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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百六十二節:人生为何早有悟

方源(ほうげん)(わん)内側(うちがわ)(きざ)まれた墨文(ぼくぶん)(なが)め、(かす)かに口元(くちもと)(ゆが)めた。


()招災蛊(しょうさいこ)(かく)七转(ななてん)(たっ)する高品(こうひん)であり、現在(げんざい)(かれ)()春秋蝉(しゅんじゅうせみ)より(ひと)格上(かくうえ)である。()効用(こうよう)(きわ)めて特異(とくい)で、(なん)地災天劫(ちさいてんごう)(かか)わるものだった。


墨文(ぼくぶん)中程(ちゅうてい)には詳細(しょうさい)説明(せつめい)(しる)されている。招災蛊(しょうさいこ)蛊仙(こせん)()わって災難(さいなん)(まね)き、地災天劫(ちさいてんごう)本来(ほんらい)対象(たいしょう)から(はな)し、(みずか)らの()()()ける(こと)出来(でき)るという。


方源(ほうげん)表情(ひょうじょう)(おの)ずと奇怪(きかい)なものと()した。


()のような仙蛊(せんこ)を、()たして(だれ)(もち)いようか?


天災地劫(てんさいちごう)とは(なん)厄介(やっかい)破壊力(はかいりょく)であろうか。(なん)(おそ)るべき天地偉力(てんちいりょく)であろうか。(おだ)やかな日々(ひび)を(おく)るのに、招災蛊(しょうさいこ)使(つか)って(かく)厄介(やっかい)天災地劫(てんさいちごう)()()せるとは、(まった)くもって(みずか)(すす)んで()(もと)める行為(こうい)ではなかろうか?


蛊仙墨瑶(こせんぼくよう)、堂々(どうどう)たる霊縁斎(れいえんさい)三十六代(さんじゅうろくだい)仙姫(せんき)が、何故(なぜ)(かく)奇特(きとく)仙蛊(せんこ)煉成(れんせい)したのか?


墨文(ぼくぶん)後段(こうだん)が、()理由(りゆう)(かた)っている。


元来(もとより)彼女(かのじょ)本気(ほんき)()(もと)めていたのである!


(むかし)彼女(かのじょ)薄青(はくせい)相愛(あいあい)し、正道(せいどう)代表(だいひょう)する夫婦(ふうふ)として、五域(ごいき)注目(ちゅうもく)(あつ)める伝説(でんせつ)となった。


剣仙(けんせん)薄青(はくせい)天才(てんさい)()りは卓抜(たくばつ)として、天下(てんか)(てき)()く、「(けん)五域(ごいき)(つんざ)仙尊(せんそん)()ぎ、(じょう)(かか)りて蒼生(そうせい)(さいわ)いす」と(たた)えられた。


剑劈五域亚仙尊,为情所系幸苍生


天下(てんか)俯瞰(ふかん)し、人生(じんせい)(かえり)みる(とき)(かれ)眼前(がんぜん)(よこ)たわるのは、九転(きゅうてん)(きょう)()くという(ほか)(れい)なき無上(むじょう)目標(もくひょう)だけであった。


(しか)るに九転(きゅうてん)(きょう)()くことは、艱難(かんなん)()以上(いじょう)()く、(たと)え堂々(どうどう)たる剣仙(けんせん)(いえ)ども、薄氷(はくひょう)()むが(ごと)(あや)うさを(おぼ)え、成功確率(せいこうかくりつ)最大(さいだい)一割五分(いちわりごぶ)()ぎなかった。


薄青(はくせい)(こころざし)(たか)く、九転(きゅうてん)頂点(ちょうてん)()かんと(ちか)った。墨瑶(ぼくよう)懸命(けんめい)(いさ)めたが、()(かな)わず、(なみだ)()んで準備(じゅんび)補佐(ほさ)する(ほか)()かった。


薄青(はくせい)伝承(でんしょう)(のこ)し、後事(こうじ)(ととの)えた。(はじ)めての挑戦(ちょうせん)失敗(しっぱい)()わり、七十載(ななじっさい)もの重傷(じゅうしょう)()い、病床(びょうしょう)()して微動(びどう)だに出来(でき)なかった。()(あいだ)墨瑶(ぼくよう)(つね)(そば)()って起居(ききょ)(ささ)えたのである。


(きず)()えた(のち)薄青(はくせい)(ふたた)九転(きゅうてん)目指(めざ)そうとした。


墨瑶(ぼくよう)()(こと)困難(こんなん)さ、(とく)九転(きゅうてん)突破(とっぱ)最終段階(さいしゅうだんかい)(くだ)(そそ)際限(さいげん)なき地災天劫(ちさいてんごう)熟知(じゅくち)していた。薄青(はくせい)戦力(せんりょく)天下一(てんかいち)であっ(と)(いえ)ども、持久力(じきゅうりょく)()けていたのである。


彼女(かのじょ)一心(いっしん)(いと)しき(ひと)(たす)けんと、(ひそ)かに門派(もんぱ)裏切(うらぎ)り、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)()けを()けた。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)は、()()(たか)仙尊(せんそん)布石(ふせき)にして、長毛老祖(ちょうもうろうそ)()になるもの。天下(てんか)随一(ずいいち)仙蛊屋(せんこや)である。墨瑶(ぼくよう)(はる)以前(いぜん)より()れを研究(けんきゅう)し、独自(どくじ)心得(こころえ)会得(えとく)して、(みずか)らの煉道宗師(れんどうそうし)とし(の)ての造詣(ぞうけい)(ふか)めてきた。


(たと)異人(いじん)であり巨陽(きょよう)血脈(けつみゃく)()たぬと(いえ)ども、霊縁斎(れいえんさい)巨陽時代(きょようじだい)より、数多(あまた)傑出(けっしゅつ)した女子(じょし)供奉(ぐぶ)し、巨陽仙尊(きょようせんそん)妃嬪(ひひん)()してきた。(なか)には数人(すうにん)女蛊仙(じょこせん)(ふく)まれ、巨陽仙尊(きょようせんそん)歓心(かんしん)()(もの)さえいた。


(ゆえ)に、霊縁斎(れいえんさい)には巨陽仙尊(きょようせんそん)(かん)する(おお)くの機密(きみつ)保存(ほぞん)され、(なか)でも八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(いた)っては、(こと)(つまび)らかにされていたのである。


墨瑶(ぼくよう)()れら資料(しりょう)から、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)秘密(ひみつ)看破(かんぱ)した。


王庭福地(おうていふくち)北原(ほくげん)中央(ちゅうおう)位置(いち)し、内部(ないぶ)(てん)()(ごと)広大(こうだい)で、(さら)黒白(こくびゃく)両天(りょうてん)()かれる。八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)作用(さよう)により、福分(ふくぶん)(きわ)めて(ふか)い。()(ため)一定期間(いっていきかん)(ごと)に、(きわ)めて猛烈(もうれつ)地災天劫(ちさいてんごう)()()せる。


巨陽仙尊(きょようせんそん)()(てん)考慮(こうりょ)し、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)構築(こうちく)する(さい)(ひと)つの「排難蛊(はいなんこ)」を組み()み、楼閣(ろうかく)重要(じゅうよう)(いしずえ)()した。


()()七转(ななてん)(たか)く、巨陽仙尊(きょようせんそん)運道(うんどう)精髄(せいずい)(もっ)煉成(れんせい)したもので、王庭福地(おうていふくち)(ない)天劫地災(てんごうちさい)(そと)排遣(はいけん)する能力(のうりょく)(ゆう)する。()れに()り、北原全体(ほくげんぜんたい)拡散(かくさん)する十年周期(じゅうねんしゅうき)大吹雪(おおふぶき)形成(けいせい)されるのである。


(ぎゃく)に、巨陽仙尊(きょようせんそん)十年周期(じゅうねんしゅうき)大吹雪(おおふぶき)利用(りよう)し、規矩(きく)(さだ)めて王庭之争(おうていのあらそい)という伝統(でんとう)形成(けいせい)した。


墨瑶(ぼくよう)()(てん)()いて、欠陥(けっかん)とは()(がた)矛盾点(むじゅんてん)発見(はっけん)した。


元来(がんらい)王庭福地(おうていふくち)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)共生(きょうせい)関係(かんけい)()り、十年毎(じゅうねんごと)強大(きょうだい)浩瀚(こうかん)たる天災地劫(てんさいちごう)(まね)く。()(とき)王庭福地(おうていふくち)(かす)かな隙間(すきま)()け、排難蛊(はいなんこ)連携(れんけい)して災劫(さいごう)外界(がいかい)排遣(はいけん)する必要(ひつよう)(しょう)ずる。


王庭福地(おうていふくち)巨陽仙尊(きょようせんそん)布置(ふち)により、凡人(ぼんじん)出入(ではい)りのみ(ゆる)し、蛊仙(こせん)往来(おうらい)(きん)じている。(しか)排難(はいなん)()王庭福地(おうていふくち)(ひら)微細(びさい)隙間(すきま)から、洪水(こうずい)(ごと)災劫(さいごう)排出(はいしゅつ)される(さい)仙尊(せんそん)(もう)けた蛊仙(こせん)遮断(しゃだん)布置(ふち)機能(きのう)喪失(そうしつ)する。


墨瑶(ぼくよう)()微細(びさい)隙間(すきま)()じ、九死(きゅうし)一生(いっしょう)危険(きけん)(おか)して災劫(さいごう)(さか)らい、王庭福地(おうていふくち)侵入(しんにゅう)したのである。


彼女(かのじょ)()(なか)十年近(じゅうねんちか)くを(つい)やして考察(こうさつ)(かさ)ね、宗師(そうし)としての造詣(ぞうけい)駆使(くし)し、千辛万苦(せんしんばんく)(すえ)關鍵(かんげん)なる節点(せってん)――地丘(ちきゅう)()小塔楼(しょうとうろう)()()めた。


()(のち)彼女(かのじょ)巨陽(きょよう)意志(いし)覚醒(かくせい)させる危険(きけん)(おか)して小塔楼(しょうとうろう)破壊(はかい)し、()偉力回流(いりょくかいりゅう)利用(りよう)して排難蛊(はいなんこ)感応(かんのう)し、「招災蛊(しょうさいこ)」を醸成(じょうせい)する地洞(ちどう)形成(けいせい)した。


見事(みごと)仙蛊雛形(せんこひながた)煉成(れんせい)成功(せいこう)するや、彼女(かのじょ)()名無(なな)しの渓谷(けいこく)に、何気(なにげ)なく仙蛊屋(せんこや)近水楼台(きんすいろうだい)()いた。


()(なか)墨瑶(ぼくよう)雛形(ひながた)完璧(かんぺき)温養(おんよう)し、招災蛊(しょうさいこ)(たずさ)えて、福地(ふくち)災難(さいなん)排遣(はいけん)する好機(こうき)利用(りよう)し、(ひそ)やかに外界(がいかい)(まい)(もど)ったのである。


墨瑶(ぼくよう)()()布置(ふち)破棄(はき)しなかった。(まん)()つ、薄青(はくせい)(ふたた)九転(きゅうてん)()くのに失敗(しっぱい)し、招災蛊(しょうさいこ)天劫地災(てんごうちさい)(うし)われる事態(じたい)(そな)えての(こと)であった。()(よう)場合(ばあい)(そな)え、彼女(かのじょ)(ふたた)福地(ふくち)(はい)り、招災蛊(しょうさいこ)煉成(れんせい)する腹積(はらづ)もりであった。


(しか)()(とき)(そと)()たきり、彼女(かのじょ)二度(にど)(もど)って()なかった。


剣仙(けんせん)薄青(はくせい)二度目(にどめ)九転(きゅうてん)への挑戦(ちょうせん)完全(かんぜん)失敗(しっぱい)し、浩瀚(こうかん)たる天劫(てんごう)只中(ただなか)灰燼(かいじん)()した。墨瑶(ぼくよう)(また)(かれ)(したが)って()()()ったのである。


成程(なるほど)九転(きゅうてん)への衝撃(しょうげき)千難万苦(せんなんばんく)である。墨瑶(ぼくよう)()(まえ)に、(ひそ)かに()伝承(でんしょう)(もう)けた。彼女(かのじょ)伝承(でんしょう)真実(しんじつ)内容(ないよう)(あき)らかにしなかったのは、()行為(こうい)()(もの)門派(もんぱ)への背信(はいしん)であったからだ。(しか)(なが)ら、彼女(かのじょ)最終的(さいしゅうてき)前段(ぜんだん)手掛(てが)かりを門派(もんぱ)(のこ)した。前世(ぜんせ)五百年後(ごひゃくねんご)中洲(ちゅうしゅう)蛊仙(こせん)王庭福地(おうていふくち)(はか)り、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)破壊(はかい)した(とき)(まさ)彼女(かのじょ)()前段(ぜんだん)手掛(てが)かりが利用(りよう)されたのである。」


方源(ほうげん)(いま)()れを(おも)()こし、(あた)かも(きり)()れた(ごと)く、一切(いっさい)合点(がてん)()(かん)じを(おぼ)えた。


墨文(ぼくぶん)最期(さいご)に、一編(いっぺん)()(しる)されている──


仙路(せんろ)(はば)まれて()(なが)し、相逢(あいあ)いては(おの)天涯(てんがい)


歳月(さいげつ)(たちま)(すで)(くれ)んで、情仇(じょうきゅう)(みだり)(びん)(はな)


(きみ)仙路(せんろ)()きるを(もと)め、(われ)(きみ)安佳(あんか)(おも)う。


生死(せいし)(りょう)茫茫(ぼうぼう)枕夢(ちんむ)(きみ)(ため)(いえ)()す。


仙路阻且长,相逢各天涯。

岁月倏已晚,情仇漫鬓华。

君寻仙路尽,我念君安佳。

生死两茫茫,枕梦为君家。


(あき)らかな(こと)に、()れは墨瑶(ぼくよう)(さく)である。


蛊仙(こせん)(みち)は、(はる)かで(けわ)しい。(しか)れど(きみ)(さいわ)いにも出会(であ)(こと)出来(でき)た。


()()けば、情愛(じょうあい)怨恨(えんこん)(から)()い、もはや自拔(じばつ)できない。


(きみ)視線(しせん)は、仙道(せんどう)()てを見据(みす)える。


(わたし)視線(しせん)は、(ただ)(きみ)(うえ)(そそ)がれる。


九転(きゅうてん)()くは九死一生(きゅうしいっしょう)(われ)生死(せいし)(へだ)てるを()しとせず、(ただ)(きみ)(ため)一生(いっしょう)(かたむ)け、(きみ)(ゆめ)()たさんと(ねが)う!


最愛(さいあい)(ひと)(まも)り、薄青(はくせい)蛊仙(こせん)頂点(ちょうてん)()つことを(たす)けん(ため)なら、墨瑶(ぼくよう)(みずか)らを犠牲(ぎせい)にし、招災蛊(しょうさいこ)(もっ)天災地劫(てんさいちごう)一身(いっしん)()()けることを(いと)わなかった。


(じつ)非凡(ひぼん)(じょ)である……」


方源(ほうげん)嘆息(たんそき)した。


(たと)(かれ)自身(じしん)が、(けっ)して愛情(あいじょう)(ため)(かく)自己犠牲(じこぎせい)(はら)(こと)()いと(いえ)ども、方源(ほうげん)()(よう)(ひと)理解(りかい)する(こと)(さまた)げるものでは()かった。


(むし)ろ、()理解度(りかいど)は、(かえ)って(ほか)(もの)より(ふか)(ほど)であった。


(ひと)()()()きる以上(いじょう)(つね)欲望(よくぼう)()り、目標(もくひょう)()り、意義(いぎ)()り。


墨瑶(ぼくよう)目標(もくひょう)は、(こころ)(なか)(いと)しき(ひと)(ため)(しこう)して方源(ほうげん)目標(もくひょう)は、永生(えいせい)追求(ついきゅう)する(ところ)()り。


欲望(よくぼう)(こと)なり、目標(もくひょう)(こと)なり、意義(いぎ)(こと)なる(こと)()れが様々(さまざま)な天下(てんか)蒼生(そうせい)()上げ(あげ)、特立独行(とくりつどっこう)英雄(えいゆう)梟傑(きょうけつ)(つく)()げるのである。


方源(ほうげん)視線(しせん)(ふたた)朱紅(しゅこう)巨碗(きょわん)(なか)()とした。


蚕茧(さんけん)(すで)(やぶ)れ、招災蛊(しょうさいこ)(まった)成形(せいけい)していた。()(かたち)(かいこ)(まゆ)(ごと)く、全身(ぜんしん)灰白(かいはく)小指(こゆび)(さき)(ほど)(おお)きさで、(みず)(なか)()(しず)みしていた。


招災蛊(しょうさいこ)(まさ)(だい)()(はら)って(みずか)らを犠牲(ぎせい)にする()である。墨瑶(ぼくよう)(これ)(もっ)(おの)れを()てて(ひと)()かした。


方源(ほうげん)()って、()()一見(いっけん)無用(むよう)(ごと)()えるが、(じつ)(いま)巨大(きょだい)価値(かち)(ゆう)する。


第一(だいいち)に、()れは仙蛊(せんこ)である。仮令(たとえ)(みずか)(もち)いなくとも、宝黄天(ほうこうてん)にて販売(はんばい)すれば、莫大(ばくだい)仙元石(せんげんせき)()(こと)出来(でき)よう。


第二(だいに)に、()れは運道(うんどう)蛊虫(こちゅう)であり、天災地劫(てんさいちごう)()()せる。災劫(さいごう)(つよ)いが、()(おの)れの実力(じつりょく)堅固(けんご)()(しの)べれば、他者(たしゃ)(おとしい)れる(ため)妙用(みょうよう)()()る。


最後(さいご)に、()れが成形(せいけい)したのは、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)基石(きせき)(ひと)つである排難蛊(はいなんこ)(ちから)()りたもの。招災蛊(しょうさいこ)排難蛊(はいなんこ)は、(まさ)一體両面(いったいりょうめん)関係(かんけい)()り、(ひと)つは(わざわ)いを(まね)き、(ひと)つは(なん)きを(はい)す。()()(そう)関係(かんけい)のみで、方源(ほうげん)()れからに八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)之行(のゆき)(たい)し、巨大(きょだい)示唆(しさ)(あた)()るのである。


(しか)(こころ)(なか)一層(いっそう)(きずな)存在(そんざい)するとは()え、()()完全(かんぜん)服従(ふくじゅう)させようとすれば、(なお)(ひと)つの関門(かんもん)存在(そんざい)する。


(わん)壁面(へきめん)(しる)された墨文(ぼくぶん)(なか)で、墨瑶(ぼくよう)(くわ)しく注記(ちゅうき)している。


招災蛊(しょうさいこ)(したが)えようとすれば、一定(いってい)条件(じょうけん)必要(ひつよう)である。蛊仙(こせん)凡人(ぼんじん)(べつ)()わないが、(えん)()(もの)(みずか)らを犠牲(ぎせい)にすることの出来(でき)(こころ)()つことを(よう)する。


()()(こころ)()ければ、強引(ごういん)(したが)えようとすれば、(かる)()仙蛊(せんこ)反噬(はんせい)(まね)き、(おも)()れば仙蛊(せんこ)自毀(じき)()()こし、人身(じんしん)生命(せいめい)(まで)(およ)ぶ。


近水楼台(きんすいろうだい)(なか)方源(ほうげん)巨碗(きょわん)(まえ)()ち、無表情(むひょうじょう)であった。


(おの)れを犠牲(ぎせい)にすることの出来(でき)(こころ)(かれ)()たして()っているのか?


……


「……げほ、げほっ」


唐妙鳴(とうみょうめい)手巾(てぬぐい)桜色(さくらいろ)(くちびる)()さえ、(うるわ)しい(まゆ)()くひそめて(いた)まし()表情(ひょうじょう)()かべた。


姉上(あねうえ)!」


(かたわ)らにいた唐家三男(とうけさんなん)唐方(とうほう)(こえ)()げ、(おもて)には痛惜(つうせき)(じょう)(あふ)れていた。


唐妙鳴(とうみょうめい)半床(はんしょう)()して()()り、唐方(とうほう)心配(しんぱい)無用(むよう)合図(あいず)した。


唐方(とうほう)(あね)()にした手巾(てぬぐい)鮮血(せんけつ)()て、(ふか)(いき)()いた。


姉上(あねうえ)何故(なぜ)ここまで無理(むり)を? ()(せき)突破(とっぱ)した(ところ)で、それで如何(いか)がない? 父上(ちちうえ)(みな)(すで)()ってしまわれた。姉上(あねうえ)(わたくし)唯一(ゆいいつ)肉親(にくしん)です。()姉上(あねうえ)万一(まんいち)でもあれば、(わたくし)如何(いか)にせよと()うのです?」


唐妙鳴(とうみょうめい)()()ばし、(かる)唐方(とうほう)(かみ)()でた。


三弟(さんてい)貴方(あなた)唐家(とうけ)族長(ぞくちょう)ですよ。()んな志気(しき)()(よう)では(こま)ります。此度(こたび)王庭之争(おうていのあらそい)では、()唐家(とうけ)甚大(じんだい)被害(ひがい)(こうむ)り、他族(たぞく)併合(へいごう)される(あや)うい(ところ)でした。(いま)こそ千載一遇(せんざいいちぐう)好機(こうき)(まさ)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(ちから)()りて、()部族(ぶぞく)再興(さいこう)せねばなりません」


唐方(とうほう)不承不承(ふしょうぶしょう)(くちびる)(とが)らせて()った。


「でも姉上(あねうえ)無理(むり)(せき)(やぶ)ろうとして重傷(じゅうしょう)()うなんて、(わり)()いませんよ。三弟(さんてい)である(わたし)()ているだけで(むね)(いた)み、()(ごろ)家族(かぞく)事務(じむ)()()かずにいます」


(なん)と?」


唐妙鳴(とうみょうめい)()言葉(ことば)()くや、顔色(かおいろ)(きび)しくし、(するど)眼光(がんこう)唐方(とうほう)をじっと見据(みす)えた。


彼女(かのじょ)躊躇(ちゅうちょ)なく叱責(しっせき)した。


唐方族長(とうほうぞくちょう)貴方(あなた)重責(じゅうせき)(にな)っておられる。如何(いか)して(かく)も女々(めめ)しい(なさ)けに(なが)されよう?部族(ぶぞく)振興(しんこう)することこそ貴方(あなた)職責(しょくせき)一族(いちぞく)(おさ)としての存在意義(そんざいいぎ)()りませ。今後(こんご)()のような愚痴(ぐち)()きとう()い。()かりましたか?」


「は、姉上(あねうえ)(わたし)(わる)御座(ござ)いました」


唐方(とうほう)(あわ)てて床縁(とこべり)から()()がり、()ずかし()にうつむいて(あやま)ちを(みと)めた。(ちい)さい(ころ)から、(あね)こそが一番(いちばん)自分(じぶん)大切(たいせつ)(おも)ってくれる(ひと)だった。


唐妙鳴(とうみょうめい)眼差(まなざ)しは次第(しだい)(やわ)らかくなり、(かす)かに(なげ)いた。


三弟(さんてい)貴方(あなた)自由奔放(じゆうほんぽう)性分(しょうぶん)で、天涯(てんがい)(また)にかける(よう)(しば)られない()(かた)(この)(こと)()っています。ですが、貴方(あなた)(いえ)最後(さいご)(おとこ)です。(いさ)ましく責務(せきむ)()()けるべきです。今後(こんご)貴方(あなた)人生(じんせい)意義(いぎ)は、部族(ぶぞく)再興(さいこう)する(こと)()ります。()れでお()かりに()りますか?」


姉上(あねうえ)御訓示(ごくんじ)(とお)り、小弟(しょうてい)よく理解(りかい)(いた)しました。お(いか)りはお(ひか)えください。(もと)より御身(おんみ)には御傷(おきず)がおありというのに」


唐妙鳴(とうみょうめい)依然(いぜん)として(きび)しい口調(くちょう)()った。


(もど)ったら、『人祖伝(じんそでん)第三章(だいさんしょう)第一節(だいいっせつ)(よる)(てっ)して十回(じゅっかい)()(うつ)し、(わたし)提出(ていしゅつ)しなさい」


唐方(とうほう)(むね)には、(またた)くうちに(あたた)かい感情(かんじょう)(あふ)れた。


(おさな)(ころ)から、(あね)懲罰(ちょうばつ)()えば、(かなら)書物(しょもつ)(うつ)させるのだった。


姉上(あねうえ)、どうかご休養(きゅうよう)ください。小弟(しょうてい)只今(ただいま)より写経(しゃきょう)(まい)ります」


人祖伝(じんそでん)第三章(だいさんしょう)第一節(だいいっせつ)に以下のように(しる)されている──


人祖(じんそ)次女(じじょ)古月陰荒(こげついんこう)は、最愛(さいあい)(ちち)生死門(せいしもん)より(すく)()さん(ため)に、成敗山(せいはいざん)へと旅立(たびだ)ち、成功蛊(せいこうこ)(もと)めし。


(しか)最終局面(さいしゅうきょくめん)()いて、彼女(かのじょ)失敗(しっぱい)し、(みずか)らを見失(みうし)ない、(みにく)くも強力(きょうりょく)怪物(かいぶつ)()してしまった。


(むすめ)による救出(きゅうしゅつ)()(なか)長男(ちょうなん)太日陽莽(たいじつようもう)(すた)れて耽溺(たんでき)し、人祖(じんそ)落魄谷(らくはくこく)(とら)われ、生還(せいかん)(みち)()たれた。


落魄谷(らくはくこく)(あた)巨大(きょだい)迷宮(めいきゅう)(ごと)く、(きょく)(せつ)(えん)(えん)としている。(とき)には()てし()(ひろ)がる迷惘(めいもう)(きり)蔓延(まんえん)し、魂魄(こんぱく)散漫(さんまん)ならしめる。(とき)には(やいば)(ごと)凛烈(りんれつ)なる落魄風(らくはくふう)()(すさ)び、(もっぱ)魂魄(こんぱく)切断(せつだん)する。


人祖(じんそ)魂体(こんたい)なればこそ、迷惘(めいもう)(きり)(なか)では出口(でぐち)見出(みいだ)せず、落魄風(らくはくふう)()魂魄(こんぱく)()()り、(かれ)次第(しだい)衰弱(すいじゃく)させ、境遇(きょうぐう)一層(いっそう)危険(きけん)(おちい)った。


落魄風(らくはくふう)によって切断(せつだん)された魂魄(こんぱく)欠片(かけら)は、(よう)やく凝集(ぎょうしゅう)して(ひと)りの少年(しょうねん)形成(けいせい)した。


()くして、人祖(じんそ)第三子(だいさんし)誕生(たんじょう)した。


()れこそが北冥氷魄(ほくめいひょうはく)である。


()()よ、()のように()()ってくれて有難(ありがと)う。(わし)時間(じかん)最早(もはや)(すく)ない。最期(さいご)の日々(ひび)に、(なんじ)(そば)()てくれたお(かげ)で、(ちち)である(わし)(すこ)しも(さび)しくなかった」


人祖(じんそ)感嘆(かんたん)して()った。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(そと)(つめ)たく(うち)(あつ)く、言葉(ことば)(すく)なきも、人祖(じんそ)(たい)して非常(ひじょう)孝順(こうじゅん)であった。


人祖(じんそ)日増(ひま)しに衰弱(すいじゃく)して()くのを()にし、(かれ)心情(しんじょう)一層(いっそう)(おも)(しず)んでいった。


(かれ)人祖(じんそ)(すく)()決意(けつい)(かた)めた。


人祖(じんそ)()決意(けつい)(かん)()り、(よろこ)びと痛惜(つうせき)(ねん)(いだ)いた。


余計(よけい)(こと)はするな、()()よ、(なんじ)孝心(こうしん)十二分(じゅうにぶん)(つた)わった。私は(いま)(さと)った、生死(せいし)()いて(もと)めるべきでは()いと。(ひと)(すべ)()()する、()れが(ひと)宿命(しゅくめい)なのだ」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(なみだ)ながらに(うった)えた。


父上(ちちうえ)、お言葉(ことば)(ただ)しきは()かっております。()(わたくし)努力(どりょく)(むな)しい(こと)も、重々(じゅうじゅう)承知(しょうち)しております。ですが、()くも衰弱(すいじゃく)なさる父上(ちちうえ)眼前(がんぜん)に、(なに)()さずにいれば、()(むね)()()けんばかりに(くる)しい。どうか、()なりと()(やく)()たせて(くだ)さい」


人祖(じんそ)(ひと)(こえ)嘆息(たんそく)し、()()(かれ)(おこな)いを(みと)めた。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)落魄谷(らくはくこく)彷徨(さまよ)った。(かれ)此処(ここ)()まれ()ちた(ため)落魄風(らくはくふう)()魂魄(こんぱく)(けず)(こと)出来(でき)ず、迷魂霧(めいこんむ)(また)(かれ)視界(しかい)(さえぎ)(こと)出来(でき)なかった。


(かれ)(くる)しみ(あえ)ぎながら搜索(そうさく)(つづ)けたが、出口(でぐち)(つう)ずる(みち)(つい)()()からなかった。絶望(ぜつぼう)(つの)るばかりの(なか)(かれ)(ひき)蛊虫(こちゅう)遭遇(そうぐう)した。


「あらあら、(おも)いも()らず(きみ)()()かっちゃったね」


()蛊虫(こちゅう)瓢虫(てんとうむし)(ごと)く、(たま)(ごと)()(ふと)っているが、動作(どうさ)(きわ)めて敏速(びんそく)で、北冥氷魄(ほくめいひょうはく)周囲(しゅうい)縦横無尽(じゅうおうむじん)(ひら)めき(あらわ)れる。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)()(かがや)いた。


(きみ)(なん)という()だい?」


好奇(こうき)(しん)()られて(たず)ねる。


(わたし)()意外(いがい)(もう)します」


蛊虫(こちゅう)(こた)えた。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)()(かがや)きが(うす)れていった。


成程(なるほど)(きみ)意外蛊(いがいこ)だったのか。残念(ざんねん)ながら、成功蛊(せいこうこ)では()いんだな」


意外蛊(いがいこ)(わら)うように一声(いっせい)(はな)った。


若者(わかもの)よ、(あま)(わし)(あま)()るでない。(わし)こそ成功蛊(せいこうこ)(あい)して(にく)存在(そんざい)なのだ。意外(いがい)という(ちから)甚大(じんだい)なものだ。(きみ)此処(ここ)(わし)出会(であ)った意味(いみ)()かるか?」


(なん)ですって?」


意外蛊(いがいこ)(ふと)った(からだ)()らしながら、得意(とくい)()(こた)えた。


此処(ここ)何処(どこ)だと思う? 此処(ここ)落魄谷(らくはくこく)()(さかい)だ。(きみ)此処(ここ)()るって(こと)は、(きみ)()()んでるって(こと)さ。(しか)(きみ)(わたし)出会(であ)った——つまり『()』の中で『意外(いがい)』に()った(わけ)だ。()れが(すなわ)ち『(せい)』の(きざ)し。(わたし)をしっかり(つか)まれい。(きみ)人間界(にんげんかい)()れて()き、(ふたた)(よみがえ)らせて()せよう」


本当(ほんとう)ですか!?」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(おお)いなる(よろこ)びに(つつ)まれた。


(わたし)(ちち)一緒(いっしょ)()れて()って(いただ)けませんでしょうか?」


意外蛊(いがいこ)(くび)()った。


(わたし)()ったのは(きみ)だ。(きみ)父親(ちちおや)ではない。(ゆえ)()れて()けるのは(きみ)(ひと)りだけだ」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(きわ)めて失望(しつぼう)し、(かれ)拒絶(きょぜつ)した。


(ちち)(とも)()れて()って(いただ)けないのであれば、(わたし)()きません。最期(さいご)(とき)まで(ちち)(そば)()ます」


意外蛊(いがいこ)三声(さんせい)高笑(たわわ)らいし、傲岸(ごうがん)口調(くちょう)()(はな)った。


人生(じんせい)の『意外(いがい)』は、(きみ)(こば)むことを(ゆる)さぬ。若人(わこうど)(かなら)()れと(とも)()かねばならぬ!」


()言葉(ことば)()わるか()わらぬ(うち)に、意外蛊(いがいこ)強引(ごういん)北冥氷魄(ほくめいひょうはく)()れ、(またた)()生死門(せいしもん)(はな)れ、人間界(にんげんかい)へと帰還(きかん)した。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(せい)きた()(にく)(からだ)()たが、()広漠(こうばく)たる世界(せかい)()ち、()()れぬ茫然(ぼうぜん)たる(かん)じに()らえられた。


意外蛊(いがいこ)跡形(あとかた)もなく()()った。(かれ)はふと、人祖(じんそ)(かつ)(かた)った言葉(ことば)(おも)()した。自分(じぶん)には古月陰荒(こげついんこう)という次姉(じし)がいることを。


()(とき)思想蛊(しそうこ)(みずか)(かれ)(たず)ねて()た。


若人(わこうど)()れを(うたが)うでない。思想(しそう)(つね)(ひと)(とも)なれば。()れは(なんじ)(たす)けんと()たる」


思想蛊(しそうこ)北冥氷魄(ほくめいひょうはく)に、成敗山(せいはいざん)(こと)(なら)びに古月陰荒(こげついんこう)(かか)わる一切(いっさい)(かた)()かせた。北冥氷魄(ほくめいひょうはく)()次姉(じし)()うことを(けっ)した。


古月陰荒(こげついんこう)姿(すがた)()にした(とき)(かれ)(かな)しみの(なみだ)(きん)()なかった。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)古月陰荒(こげついんこう)との対話(たいわ)(こころ)みた。


(しか)怪物(かいぶつ)()した次姉(じし)は、()(くち)の中で()いを(つぶや)(つづ)けるばかりであった。


此処(ここ)何処(どこ)?」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(しば)(かんが)えて(こた)えた。


此処(ここ)人間界(にんげんかい)生命(せいめい)活動(かつどう)できる場所(ばしょ)です。我々(われわれ)の頭上(ずじょう)には(てん)(ひろ)がり、脚下(きゃっか)には()(つづ)いています」


(わたし)(だれ)?」


古月陰荒(こげついんこう)(かさ)ねて()う。


貴女(あなた)(ひと)人祖(じんそ)次女(じじょ)で、()()古月陰荒(こげついんこう)(もう)します。貴女(あなた)(わたし)次姉(じし)なのです」


北冥氷魄(ほくめんひょうはく)(こた)える。


姉上(あねうえ)何卒(なにとぞ)(はや)正気(しょうき)(かえ)って(くだ)さい。父上(ちちうえ)御逝去(ぎょせいきょ)あそばされ、落魄谷(らくはくこく)(とら)われておられます。我々(われわれ)は(いそ)父上(ちちうえ)(すく)()さねばなりません」


人祖(じんそ)古月陰荒(こげついんこう)蘇生(そせい)?」


怪物(かいぶつ)(くび)()りながら、困惑(こんわく)した様子(ようす)()(かえ)した。


何故(なぜ)(わたし)(かれ)蘇生(そせい)せねばならぬ? (ひと)()ぬべき存在(そんざい)では()いのか? ()とは(なん)(わる)い? (ひと)何故(なぜ)生きねばならぬ? (わたし)何故(なぜ)生きている?」


今度(こんど)ばかりは、北冥氷魄(ほくめいひょうはく)返答(へんとう)(きゅう)した。


(ひと)何故(なぜ)生きねばならぬのか?


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)()問題(もんだい)(おも)(めぐ)らせる(うち)困惑蛊(こんわくこ)(しの)びやかに(かれ)身辺(しんぺん)(おとず)れ、周囲(しゅうい)への感応(かんのう)(うし)なわせた。


これに(ともな)い、愛情蛊(あいじょうこ)偽装蛊(ぎそうこ)(また)(あらわ)れた。


思想蛊(しそうこ)彼等(かれら)視認(しにん)するや、(とん)頭痛(ずつう)(おぼ)えた。()()()は、()悪戯(いたずら)っぷりで名高(なだか)く、(つね)徒党(ととう)()んで(あら)われる。(たと)思想蛊(しそうこ)(いえ)ども、安易(あんい)干渉(かんしょう)するを(のぞ)まぬ連中(れんちゅう)である。


愛情(あいじょう)よ、(すで)貴様(きさま)(おとしい)れた(もの)(すく)なく()いだろうに。何故(なぜ)(いま)(ひと)見放(みはな)さぬのか?」


思想蛊(しそうこ)嘆息(たんそく)した。


道理(どうり)()くなんて御免(ごめん)(こうむ)る。()(わたし)(すじ)(とお)らぬ性分(しょうぶん)だからね」


愛情蛊(あいじょうこ)意地悪(いじわる)口調(くちょう)(こた)えた。


「さっさと()せろよ、思想(しそう)貴様(きさま)(かお)見飽(みあ)きた」


思想蛊(しそうこ)()()退(しりぞ)いた。


(また)(あら)たな(ひと)()たのか?ははは!」


愛情蛊(あいじょうこ)北冥氷魄(ほくめいひょうはく)視界(しかい)(おさ)めるや、()()がらんばかりに歓喜(かんき)した。(もてあそ)対象(たいしょう)()えたからである。(かれ)偽装蛊(ぎそうこ)(てつ)(なか)であり、(ただ)ちに()(ちから)()りて思想蛊(しそうこ)変装(へんそう)した。


若人(わこうど)よ、貴君(きくん)次姉(じし)(おの)がれを()くしてしまわれた。彼女(かのじょ)(すく)わんと(ほっ)すれば、意義蛊(いぎこ)(たず)(もと)めねばならぬ」


(にせ)思想蛊(しそうこ)(じつ)愛情蛊(あいじょうこ)は()(かた)りき。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(われ)(かえ)り、(なに)(うたが)いも(いだ)かず、愛情蛊(あいじょうこ)()うた。


(たま)々(たま)意外蛊(いがいこ)には出会(であ)いましたが、()意義蛊(いぎこ)何処(いずこ)(いま)すのでしょうか? 如何(いか)にして(たず)()だせば(よろ)しいのでしょう?」


愛情蛊(あいじょうこ)(おごそ)かな口調(くちょう)で、鄭重(ていちょう)(こと)(はこ)(よう)(よそお)い、(かれ)(あざむ)いた。


(ひと)よ、()るが()い。貴方(あなた)方が()()()きるには、(すべ)意義(いぎ)()るのだ。()意義蛊(いぎこ)(たず)()てさえすれば、貴方(あなた)次姉(じし)正気(しょうき)(かえ)(こと)出来(でき)よう。(わたくし)()(しめ)方角(ほうがく)へ、ひたすらに、ひたすらに(すす)(たま)え。(かなら)ずや意義蛊(いぎこ)辿(たど)()かん」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(ばん)感謝(かんしゃ)(あらわ)し、(またた)くも旅立(たびだ)ちの支度(したく)(ととの)えた。


愛情(あいじょう)困惑(こんわく)偽装(ぎそう)三蛊(さんこ)は、(かれ)(とお)ざかる背中(せなか)(なが)め、(そろ)って哄笑(こうしょう)()らした。


()()(なか)に、()たして意義蛊(いぎこ)など存在(そんざい)するだろうか?


(もと)より()のような蛊虫(こちゅう)存在(そんざい)せず、北冥氷魄(ほくめいひょうはく)如何(いか)(さが)(もと)めようと、()れを()()だす(すべ)()いのである。


馬鹿者(ばかもの)め、(だれ)貴様等(きさまら)(わし)逆鱗(げきりん)()れしめると()った? (おも)()らせて()ろう。愛情(あいじょう)懲罰(ちょうばつ)()()には、()以上(いじょう)()恐怖(きょうふ)(あじ)わわせてくれるわ! さあ、()れからは(かれ)()(まわ)し、()わる()わる(もて)あそんでやろうではないか」


愛情蛊(あいじょうこ)提案(ていあん)は、(ほか)二蛊(にこ)賛同(さんどう)()た。


()くして、北冥氷魄(ほくめいひょうはく)三蛊(さんこ)順番(じゅんばん)翻弄(ほんろう)され、筆舌(ひつぜつ)()くし(がた)苦難(くなん)(あじ)わされた。(しか)れども、(かれ)(きょ)ろな意義蛊(いぎこ)(さが)(もと)める(ため)(なお)()まず(たゆ)まず()みを(すす)(つづ)けたのである。


()精神(せいしん)は、思想蛊(しそうこ)(こころ)()った。


愛情蛊(あいじょうこ)不在(ふざい)()じて、思想蛊(しそうこ)(ふたた)北冥氷魄(ほくめいひょうはく)(もと)()()け、援助(えんじょ)()()()べようとした。


思想(しそう)(なん)(よう)だ? 俺達(おれたち)(いま)(たの)しんでいるところだぞ」


困惑蛊(こんわくこ)偽装蛊(ぎそうこ)(つよ)思想蛊(しそうこ)拒絶(きょぜつ)した。


思想蛊(しそうこ)(わら)()ばした。


(わたくし)愛情(あいじょう)(おそ)れるのは事実(じじつ)だが、貴様(きさま)二人(ふたり)(おそ)れる理由(りゆう)微塵(みじん)()い。若人(わこうど)よ、()(ちから)()りて、(すみ)やかに正気(しょうき)(かえ)れ!」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)思想蛊(しそうこ)能力(のうりょく)()り、真相(しんそう)見極(みきわ)め、困惑(こんわく)から(だっ)し、偽装(ぎそう)見破(みやぶ)った。


困惑蛊(こんわくこ)偽装蛊(ぎそうこ)()(すべ)()敗走(はいそう)する(ほか)()かった。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)思想蛊(しそうこ)感謝(かんしゃ)()(つた)えた。


思想蛊(しそうこ)よ、感謝(かんしゃ)する。貴方(あなた)()たからこそ、次姉(じし)(すく)方法(ほうほう)(おも)()(こと)出来(でき)た」


「おや?()れは如何(いか)なる方法(ほうほう)かな?」


()()に、(たし)かに意義蛊(いぎこ)存在(そんざい)しない。(しか)()(みずか)意義蛊(いぎこ)(つく)()(こと)出来(でき)よう」


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)自信(じしん)()ちた口調(くちょう)(こた)えた。


(ひと)が生きる(こと)自体(じたい)意味(いみ)()い。(しか)し、意味(いみ)付与(ふよ)する(こと)可能(かのう)なのだ。


北冥氷魄(ほくめいひょうはく)古月陰荒(こげついんこう)(もと)(もど)り、(みずか)らの()(ひと)つの意義蛊(いぎこ)(そう)(ぞう)し、古月陰荒(こげついんこう)脳裏(のうり)()()んだ。


()れが生きる意味(いみ)は、成功蛊(せいこうこ)(さが)()し、(ちち)(よみがえ)らせる(ため)である! ()かった、理解(りかい)した!」


古月陰荒(こげついんこう)両眼(りょうがん)突如(とつじょ)(かがや)()した。


……


「生きる意味(いみ)か……」


唐方(とうほう)()()っていた(ふで)()いた。


(よる)()けて、王庭福地(おうていふくち)には(やさ)しい(ぎん)(かがや)きが大地(だいち)(おお)っている。


(なが)()(うつ)しの作業(さぎょう)が、(かれ)(こころ)感慨(かんがい)()()がらせた。


(ひと)()()()きていれば、(つね)(まよ)いを(かん)じるものだ。(しか)し、一度(いちど)自分(じぶん)人生(じんせい)意義(いぎ)見出(みいだ)せば、(すす)むべき(みち)()え、(いさ)ましく(まえ)(すす)むことができる。同時(どうじ)に、(おのれ)(なに)(ほっ)し、(なに)(ほっ)しないかが()かり、犠牲(ぎせい)(おそ)れなくなる。姉上(あねうえ)(わたし)()(うつ)しを(めい)じた真意(しんい)も、(おそ)らく()れにあるのだろう」


(かれ)(しず)かに(まど)()け、眼前(がんぜん)(ひろ)がる(かがや)きに()ちた聖宮(せいきゅう)(なが)めながら、様々(さまざま)な人々(ひとびと)——(つよ)(もの)(よわ)(もの)も——のことを(おも)(めぐ)らせた。


()(むね)(うち)次第(しだい)(あつ)(たか)まっていった。


各人(かくじん)生命(せいめい)には、それぞれ様々(さまざま)な意義(いぎ)がある。(しこう)して()意義(いぎ)は、部族(ぶぞく)(ひき)い、繁栄(はんえい)へと(みちび)くことにある!」


()(ころ)近水楼台(きんすいろうだい)にて──


(おの)れを犠牲(ぎせい)にする(こころ)だと?」


方源(ほうげん)口元(くちもと)に、一片(いっぺん)傲然(ごうぜん)とした冷笑(れいしょう)()かんだ。


(かれ)右腕(みぎうで)()ばし、()(じん)(ちゅう)(ちょ)もなく巨碗(きょわん)()()()み、(なか)招災蛊(しょうさいこ)(じか)()()した。


(かれ)気息(きそく)()()りながら、招災蛊(しょうさいこ)(からだ)(ひかり)一閃(いっせん)し、(またた)()方源(ほうげん)所有物(しょゆうぶつ)()った。


全過程(ぜんかてい)(おど)(ほど)円滑(えんかつ)(すす)み、()(どう)(いっ)反噬(はんせい)(いっ)つとて()かった。


穿越者(つうえつしや)としての身份(みぶん)前世(ぜんせ)五百年(ごひゃくねん)(わた)経験(けいけん)が、(すで)(かれ)生死(せいし)見極(みきわ)(さと)らしめていた。


(いず)れの親情(しんじょう)友情(ゆうじょう)愛情(あいじょう)も、最早(もはや)(かれ)興味(きょうみ)埒外(らちがい)であった。


(ただ)永遠(えいえん)(せい)こそが、(かく)崇高(すうこう)なれども()(とど)かぬ目標(もくひょう)であるからこそ、(かれ)生命(せいめい)(たび)強烈(きょうれつ)(おもむ)きを(もたら)()るのだ。


()れこそ(かれ)()(せい)賦与(ふよ)した意義(いぎ)である!


(ただ)し、永生(えいせい)()(こと)は、(けっ)して()失敗(しっぱい)(おそ)れている(わけ)では()い。


()失敗(しっぱい)(たい)して、(かれ)()えて(これ)()()れる。


(さら)には、永生(えいせい)その(もの)存在(そんざい)でさえ、(なん)証拠(しょうこ)がある(わけ)では()い。


(しか)し、(たと)存在(そんざい)()くとも、(いか)()ろう?


方源(ほうげん)()過程(かてい)その(もの)(たの)しんでいる。永生(えいせい)()(もと)める過程(かてい)(なか)で、(かれ)意義(いぎ)見出(みいだ)し、()(せい)盎然(おうぜん)たる(おもむ)きを(かん)()っている。


肉体(にくたい)低次元(ていじげん)欲望(よくぼう)や、愛憎(あいぞう)情念(じょうねん)充足(じゅうそく)など、(かれ)(とっく)()()きしている。


()永生(えいせい)のみが、追求(ついきゅう)する値打(ねう)ちのある目標(もくひょう)なのだ。


(ゆえ)に、犠牲(ぎせい)する覚悟(かくご)など、()れは(すで)()うるのである」


方源(ほうげん)幽邃(ゆうすい)眼光(がんこう)で、()(なか)七転仙蛊(しちてんせんこ)玩味(がんみ)していた。




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