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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百六十六節:死不足惜

轟々(ごうごう)と(ひび)地響(じひび)き――


大地(だいち)()(うご)(なか)(てん)()かんばかりの狼の大群(おおむれ)地平線(ちへいせん)(あらわ)れた。


()(かず)(うしお)(ごと)際限(さいげん)なく、滔々(とうとう)と(なが)れる大河(たいが)(ごと)(はし)()って()く。


(まん)(おおかみ)()しくも(はし)る。


狼群(ろうぐん)(なか)には、(かぜ)(ごと)()(めぐ)風狼(ふうろう)(ゆき)(ごと)潔白(けっぱく)水狼(すいろう)漆黒(しっこく)俊敏(しゅんびん)なる夜狼(やろう)()り、


甲羅(こうら)背負(せお)重厚(じゅうこう)龟背狼(きはいろう)(あか)(ほのお)(たぎ)らせる朱炎狼(しゅえんろう)()る。


百狼王(ひゃくろうおう)千狼王(せんろうおう)万狼王(ばんろうおう)()れを統率(とうそつ)し、(さら)には異形(いけい)(おおかみ)たちが行進(こうしん)する隊列(たいれつ)(なか)()じり、(こと)()()く。


(たと)えば、(ほね)(もり)背負(せお)血森狼(けつしんろう)(やま)(ごと)巨体(きょたい)で、


(うお)(ひれ)()(ぞう)(ごと)甲冑(かっちゅう)(まと)った魚翅狼(ぎょしろう)水陸両用(すいりくりょうよう)であり、


銀灰色(ぎんかいしょく)(からだ)に三ツ(みつめ)()ち、戦闘狂(せんとうきょう)狂狼(きょうろう)存在(そんざい)する。


王庭福地(おうていふくち)淡金色(たんきんいろ)天空(てんくう)を、天青狼群(てんせいろうぐん)()(めぐ)る。


()()(ごえ)(たか)らかに、天駆(あまが)ける姿(すがた)神駿(しんしゅん)(ごと)し。


方源(ほうげん)一頭(いっとう)天青万狼王(てんせいばんろうおう)()(かたく)()わり、疾風(しっぷう)すらも()(てつ)(ごと)(おも)(ぼう)微動(びどう)させない。


一双(いっそう)暗黒(あんこく)(ひとみ)は、(いま)まさに脚下(きゃっか)見下(みお)ろし、()胸中(きょうちゅう)(はか)(がた)い。


王庭福地(おうていふくち)(あし)()()れた当初(とうしょ)狼群(おおかみむれ)()()りに離散(りさん)した。


(しか)れど方源(ほうげん)(はや)くから任務(にんむ)発布(はっぷ)し、福地(ふくち)()りした()()から(ゆる)()旧友(きゅうゆう)(おおかみ)たちを召還(しょうかん)するのみならず、無数(むすう)野良狼(のらおおかみ)をも新規(しんき)獲得(かくとく)した。


(いま)()脚下(きゃっか)奔流(ほんりゅう)する狼群(ろうぐん)は、江河(こうが)(ごと)く、(うみ)(ごと)く、()(かず)(じつ)五十万(ごじゅうまん)()える!


()(いき)(いた)って、(かれ)(まさ)(まぎ)れも()凡塵(ぼんじん)頂点(ちょうてん)なのである。


王庭之争(おうていのあらそい)(はじ)め、(かれ)江暴牙(こうぼうが)馬尊(ばそん)らと(とも)に「五大獣王(ごだいじゅうおう)」と(しょう)された。


王庭之争(おうていのあらそい)終局(しゅうきょく)(むか)えた(いま)天下(てんか)公認(こうにん)()くとして、(かれ)北原(ほくげん)において当代(とうだい)随一(ずいいち)奴道大師(どだいし)()されている。


奴道(どどう)造詣(ぞうけい)のみならず、(かれ)驚異的(きょういてき)力道(りきどう)手管(てくだ)と、飛行大師(ひこうたいし)(きゅう)実力(じつりょく)()(そな)え、人々(ひとびと)を驚愕(きょうがく)畏敬(いけい)(ねん)(ひた)らせている。


狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)(うやま)わぬ(もの)がおろうか?


()()(おそ)れぬ(もの)がおろうか?


北原(ほくげん)全土(ぜんど)見渡(みわた)せば、(かれ)(てき)()()(もの)は、()たして幾人(いくにん)いるだろうか?


(しか)()(とき)方源(ほうげん)脑海(のうり)(なか)では、(ひと)つの(こえ)(かれ)を「打撃(だげき)」していた。


「ふふふ…小少年(しょうしょうねん)奴道(どどう)力道(りきどう)合流(ごうりゅう)(のぞ)むとは、(おお)きな野望(やぼう)だ。


だが(あね)ちゃんは、()野望(やぼう)(はや)めに()()てるよう(すす)めるわ。」


墨瑶意志(ぼくよういし)(つづ)けて(わら)いながら()いた。


奴道(どどう)力道(りきどう)は、(みず)(あぶら)(ごと)分明(ぶんめい)たる二道(にどう)


奴力合流(どりきごうりゅう)など、千古(せんこ)難題(なんだい)なのだから。


二道(にどう)兼修(けんしゅう)するだけでも大変(たいへん)なのに、(むずか)しいと()って早々(そうそう)に方向転換(ほうこうてんかん)し、できないことは(あきら)めたらどう?


(ほね)()って()められもせぬことを、何故(なぜ)わざわざする必要(ひつよう)()ろうか。


はあ…(あね)ちゃんは経験者(けいけんしゃ)として()うのよ。


(みち)(せん)(ばん)流派(りゅうは)無数(むすう)


蛊師(こし)(つよ)さは、如何(いか)(おお)くの(みち)()くかでは()く、(だれ)がより(とお)くへ(すす)めるかにあるのだから。」


墨瑶(ぼくよう)()()って()かせた。


(しか)方源(ほうげん)()ややかに(はな)(わら)い、傲然(ごうぜん)拒絶(きょぜつ)した。


(こと)(ひと)()すに()り、(なん)(おそ)れる必要(ひつよう)があろうか?


奴力合流(どりきごうりゅう)千古(せんこ)難題(なんだい)だというなら、()れは(いま)()(ごと)(もの)(あらわ)れなかったからに()ぎぬ。


()れは(おそ)くとも(はや)くとも、天下(てんか)威圧(いあつ)し、千古不磨(せんこふま)()(きざ)み、星宿(せいしゅく)紅蓮(ぐれん)楽土(らくど)(ごと)存在(そんざい)(かた)(なら)べるのだ。」


星宿(せいしゅく)紅蓮(ぐれん)楽土(らくど)——()れらは(みな)九転(きゅうてん)蛊尊(こそん)である。


人族(じんぞく)歴史(れきし)という悠久(ゆうきゅう)なる大河(たいが)(なか)で、無限(むげん)歳月(さいげつ)(なが)れても、(あらわ)れた()(かず)十指(じっし)()たない。


方源(ほうげん)(いま)一介(いっかい)凡夫(ぼんぷ)()ぎない。


()()でありながら、()存在(そんざい)たらんとする妄想(もうそう)は、(あり)(ぞう)()らんとするが(ごと)きものだ。


()野望(やぼう)言葉(ことば)は、墨瑶意志(ぼくよういし)(いえど)も、一時(いちじ)瞠目(どうもく)せしめずにはおかなかった。


……


()え――!」


()て! ()地魁小獣(ちかいしょうじゅう)一匹(いっぴき)(のこ)さず()()たせ!」


治療蛊師(ちりょうこし)何処(いずこ)に? 傷人(きずっと)()た、至急(しきゅう)手当(てあ)てを!」


獣群(じゅうぐん)咆哮(ほうこう)蛊師(こし)喊声(かんせい)()(みだ)れる(なか)小規模(しょうきぼ)激戦(げきせん)最終局面(さいしゅうきょくめん)(むか)えていた。


(ひろ)くない戦場(せんじょう)には無数(むすう)爆坑(ばくこう)穿(うが)たれ、散乱(さんらん)する残肢(ざんし)飛散(ひさん)する鮮血(せんけつ)()()く。


五、六名(ごろくめい)蛊師(こし)地魁獣王(ちかいじゅうおう)包囲(ほうい)し、死闘(しとう)()(ひろ)げている。


()周囲(しゅうい)には、大量(たいりょう)地魁獣(ちかいじゅう)(しかばね)が累々(るいるい)と(よこ)たわっていた。


此等(これら)地魁獣(ちかいじゅう)は、(ひと)(からだ)(へび)()()ち、顔つき(かおつき)は蝙蝠(こうもり)(ごと)く、(あお)ぎつける(はな)(かぜ)()ける(おお)きな(みみ)漆黒(しっこく)(からだ)(にく)甲冑(かっちゅう)(まと)っている。


(むね)前後左右(ぜんごさゆう)には五、六本(ごろっぽん)肉鞭(にくべん)()えており、(みじか)いもので一丈(いちじょう)(なが)いものは二丈(にじょう)(あま)りにも(たっ)する。


肉鞭(にくべん)()(ごと)器用(きよう)(うご)き、(へび)(ごと)くしなやかで、鞭打(むちう)(いきお)いは強烈(きょうれつ)無比(むひ)である。


攻撃(こうげき)にも防御(ぼうぎょ)にも(てん)()る、難攻不落(なんこうふらく)生体兵器(せいたいへいき)なのである。


地魁獣(ちかいじゅう)地底(ちてい)()むが、(かなら)ずしも深層(しんそう)ではなく、(むし)地下浅層(ちかせんそう)巣窟(そうくつ)(かま)えることが(おお)い。


()価値(かち)(きわ)めて(たか)く、眼球(がんきゅう)毛皮(けがわ)蛇尾(だび)(いた)るまで、良質(りょうしつ)稀少(きしょう)煉蛊(れんこ)佳材(かざい)()る。


(さら)珍重(ちんちょう)されるのは、()(からだ)()えた長短(ちょうたん)肉鞭(にくべん)である。


(なが)ければ(なが)(ほど)()く、二丈(にじょう)以上(いじょう)肉鞭(にくべん)()れば、往々(おうおう)にして千金(せんきん)(もっ)てしても()(がた)く、市場(しじょう)()って(あたい)()りと(いえど)も、実物(じつぶつ)容易(ようい)()()らない。


地魁獣(ちかいじゅう)現在(げんざい)北原(ほくげん)()いて()痕跡(こんせき)が徐々(じょじょ)に(すく)なく()りつつある。


(しか)王庭福地(おうていふくち)()いては、(いま)多数(たすう)()れが存在(そんざい)する。


(たと)えば()一帯(いったい)方円万里(ほうえんばんり)(わた)地域(ちいき)は、(ことごと)地魁獣(ちかいじゅう)群生域(ぐんせいいき)()っているのである。


財宝(ざいほう)人心(じんしん)(どう)かし、加之(しかのみなら)()()聖宮(せいきゅう)(ちか)(ため)多数(たすう)蛊師(こし)頻繁(ひんぱん)仲間(なかま)()み、此処(ここ)狩猟(しゅりょう)(おとず)れる。


(いま)死闘(しとう)()(ひろ)げている()小隊(しょうたい)も、()(なか)一団(いちだん)()ぎない。


隊中(たいちゅう)蛊師(こし)たちは、(おお)くが地魁獣(ちかいじゅう)(ぐん)狩猟(しゅりょう)を三、四度(さんよど)経験(けいけん)しており、一定(いってい)()れがあった。


(しか)此度(こたび)ばかりは、(おも)わぬ厄介(やっかい)遭遇(そうぐう)した。


(おび)()した地魁獣(ちかいじゅう)()れは(ひゃく)(あま)り、規模(きぼ)とし(て)は彼等(かれら)制御(せいぎょ)可能(かのう)範囲内(はんいない)であった。


だが、想定外(そうていがい)だったのは、()獣王(じゅうおう)(ぼん)なる百獣王(ひゃくじゅうおう)ではなく、()いた千獣王(せんじゅうおう)であった(こと)だ。


()獣王(じゅうおう)は、(たたか)いには(よわ)り、老病(ろうびょう)(さいな)まれてはいるが、()(からだ)寄生(きせい)する野蛊(やこ)は、(まぎ)れも()三转(さんてん)(かく)なのである。


凡人蛊師(ぼんじんこし)世界(せかい)()いて、一转(いってん)徒弟(とてい)()ぎず、戦力(せんりょく)未熟(みじゅく)(もっと)普遍(ふへん)(てき)である。


二转(にてん)()れば、中核(ちゅうかく)たる骨幹(こっかん)基石(きせき)()り、(きわ)めて普遍(ふへん)(てき)存在(そんざい)である。


三转(さんてん)長老(ちょうろう)家老(かろう)(しょう)され、()れは勢力(せいりょく)中核(ちゅうかく)()し、(かず)激減(げきげん)する。


四转(してん)勢力(せいりょく)首脳(しゅのう)たる万人(ばんにん)指導者(しどうしゃ)であり、五转(ごてん)凡俗(ぼんぞく)頂点(ちょうてん)(たた)えられ、(さら)稀少(きしょう)である。


地魁千獣王(ちかいせんじゅうおう)()(もの)(おそ)るるに()らぬが、数匹(すうひき)三转野蛊(さんてんやこ)(ゆう)するが(ゆえ)に、()(たい)能力(のうりょく)限界(げんかい)()えている。


()交戦初頭(こうせんしょとう)に、隊長(たいちょう)蒋凍(しょうとう)剛毅(ごうき)なる性格(せいかく)豊富(ほうふ)経験(けいけん)(もと)づき、果敢(かかん)にも(めい)(くだ)し、何名(なんめい)かの熟練者(じゅくれんしゃ)(ひき)いて獣群(じゅうぐん)()()み、地魁獣王(ちかいじゅうおう)死死(しし)(つな)()め、()(ほか)(もの)地魁小獣(ちかいしょうじゅう)殲滅(せんめつ)()さしめなければ、蛊師隊(こしたい)は早々(そうそう)に潰走(かいそう)していた(こと)であろう。


諸君(しょくん)()一息(ひといき)だ! ()老獣(ろうじゅう)最早(もはや)限界(げんかい)()(こた)えれば勝利(しょうり)()(もの)ぞ!」


蒋凍(しょうとう)縦横(じゅうおう)(おど)(なが)(こえ)()()げ、士気(しき)(ふる)()てた。


隊員(たいいん)らの応答(おうとう)(そろ)わず、(かろ)うじて士気(しき)(ふる)()こしている様子(ようす)であった。


開戦(かいせん)から(いま)(いた)るまで、(すで)半時(はんとき)以上(いじょう)経過(けいか)している。


蛊師(こし)たちの真元(しんげん)消耗(しょうもう)極限(きょくげん)(ちか)づいていたが、(さいわ)北原(ほくげん)風潮(ふうちょう)として、()れら蛊師(こし)(おお)くは力道(りきどう)兼修(けんしゅう)していた。


蛊師(こし)たちは肉搏戦(にくはくせん)(しゅ)とし、(ばん)やむを()ない場合(ばあい)にのみ真元(しんげん)(さい)して、(おの)()仲間(なかま)窮地(きゅうち)(すく)っていた。


()え――!


()(とき)老獣王(ろうじゅうおう)突然(とつぜん)蛇尾(だび)(くる)った(ごと)(ふる)い、空気(くうき)破裂(はれつ)させる轟音(ごうおん)(しょう)じさせた。


蛇尾(だび)無情(むじょう)にも(ひと)りの蛊師(こし)直撃(ちょくげき)し、()()()()ばした。


地面(じめん)()ちた(ころ)には、()蛊師(こし)胸骨(きょうこつ)粉々(こなごな)に(くだ)かれ、最早(もはや)絶命(ぜつめい)している(ほか)()かった。


(ひと)知恵(ちえ)()り、(けもの)(また)()狡知(こうち)()り。


老獣王(ろうじゅうおう)老朽(ろうきゅう)衰弱(すいじゃく)してるのは(たし)かだが、(くさ)った(ふね)にも(くぎ)三本(さんぼん)──決死(けっし)反撃(はんげき)(およ)べば、瞬時(しゅんじ)一人(ひとり)(ほうむ)った。


蛊師(こし)たちは一瞬(いっしゅん)呆然(ぼうぜん)とし、士気(しき)急降下(きゅうこうか)した。


最悪(さいあく)だ、元々(もともと)拮抗(きっこう)状態(じょうたい)だったのに、(いま)味方(みかた)一人失(ひとりうしな)い、()空窺(くうかい)真元(しんげん)二割(にわり)(のこ)っていない。如何(いか)にして()窮地(きゅうち)(だっ)するか?」


蒋凍(しょうとう)目玉(めだま)(ひと)(ころ)(うご)かし、即座(そくざ)逃亡(とうぼう)(おも)()てた。


()狩猟隊(しゅりょうたい)は元々(もともと)(かれ)臨時(りんじ)結成(けっせい)したもの、戦場(せんじょう)から()()せば名誉(めいよ)(きずつ)けるが、生命(いのち)(くら)べれば名誉(めいよ)など()るに()らない。


北原人(ほくげんじん)殺伐(さつばつ)(この)み、勇猛(ゆうもう)獰猛(どうもう)なのは事実(じじつ)だが、馬鹿(ばか)では()いのである。


以前(いぜん)貧困(ひんこん)(あえ)ぎ、必死(ひっし)(たたか)うしか活路(かつろ)()かった。


(しか)(いま)()れは王庭福地(おうていふくち)(あし)()()れ、(いた)(ところ)資源(しげん)(ころ)がっている。


雄飛(ゆうひ)(もと)()(まさ)()(とき)如何(どう)して此処(ここ)(とうと)生命(いのち)無駄(むだ)にできようか?」


(いえ)には()いた(おや)(おさな)()()っている。


()数日間(すうじつかん)狩猟(しゅりょう)成果(せいか)(わる)()いが、()られた元石(げんせき)(ただ)()修行(しゅうぎょう)(ささ)えるのみだ。


半歳後(はんとしご)には、息子(むすこ)修行(しゅうぎょう)(みち)(ある)(はじ)めるというのに…


()くの(ごと)く、諸君(しょくん)相済(あいす)まぬ!」


蒋凍(しょうとう)()一瞬(いっしゅん)(はげ)しい逡巡(しゅんじゅん)(はし)った。


()して突然(とつぜん)(かれ)後退(こうたい)し、(のこ)(すく)ない真元(しんげん)を全て(すべて)移動蛊(いどうこ)(そそ)()んだ。


(ころも)(すそ)空気(くうき)()き、『(すう)』という(かろ)やかな(おと)(のこ)して、()姿(すがた)(ちり)()って()()った。


(のこ)された蛊師(こし)たちは(また)呆然(ぼうぜん)とした。


隊長(たいちょう)ですら戦線(せんせん)から()()した以上(いじょう)(なお)(たたか)意味(いみ)()いではないか?


瞬時(しゅんじ)隊員(たいいん)らは四方(しほう)()()りに()(まど)い、士気(しき)谷底(たにそこ)()()んだ。


地魁獣王(ちかいじゅうおう)咆哮(ほうこう)(ひと)(こえ)(とどろ)かせ、執拗(しつよう)追撃(ついげき)開始(かいし)した。


畜生(ちくしょう)め!」


蒋凍(しょうとう)()(こえ)()(かえ)り、(おも)わず罵声(ばせい)()き、(たましい)()()さんばかりに驚愕(きょうがく)した。


()地魁老獣王(ちかいろうじゅうおう)何故(なぜ)(ほか)(もの)では()く、()(ひと)(かれ)()()けてくるのか?


想来(そうらい)蒋凍(しょうとう)手口(てくち)苛烈(かれつ)で、攻勢(こうせい)猛烈(もうれつ)であった(ため)に、(ふか)(うら)みを()ってしまったのであろう。


最悪(さいあく)だ、()(まま)では()(いのち)()わりだ!」


両者(りょうしゃ)一逃(いちとう)一追(いっつい)(とき)経過(けいか)(とも)真元(しんげん)急激(きゅうげき)消耗(しょうもう)し、蒋凍(しょうとう)(ようや)絶望(ぜつぼう)(ふち)()()められて()った。


蒋凍様(しょうとうさま)(はや)()げて!」


()(とき)(はる)彼方(かなた)から(ひと)つの(こえ)(とど)いた。


蒋凍(しょうとう)()(こえ)()()き、左斜(ひだりなな)(まえ)(ほう)()若者(わかもの)姿(すがた)(みと)めた。


()(もの)馬鴻運(ばこううん)()い、(たい)加入(かにゅう)して()()く、一转(いってん)修為(しゅうい)しか()後方支援(こうほうしえん)蛊師(こし)で、戦力(せんりょく)は微々(びび)たるものだ。


戦闘(せんとう)開始(かいし)(とも)に、(かれ)偵察(ていさく)役目(やくめ)()びて派遣(はけん)され、文字通(もじどお)りの「(こま)」と()っていた。


(おろ)かな若造(わかぞう)め!」


蒋凍(しょうとう)大喜(おおよろこ)びで、()ぐに方向(ほうこう)(てん)じ、馬鴻運(ばこううん)方向(ほうこう)(はし)()した。


馬鴻運(ばこううん)()見開(みひら)いた。


地魁老獣王(ちかいろうじゅうおう)(おもむ)ろに(せま)って()るのを()て、蒋凍(しょうとう)警告(けいこく)しようとしたが、蒋凍(しょうとう)()地魁老獣王(ちかいろうじゅうおう)()()れて()()ぐに自分(じぶん)(ほう)()()んで()るとは(おも)わなかった。


馬鴻運(ばこううん)(あし)(ちから)()めて()()したが、蒋凍(しょうとう)速度(そくど)(はや)く、数回(すうかい)呼吸(こきゅう)()たぬ(うち)(かれ)(そば)まで()()いた。


蒋凍(しょうとう)哄笑(こうしょう)()ぜた。


小僧(こぞう)め、本大人(ほんだいじん)(いのち)(すく)った功績(こうせき)で、此度(こたび)()本望(ほんもう)であろう!」


言葉(ことば)()わるか()わらぬ(うち)に、蛊虫(こちゅう)()り、馬鴻運(ばこううん)昏倒(こんとう)させた。


()して巨躯(きょく)()()ばし、()衣襟(えり)(つか)むと、力一杯(ちからいっぱい)後方(こうほう)()()ばした。


(しか)るに地魁老獣王(ちかいろうじゅうおう)は、目前(もくぜん)()()された(えさ)には()もくれず、相変(あいか)わらず執拗(しつよう)蒋凍(しょうとう)()(つづ)けた。


蒋凍(しょうとう)哄笑(こうしょう)戛然(かつぜん)として()んだ。


()心境(しんきょう)(あた)天堂(てんどう)より地獄(じごく)()つるが(ごと)しであった。


丁度(ちょうど)地魁老獣王(ちかいろうじゅうおう)()()めんとする瞬間(しゅんかん)忽然(こつぜん)として轟々(ごうごう)たる(おと)(みみ)(なが)()り、広漠(こうばく)たる大地(だいち)(かす)かに(ふる)(はじ)めた。


(またた)(うち)に、地平線(ちへいせん)より(ひと)つの灰線(かいせん)()()がり、漸次(ぜんじ)()(せん)濃密(のうみつ)かつ鮮明(せんめい)さを()して()った。


(おおかみ)だ!


(なん)()(ほど)多くの(おおかみ)が!?


狼の潮流(おおかみのちょうりゅう)(てん)()てより奔流(ほんりゅう)(ごと)()()せ、()(いきお)いは浩浩蕩蕩(こうこうとうとう)として、滔々(とうとう)たる洪水(こうずい)天下(てんか)(あら)()くすが(ごと)きである。


千獣王(せんじゅうおう)(あし)()め、片刻(はんこく)呆然(ぼうぜん)とした(のち)全身(ぜんしん)(ふる)わせ、()きを()えて()()した。


朱炎狼(しゅえんろう)亀背狼(きはいろう)……(かく)(ごと)狼群(おおかみむれ)()れば! ()(まえ)通告(つうこく)だ、狼王(ろうおう)()()狩場(かりば)(さだ)めしと!」


「はははっ、(てん)()見捨(みす)てず! (たす)かった!」


蒋凍(しょうとう)一瞬(いっしゅん)呆然(ぼうぜん)とした(あと)興奮(こうふん)(さけ)びを()げた。


()()(くず)()ち、全身(ぜんしん)(よろこ)びに(ふる)わせ、絶体絶命(ぜったいぜつめい)から解放(かいほう)された安堵(あんど)から、両目(りょうめ)(うれ)(なみだ)(うか)べた。


(しか)()(またた)(あと)狼群(おおかみむれ)奔流(ほんりゅう)(ごと)()()せ、速度(そくど)(ゆる)める(こと)()く、怒涛(どとう)(ごと)蒋凍(しょうとう)()()み、(ほね)(ひと)(のこ)さず()千切(ちぎ)った。


虚空(こくう)()りて、天青狼(てんせいろう)()()わる方源(ほうげん)脑海(のうり)(ない)で、墨瑶(ぼくよう)意志(いし)悲愴(ひそう)嘆息(たんそく)()らした。


方源(ほうげん)よ、貴様(きさま)狼群(ろうぐん)()()たり次第(しだい)に生きとし()けるもの全て(すべて)を(ほふ)るを放置(ほうち)している。


()殺性(さっせい)(あま)りに(おも)し。


仮令(たとえ)天和(てんわ)(みだ)すを(おそ)れぬとしても、(ほか)蛊師(こし)(おも)いは懸念(けねん)せぬのか?」


(わら)()(かな)


此度(こたび)出陣(しゅつじん)(さい)しては、(かね)てより公告(こうこく)(はな)っていた。


()れら()(こころ)(くも)らせた(もの)(ども)は、(あり)(ごと)存在(そんざい)


()兵鋒(へいほう)(はば)むなど、()して()しむに()らぬ。」


方源(ほうげん)冷然(れいぜん)として(こた)えた。









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