく(あら)たな狼群(おおかみむれ)(あら)われ、包囲(ほうい)追撃(ついげき)()(かえ)す。


(いな)此処(ここ)()(わけ)には()かぬ!


畜生(ちくしょう)めの(おおかみ)(ども)()れでも()らえ!」


潘平(はんぺい)真元(しんげん)枯渇(こかつ)し、()()く「六臂天尸王(ろっぴてんしおう)」の殺招(さっしょう)発動(はつどう)した。


(かれ)八本(やっぽん)(うで)を持つ僵尸(きょうし)()し、戦闘力(せんとうりょく)急激(きゅうげき)上昇(じょうしょう)


()(いた)(ところ)狂瀾(きょうらん)()()こし、狼群(おおかみむれ)甚大(じんだい)損害(そんがい)(あた)え、(はば)(もの)なき(いきお)いを()せた。


常飚(じょうひょう)真元(しんげん)大切(たいせつ)使(つか)い、潘平(はんぺい)(うし)ろについて()き、(おお)きく体力(たいりょく)節約(せつやく)した。


しかし()(きょう)(なが)(つづ)かず、()もなく潘平(はんぺい)真元(しんげん)完全(かんぜん)枯渇(こかつ)してしまった。


常飚(じょうひょう)(あわ)てて(かれ)(たす)()し、()った。


()危機(きき)(さい)し、我々(われわれ)が(こころ)(ひと)つにし、協力(きょうりょく)して(はじ)めて、()()びる希望(きぼう)()まれる。


貴様(きさま)(やす)み、元石(げんせき)真元(しんげん)回復(かいふく)せよ。


()れが(まも)る!」


常飚(じょうひょう)(また)六臂天尸王(ろっぴてんしおう)」の殺招(さっしょう)発動(はつどう)し、潘平(はんぺい)(かた)(まも)()いた。


()くして二人(ふたり)(たが)いに(たす)()い、(かえ)って局面(きょくめん)安定(あんてい)させた。


()れから七、八日(しち、はちにち)が()ぎ、常飚(じょうひょう)潘平(はんぺい)真元(しんげん)(ふたた)()き、もはや()(こた)えられなくなった。


()れは()てして此処(ここ)()ぬのか?」


潘平(はんぺい)(てん)(あお)いで怒号(どごう)した。


畜生(ちくしょう)(かなら)出口(でぐち)()(はず)だ!


絶対(ぜったい)に!」


常飚(じょうひょう)平素(へいそ)風格(ふうかく)(うしな)い、(わめ)(さけ)んだ。


両者(りょうしゃ)絶望(ぜつぼう)(おちい)った()(とき)前方(ぜんぽう)()がり(かど)に、(なん)(やま)(ごと)()まれた元石(げんせき)発見(はっけん)した。


元石(げんせき)だ!」


小山(こやま)(よう)元石(げんせき)()(ほど)多く、()()(うたが)う!」


絶体絶命(ぜったいぜつめい)(なか)での(おも)いがけない(すく)い、両人(りょうにん)(おお)いに(よろこ)び、(のこ)された(ちから)(ふる)()こして殺到(さっとう)し、元石(げんせき)から真元(しんげん)吸収(きゅうしゅう)して、(ふたた)局面(きょくめん)安定(あんてい)させた。


()かった、()かった!()(かん)(もと)より蛊師(こし)耐久力(たいきゅうりょく)(ため)すものだったのか!」


常飚(じょうひょう)欣喜雀躍(きんきじゃくやく)(たい)(さけ)(ごえ)()げた。


成程(なるほど)(しか)り。」


潘平(はんぺい)()言葉(ことば)()いて豁然(かつぜん)として(さと)った。


両者(りょうしゃ)(おお)いにはしゃいだが、自身(じしん)(からだ)(あら)われた異変(いへん)(まった)気付(きづ)いていない。


六臂天尸王(ろっぴてんしおう)」の殺招(さっしょう)発動(はつどう)する回数(かいすう)()えるに()れて、彼等(かれら)(からだ)には回復不能(かいふくふのう)尸斑(しはん)()()がっていた。


()元石(げんせき)(やま)は、我々(われわれ)が(さら)に二、三ヶ月(に、さんかげつ)は()(こた)えるのに(じゅう)(ぶん)だ。」


潘平(はんぺい)元石(げんせき)小山(こやま)()()き、(うれ)しさの(あま)りに(なみだ)()かべて(よろこ)んだ。


(いそ)いで真元(しんげん)回復(かいふく)せよ。


()して(やま)(から)になるを()つべきでは()い。


(ほか)にも元石(げんせき)(やま)()(はず)だ。


(かわ)けば(おおかみ)()()み、()えば(おおかみ)(にく)()らう。


()(よう)()(つづ)ければ、()(かん)突破(とっぱ)できるかも()れぬ。」


常飚(じょうひょう)双眸(そうぼう)(するど)(かがや)いた。


常兄(じょうけい)()(こと)(ただ)至言(しげん)なり!」


潘平(はんぺい)躍起(やっき)になって()()がり、常飚(じょうひょう)(えが)いた光景(こうけい)(かお)紅潮(こうちょう)させた。


()(かん)()くも艱難(かんなん)として、(まこと)九死(きゅうし)一生(いっしょう)()るが(ごと)し。


()(かん)打通(だつう)せば、如何(いか)なる(あつ)褒賞(ほうしょう)()られるのか!」


常飚(じょうひょう)狼群(おおかみむれ)攻勢(こうせい)(ふせ)(なが)ら、長息(ちょうそく)()じりに()った。


(いま)こそ理解(りかい)した。


何故(なぜ)()(かん)()(すす)むみで退(しりぞ)けぬのかを。


安易(あんい)撤退(てったい)できては、如何(いか)にして闖关(ちんかん)する蛊師(こし)試練(しれん)できよう。」


(あわ)れなるかな、両人(りょうにん)(いま)()らない。


()元石(げんせき)小山(こやま)が、彼等(かれら)仇敵(きゅうてき)である方源(ほうげん)故意(こい)此処(ここ)(のこ)したものだということを。


()目的(もくてき)は、(さら)なる試験(しけん)(ため)に、彼等(かれら)殺招(さっしょう)()(かえ)使用(しよう)させることにある。


状況(じょうきょう)(つね)方源(ほうげん)掌握(しょうあく)(なか)にある。


仮令(たとえ)両人(りょうにん)殺招(さっしょう)使(つか)いたく()くとも、元来(がんらい)手段(しゅだん)(てき)(たい)すれば、方源(ほうげん)狼群(おおかみむれ)(あやつ)って猛攻(もうこう)仕掛(しか)け、窮地(きゅうち)状況(じょうきょう)(つく)()し、両人(りょうにん)殺手锏(さっしゅけん)使(つか)わざるを()なくさせるのだ。


方源(ほうげん)()心配(しんぱい)杞憂(きゆう)であった。


両人(りょうにん)殺招(さっしょう)使(つか)えば使(つか)(ほど)次第(しだい)手応(てごた)えを(かん)じ、潜在意識(せんざいいしき)(なか)依存心(いぞんしん)芽生(めば)(はじ)めた。


(つづ)戦闘(せんとう)では、(みずか)らの本来(ほんらい)手段(しゅだん)使(つか)うことは(まれ)となっていった。


彼等(かれら)(からだ)尸斑(しはん)()(あら)われ、(すで)身体(しんたい)深刻(しんこく)(むしば)んでいたことに気付(きづ)いた(とき)両人(りょうにん)愕然(がくぜん)とした。


(しか)()(とき)(すで)に、手遅(ておく)れであった。


無念(むねん)である…


此処(ここ)()てるとは!


狼王(ろうおう)よ、たとえ(おに)()ってでも貴様(きさま)()()めて()せろ!」


潘平(はんぺい)(さき)()んだ。


最期(さいご)瞬間(しゅんかん)(かれ)方源(ほうげん)への呪詛(じゅそ)()()した。


数日後(すうじつご)常飚(じょうひょう)激戦(げきせん)()てに力尽(ちからつ)きた。


(かれ)()して(まぶた)見開(みひら)いたままだった。


(いき)()える直前(ちょくぜん)(かれ)(うめ)くように(つぶや)いた。


出口(でぐち)は…


(いった)出口(でぐち)何処(どこ)に…」


(かれ)には(おお)すぎる心配事(しんぱいごと)や、未練(みれん)(おお)かった。


殺狼同盟(さつろうどうめい)はまだ草創期(そうそうき)にあり、馬英傑(ばえいけつ)拉致(らち)して仲間(なかま)()わらせる(はかり)ごとは(はじ)まったばかりだった。最も(かれ)(こころ)(いた)めているのは、実子(じっし)常極右(じょうきょくう)のことだった。(じつ)()えば、常飚(じょうひょう)(あわ)れな(ひと)なのである。


名声(めいせい)のため、(かれ)最期(さいご)まで実子(じっし)(みと)めることができなかった。常極右(じょうきょくう)から「義父(ぎふ)」「義父(ぎふ)」と呼ばれるしかなかった。


それでもまだ不安(ふあん)で、(かれ)(おお)(かく)すため、数人(すうにん)孤児(こじ)義子(ぎし)義女(ぎじょ)として(むか)()れた。その(なか)一人(ひとり)が、常麗(じょうれい)なのである。


(かれ)苦心孤詣(くしんこけい)した。潜伏一生(せんぷくいっしょう)数多(あまた)謀略(ぼうりゃく)(めぐ)らせておきながら、臨終(りんじゅう)(さい)には(なに)一つ()(とど)けられなかった。


(かれ)無念(むねん)で、悔恨(かいこん)し、懊惱(おうのう)した。(しか)如何(どう)しようもない。


一度(いちど)()い、(かれ)に『父上(ちちうえ)』と一声(ひとこえ)()んで(もら)いたかったのになあ……」


()最期(さいご)(ぎわ)強烈(きょうれつ)(こころ)(さけ)びは、(つい)一腔(いっこう)悲憤(ひふん)遺憾(いかん)()り、()生命(いのち)()()()ると(とも)に、無念(むねん)(うち)()ってしまった。


第两千三百十一次(だいにせんさんびゃくじゅういっかい)殺招(さっしょう)発動(はつどう)か。疲労死(ひろうし)ではあるが、(からだ)蓄積(ちくせき)した尸気(しき)致命(ちめい)的な主因(しゅいん)だな。」


虚空(こくう)にパッと(ひか)り、方源(ほうげん)常飚(じょうひょう)遺骸(いがい)(そば)(あら)われた。


(かれ)(かす)かに()みを()かべ、実験(じっけん)予定(よてい)(どお)りの目的(もくてき)(たっ)し、問題(もんだい)発見(はっけん)した——


殺招(さっしょう)使用(しよう)する(たび)に、所定(しょてい)時間制限(じかんせいげん)()えなかったとしても、使用頻度(しようひんど)(たか)すぎると、(からだ)尸斑(しはん)(しょう)じ、蓄積(ちくせき)すると蛊師(こし)()()()こす。


潘平(はんぺい)にしても常飚(じょうひょう)にしても、死因(しいん)()問題(もんだい)によるものだった。


方源(ほうげん)両者(りょうしゃ)(からだ)から蛊虫(こちゅう)回収(かいしゅう)し、自身(じしん)(もの)とした。


()(かん)完全(かんぜん)方源(ほうげん)支配下(しはいか)にあった(ため)潘平(はんぺい)常飚(じょうひょう)(たと)蛊虫(こちゅう)自爆(じばく)させようとしても、不可能(ふかのう)であった。


常飚(じょうひょう)()には風道(ふうどう)蛊虫(こちゅう)一揃(ひとそろ)いが()り、(きわ)めて良質(りょうしつ)なものだった。潘平(はんぺい)蛊虫(こちゅう)()(すぐ)れていたが、現在(げんざい)方源(ほうげん)眼界(がんかい)資本(しほん)から()えば、(いささ)()るに(まさ)程度(ていど)のものに()ぎなかった。


潘平(はんぺい)()単刀蛊(たんとうこ)のみが、収蔵(しゅうぞう)価値(かち)()りと(みと)め、方源(ほうげん)二度(にど)ほど視線(しせん)()めた。


数日後(すうじつご)


書斎(しょさい)にて、方源(ほうげん)東窓蛊(とうそうこ)()(にぎ)り、()()じて(ふか)思惟(しい)していた。


敵意蛊(てきいこ)敵意(てきい)凝造(ぎょうぞう)す。


敵意(てきい)とは、攻勢(こうせい)強猛(きょうもう)にして侵略(しんりゃく)()(ごと)し。


(しか)れども(やや)寰転(かんてん)()け、持続(じぞく)(ちから)()し。」


鋭意蛊(えいいこ)鋭意(えいい)凝造(ぎょうぞう)す。


鋭意(えいい)とは、犀利(さいり)として(ふせ)ぐべくも()く、(あた)かも刀槍(とうそう)(ごと)し。


(しか)れども(ごう)(すなわ)(やす)()れ、回復(かいふく)補填(ほてん)(がた)し。」


恣意蛊(しいこ)恣意(しい)凝造(ぎょうぞう)す。


恣意(しい)とは、百無禁忌(ひゃくむきんき)にして(もっと)氾濫(はんらん)()(やす)し。


(しか)れども穩控(おんこう)(がた)く、(うご)くこと(しばし)(ひと)(きずつ)(おのれ)(そん)なう。」


()東窓蛊(とうそうこ)には、比較的(ひかくてき)完璧(かんぺき)智道(ちどう)伝承(でんしょう)記録(きろく)されていた。


方源(ほうげん)宝黄天(ほうこうてん)から()れを購入(こうにゅう)し、手元(てもと)(のこ)(すく)ない仙元石(せんげんせき)をすべて支払(しはら)った。


しかし、それだけの価値(かち)十分(じゅうぶん)にあった。


方源(ほうげん)()れを閲読(えつどく)した(あと)(おお)いに()るところがあった。


方源(ほうげん)沈思(ちんし)した。


()伝承(でんしょう)には、十四種(じゅうよんしゅ)智道蛊虫(ちどうこちゅう)記載(きさい)されている。


()(なか)意志(いし)(かん)するものは六種(ろくしゅ)ある。


分別(ふんべつ)して、敵意蛊(てきいこ)鋭意蛊(えいいこ)恣意蛊(しいこ)転意蛊(てんいこ)意冷蛊(いれいこ)意乱蛊(いらんこ)である。


前三者(ぜんさんしゃ)作用(さよう)は、いずれも意志(いし)凝造(ぎょうぞう)するもので、各々(おのおの)利点(りてん)欠点(けってん)がある。」


智道(ちどう)(もっと)神秘(しんぴ)的な蛊師(こし)流派(りゅうは)であり、博大意深(はくだいしん)で、星宿仙尊(せいしゅくせんそん)由来(ゆらい)し、太古時代(たいこじだい)から存在(そんざい)している。


修行者(しゅぎょうしゃ)(かず)(きわ)めて(すく)ないが、今日(こんにち)まで伝承(でんしょう)され、経久不衰(けいきゅうふすい)万世(ばんせい)(わた)って繁栄(はんえい)している。


(しか)らば墨瑶意志(ぼくよういし)は、()たして敵意(てきい)鋭意(えいい)恣意(しい)(いず)れに(ぞく)するのであろうか?」


方源(ほうげん)()れらを研究(けんきゅう)するのは、脳裏(のうり)(ひそ)()巨大(きょだい)危険因子(きけんいんし)(そな)え、対処(たいしょ)する(ため)である。


敵意(てきい)()(ごと)狂猛(きょうもう)であり、鋭意(えいい)(やり)(ごと)犀利(さいり)である。


恣意(しい)伸張(しんちょう)して制御(せいぎょ)(がた)い。


(しか)るに墨瑶意志(ぼくよういし)神秘(しんぴ)として(うみ)(ごと)く、幽玄(ゆうげん)として飄渺(ひょうびょう)たり。


()れは(さき)彼女(かのじょ)(わた)()った(さい)(ちから)(ほどこ)しようが()く、(あた)かも猛拳(もうけん)棉花(めんか)()()んだ(ごと)(かん)じであった。」


方源(ほうげん)仔細(しさい)分析(ぶんせき)し、墨瑶意志(ぼくよういし)()(いず)れでもないと結論(けつろん)した。


(かれ)入手(にゅうしゅ)した()伝承(でんしょう)は、智道(ちどう)一片(いっぺん)()ぎず、(かなら)ずや(ほか)にも多量(たりょう)智道蛊虫(ちどうこちゅう)存在(そんざい)する(はず)である。


()(よう)では、智道(ちどう)に関する情報(じょうほう)を引き(つづ)収集(しゅうしゅう)せねばなるまい…」


方源(ほうげん)はひそかに嘆息(たんそく)した。


墨瑶意志(ぼくよういし)対処(たいしょ)(がた)所以(ゆえん)は、方源(ほうげん)智道(ちどう)不慣(ふな)れであり、彼女(かのじょ)実情(じつじょう)来歴(らいれき)()らず、手段(しゅだん)(ほどこ)(がた)(てん)にあった。


(ことわざ)(いわ)く、(かれ)()(おのれ)()れば百戦危(ひゃくせんあや)うからず。


()れは(しば)らく()(しの)び、一方(いっぽう)彼女(かのじょ)()えず思考(しこう)させて自身(じしん)消耗(しょうもう)させつつ、他方(たほう)彼女(かのじょ)利用(りよう)して真陽楼(しんようろう)探査(たんさ)(たす)けさせよう。」


思案(しあん)(ふけ)(うち)方源(ほうげん)脳裏(のうり)墨瑶意志(ぼくよういし)(かす)かな輪郭(りんかく)(あら)わした。


完成(かんせい)した。


此度(こたび)六臂天尸王(ろっぴてんしおう)は、(まこと)完成形(かんせいけい)となった。


最早(もはや)(いさ)らの不備(ふび)()い。」


墨瑶(ぼくよう)(よわ)々(よわ)しい口調(くちょう)()べ、表情(ひょうじょう)疲労(ひろう)(いろ)()ちていた。


()れまでの日々(ひび)の思考(しこう)が、彼女(かのじょ)(おお)いに消耗(しょうもう)させたようだ。」


方源(ほうげん)内心(ないしん)(よろこ)び、修正後(しゅうせいご)殺招(さっしょう)確認(かくにん)すると、()(よろこ)びは次第(しだい)(おお)きな歓喜(かんき)へと()わっていった。

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