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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百六十節:众人蜂拥各有意

八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)未曾有(みぞう)驚変(きょうへん)は、聖宮(せいきゅう)(かみ)から(しも)までを(おお)いに震撼(しんかん)させた。数多(あまた)の人々(ひとびと)が()(こと)昼夜(ちゅうや)()わず(こころ)(くだ)き、(きも)()やし、(あわ)てふためいて途方(とほう)()れた。


(さいわ)い、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)一階(いっかい)崩壊(ほうかい)して()もなく、状況(じょうきょう)()()いていった。


七色(しちしょく)霞光(かこう)縮小(しゅくしょう)()め、(ふたた)持続的(じぞくてき)成長(せいちょう)(はじ)めた。


(ある)いは刺激(しげき)()けた(ため)であろうか、此度(こたび)霞光(かこう)成長拡大(せいちょうかくだい)速度(そくど)は、以前(いぜん)よりも三分(さんぶ)(はや)かった。


幾日(いくにち)(のち)濃密(のうみつ)なる(みず)(ごと)霞霧(かむ)が、(ふたた)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)第一層(だいいっそう)凝縮(ぎょうしゅく)(はじ)めた。


一旦(いったん)完全(かんぜん)成形(せいけい)するや、黒楼蘭(こくろうらん)らは()れったそうに()(なか)()()んだ。八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)出入(ではい)りは、(おも)った以上(いじょう)順調(じゅんちょう)だった。


これで黒楼蘭(こくろうらん)(おお)いに安心(あんしん)した。


(いか)(くる)っていた黒楼蘭(こくろうらん)も、次第(しだい)平静(へいせい)を取り(とりもど)していった。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(かれ)にとって(きわ)めて重要(じゅうよう)だった。(はは)復讐(ふくしゅう)()たすには、蛊仙(こせん)昇華(しょうか)せねばならない。十絶体(じゅうぜったい)(ひと)つである大力真武体(だいりきしんぶたい)として、(せん)目指(めざ)以上(いじょう)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)から力道仙蛊(りきどうせんこ)()にいれるしか希望(きぼう)はなかったのだ。


人祖伝(じんそでん)』には、(すで)にこう(しる)されている。


(ひと)(ちから)()くとも、知恵(ちえ)()くとも生きて()ける。(しか)し、希望(きぼう)()ければならぬ。


黒楼蘭(こくろうらん)(ふたた)希望(きぼう)(いだ)き、心情(しんじょう)次第(しだい)上向(うわむ)きとなり、百道(ひゃくどう)関卡(かんか)猛烈(もうれつ)()()(はじ)めた。


新生(しんせい)した八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)第一層(だいいっそう)では関卡(かんか)がリセットされ、黒楼蘭(こくろうらん)以前(いぜん)(はら)った苦労(くろう)水泡(すいほう)()し、一切(いっさい)(さい)挑戦(ちょうせん)せねばならなくなった。


黒沛(こくはい)(はじ)めとする家老(かろう)たちにとって、()れは(むし)(さいわ)いなことであった。


「これこそ(わざわい)(てん)じて(ふく)()すというものだ。再挑戦(さいちょうせん)で、より(おお)くの褒賞(ほうしょう)()られる!」


(ある)いは()れは仙尊(せんそん)なる御先祖様(ごせんぞさま)(たわむ)れだったのかもしれぬ……」


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)各層(かくそう)には(ひゃく)関卡(かんか)存在(そんざい)する。関卡(かんか)(すす)(ほど)難易度(なんいど)急上昇(きゅうじょうしょう)する。歴代(れきだい)王庭勝主(おうていしょうしゅ)全層(ぜんそう)突破(とっぱ)した(もの)指折(ゆびお)(かぞ)えるほどしかいない。最終関卡(さいしゅうかんか)までは(のぞ)まぬ。()以前(いぜん)関卡(かんか)全力(ぜんりょく)突破(とっぱ)するだけで、()(ぞく)実力(じつりょく)飛躍的(ひやくてき)(たか)められるのだ!」


家老(かろう)たちは有頂天(うちょうてん)となっていたが、黒楼蘭(こくろうらん)にとっては悪報(あくほう)でしかなかった。


(かれ)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)から力道仙蛊(りきどうせんこ)()()れる方法(ほうほう)は、(ふた)つしか()い。


(ひと)つは上等突破(じょうとうとっぱ)()たし、秘蔵閣(ひぞうかく)(はい)り、血脈(けつみゃく)による身分(みぶん)利用(りよう)して、収蔵(しゅうぞう)されている仙蛊(せんこ)()(かん)する方法(ほうほう)


もう(ひと)つは各層(かくそう)最終関(さいしゅうせき)突破(とっぱ)し、()褒賞(ほうしょう)として仙蛊(せんこ)()方法(ほうほう)である。


黒楼蘭(こくろうらん)()って、前者(ぜんしゃ)方法(ほうほう)は、同量(どうりょう)珍宝(ちんぽう)用意(ようい)する必要(ひつよう)()り、現実的(げんじつてき)では()い。(しん)成功(せいこう)可能性(かのうせい)()るのは、後者(こうしゃ)方法(ほうほう)のみなのである。


最終数関(さいしゅうすうせき)突破(とっぱ)するのは、元々(もともと)(きわ)めて困難(こんなん)である。()(うえ)(いま)関卡(かんか)がリセットされ、再攻略(さいこうりゃく)(せま)られる(こと)は、(かれ)貴重(きちょう)時間(じかん)浪費(ろうひ)せねばならぬ(こと)意味(いみ)する。


(とき)(ひと)()たず。もし時限(じげん)()れば、彼等(かれら)王庭福地(おうていふくち)から()()される。()(とき)までに力道仙蛊(りきどうせんこ)()()れなければ、黒楼蘭(こくろうらん)復讐(ふくしゅう)()たせぬばかりか、(かなら)ずや()(むか)える運命(うんめい)にある。


()(ため)黒楼蘭(こくろうらん)衆議(しゅうぎ)(はい)し、独断専行(どくだんせんこう)外族(がいぞく)蛊師(こし)大規模(だいきぼ)(まね)き、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)徹底的(てっていてき)開放(かいほう)する(こと)強行(きょうこう)()(すす)めた。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)自由(じゆう)に行き()でき、黒家(こくけ)一切(いっさい)費用(ひよう)徴収(ちょうしゅう)しなかった。


()(よう)()って、黒家(こくけ)族長(ぞくちょう)除外(じょがい)すれば、聖宮(せいきゅう)(ちゅう)歓喜(かんき)()いた。


黒楼蘭殿(こくろうらんどの)気概(きがい)比類(ひるい)なきもの。歴代(れきだい)(おう)ですら()()なかった所業(しょぎょう)()された。()耶律桑(やりつそう)(おそ)()りました!」


耶律桑(やりつそう)()(さき)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(はい)り、喜色(きしょく)満面(まんめん)であった。


(かれ)耶律部族(やりつぶぞく)当代(とうだい)族長(ぞくちょう)であり、本来(ほんらい)此度(こたび)王庭之主(おうていのしゅ)最有力候補(さいゆうりょくこうほ)であった。族中(ぞくちゅう)蛊仙(こせん)たちの強力(きょうりょく)支持(しじ)()炎道仙蛊(えんどうせんこ)()()けて()()()せていたのである。


(しか)耶律桑(やりつそう)最終的(さいしゅうてき)敗北(はいぼく)し、()()けた炎道仙蛊(えんどうせんこ)(まも)(ため)()()黒楼蘭(こくろうらん)麾下(きか)(はし)った。


最終的(さいしゅうてき)には勝利(しょうり)して王庭福地(おうていふくち)(はい)(こと)出来(でき)たが、同格(どうかく)超大勢力(ちょうだいせいりょく)であり(なが)黒家(こくけ)下風(かふ)()つこと自体(じたい)屈辱(くつじょく)であった。部族(ぶぞく)(もど)れば、冷遇(れいぐう)見捨(みす)てられ、場合(ばあい)によっては(ばつ)さえ()ける可能性(かのうせい)(たか)い。


()八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(おお)いなる収穫(しゅうかく)()られれば、(こう)(もっ)(あやま)ちを(つぐな)い、面目(めんぼく)(ほどこ)して部族(ぶぞく)(もど)れるだろう!」


耶律桑(やりつそう)(むね)(はげ)しく(つづ)いた。


常山陰(じょうさんいん)(おご)るな。貴様(きさま)(いち)(にち)でも(せん)()らぬ(かぎ)り、()れに機会(きかい)(つね)にある。八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)こそ、()台頭(たいとう)(いしずえ)となってくれる!」


常飆(じょうひょう)眼光(がんこう)陰惨(いんさん)で、(かれ)最初(さいしょ)一団(いちだん)として楼内(ろうない)(はい)った強豪(きょうごう)一人(ひとり)であった。


(かれ)(ひと)りで行動(こうどう)していた(わけ)ではなく、(かたわ)らには(ひと)りの同行者(どうこうしゃ)がいた。


(まさ)単刀将(たんとうしょう)潘平(はんぺい)である。


(さき)に、潘平(はんぺい)星鷲峰(せいじゅうほう)方源(ほうげん)公然(こうぜん)機縁(きえん)(うば)われ、(むね)憤慨(ふんがい)(おさ)まらぬ状態(じょうたい)であった。


常飆(じょうひょう)()情況(じょうきょう)()るや、故意(こい)接近(せっきん)し、両者(りょうしゃ)意気投合(いきとうごう)して相棒(あいぼう)となった。


()け、()け、(みな)()(ため)開路(かいろ)先鋒(せんぽう)となれ。()生命(いのち)(もっ)て、()(ため)(みち)(ひら)け。」


黒楼蘭(こくろうらん)腹中(ふくちゅう)冷笑(れいしょう)し、(かたわ)らで楼閣主令(ろうかくしゅれい)駆動(くどう)しながら、淡々(たんたん)と続々(ぞくぞく)と楼内(ろうない)(はい)って()盛大(せいだい)(ひと)(なが)れを(しず)かに見守(みまも)っていた。


(ひと)(なが)れが次第(しだい)(まば)らになると、風貌(ふうぼう)古雅(こが)で、体格(たいかく)魁偉(かいい)なる、白袍(はくほう)(まと)った太白云生(たいはくうんせい)聖宮(せいきゅう)頂層(ちょうそう)(あらわ)れた。


太白老先生(たいはくろうせんせい)。」


黒楼蘭(こくろうらん)(こえ)をかける。


族長(ぞくちょう)殿(どの)御気概(ごきがい)驚嘆(きょうたん)(あたい)します。老生(ろうせい)(あつ)御礼(おんれい)(もう)()げます。」


太白云生(たいはくうんせい)賛嘆(さんたん)言葉(ことば)()べた。


()風采(ふうさい)翩翩(へんぺん)として、気配(けはい)悠然(ゆうぜん)としていた。自由(じゆう)()()で、人数制限(にんずうせいげん)()以上(いじょう)最初(さいしょ)一団(いちだん)無理(むり)()じる必要(ひつよう)()かった。寿蛊(じゅこ)褒賞(ほうしょう)とする(せき)は、(かなら)(うし)ろの(ほう)配置(はいち)されているはずで、現段階(げんだんかい)では(あせ)必要(ひつよう)()いのだ。


二人(ふたり)(しば)言葉(ことば)()わした(のち)太白云生(たいはくうんせい)楼中(ろうちゅう)(はい)っていった。


人多(ひとおお)きければ(ちから)()すものだな。」


()もなく、黒楼蘭(こくろうらん)(かん)(がい)にふけった。


楼閣主令(ろうかくしゅれい)から(つた)わる情報(じょうほう)によれば、膨大(ぼうだい)蛊師(こし)(かず)(もの)()わせ、前三十関(まえさんじっかん)(またた)くうちに突破(とっぱ)された。


しかし四十関(よんじっかん)()ぎると、(かず)だけでは如何(いか)ともし(がた)く、特定(とくてい)蛊師強者(こしきょうじゃ)出番(でばん)()たれるようになった。


潘平(はんぺい)常飆(じょうひょう)耶律桑(やりつそう)太白云生(たいはくうんせい)相次(あいつ)いで(ちから)発揮(はっき)し、関卡(かんか)五十三層(ごじゅうさんそう)まで推進(すいしん)された。(しか)衆人(しゅうじん)(また)足踏(あしぶ)みを余儀(よぎ)なくされ、奴道大師(どだいたいし)(ちから)必要(ひつよう)とする難題(なんだい)にぶつかったのである。


()(せき)狼王(ろうおう)御出(ごしゅつ)()()たねば、突破(とっぱ)できまい。」


太白云生(たいはくうんせい)(ゆき)(ごと)(ひげ)()でながら、沈吟(ちんぎん)して()った。


此度(こたび)王庭之争(おうていのあらそい)において、方源(ほうげん)奮闘(ふんとう)()の人々(ひとびと)に(きわ)めて強烈(きょうれつ)印象(いんしょう)(のこ)していた。北原(ほくげん)当代(とうだい)随一(ずいいち)奴道蛊師(どどうこし)という(ほま)れは、(すで)(かれ)()()ちている。


(ゆえ)に、()難関(なんかん)直面(ちょくめん)した(いま)、人々(ひとびと)は()()方源(ほうげん)(こと)(おも)()したのである。


(あや)しいな、何故(なぜ)常山陰(じょうさんいん)姿(すがた)()えぬのか?」


耶律桑(やりつそう)左右(さゆう)見回(みまわ)したが、見付(みつ)ける(こと)出来(でき)なかった。


狼王(ろうおう)(さま)最近(さいきん)(おおかみ)()れて外出(がいしゅつ)されております。」


()もなく、(だれ)かが(こた)えた。


常山陰(じょうさんいん)(じつ)非凡(ひぼん)()である。八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)自由(じゆう)()()できるというのに、微塵(みじん)動心(どうしん)しないとは!」


群衆(ぐんしゅう)(なか)から賞賛(しょうさん)(こえ)()()がった。


潘平(はんぺい)()ややかに(はな)(わら)い、陰湿(いんしつ)口調(くちょう)()った。「諸君(しょくん)(わす)れないで(いただ)きたい。我々(われわれ)の狼王(ろうおう)殿(どの)は、とっくに楼内(ろうない)(はい)っておられる。(たし)かな消息(しょうそく)によれば、上等突破(じょうとうとっぱ)()たされたとか。(ろう)()(のち)()ぐに閉関(へいかん)(えら)ばれ、黒楼蘭(こくろうらん)族長(ぞくちょう)が度々(たびたび)お(まね)きに(あず)かっても、(いち)()(おう)じられてはいないそうだ。」


一同(いちどう)(かれ)方源(ほうげん)確執(かくしつ)承知(しょうち)しており、()(ごろ)急浮上(きゅうふじょう)した単刀将(たんとうしょう)機嫌(きげん)(そん)ねる(もの)一人(ひとり)もいなかった。方源(ほうげん)(たた)える(こえ)(またた)くうちに途絶(とだ)えた。


()には一瞬(いっしゅん)沈黙(ちんもく)(なが)れた。


数多(あまた)蛊師強者(こしきょうじゃ)たちも、(かす)かに表情(ひょうじょう)(うご)かし、(なか)には(こころ)よく(おも)わない顔つきの(もの)()えた。


潘平(はんぺい)悪意(あくい)()ちた(ねら)いで、方源(ほうげん)がかつて莫大(ばくだい)利益(りえき)()にした事実(じじつ)指摘(してき)し、(さら)に人々(ひとびと)に想像(そうぞう)余地(よち)十分(じゅうぶん)(あた)える(こと)で、見事(みごと)彼等(かれら)内心(ないしん)嫉妬(しっと)(ねん)(あお)()てたのである。


()以前(いぜん)、人々(ひとびと)が体験(たいけん)()ていなければ、()嫉妬(しっと)(すく)なかっただろう。


(しか)(いま)、人々(ひとびと)は(みずか)関卡(かんか)突破(とっぱ)してきた。(おお)くの(もの)()(もっ)()恩恵(おんけい)体感(たいかん)し、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(はか)()れない価値(かち)(はだ)(かん)()っていた。()れが人々(ひとびと)の(こころ)奥底(おくそこ)(ひそ)嫉妬(しっと)憎悪(ぞうお)を、一層(いっそう)(つよ)()()てたのである!


()(とき)一人(ひとり)(わか)蛊師(こし)(こえ)沈黙(ちんもく)(やぶ)った。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(みな)開放(かいほう)されている。(だれ)でも利益(りえき)()られる。父上(ちちうえ)利益(りえき)()られたなら、それこそが実力(じつりょく)というものだ!」


衆人(しゅうじん)視線(しせん)其処(そこ)(あつ)まると、()人物(じんぶつ)(ほか)ならぬ常山陰(じょうさんいん)実子(じっし)――常極右(じょうきょくう)その(ひと)であった。


潘平(はんぺい)表情(ひょうじょう)(またた)くうちに強張(こわば)り、(どく)(ふく)んだ眼光(がんこう)常極右(じょうきょくう)(にら)()けた。


常極右(じょうきょくう)実力(じつりょく)潘平(はんぺい)幾分(いくぶん)(およ)ばぬものの、()(とき)ばかりは(むね)()ちる(ちち)への崇敬(すうけい)(ねん)()られ、一寸(いっすん)()()()らずに(ぎゃく)(にら)(かえ)した。


潘平(はんぺい)心中(しんちゅう)には殺意(さつい)沸騰(ふっとう)していたが、()()勇気(ゆうき)()かった。瞬時(しゅんじ)常極右(じょうきょくう)という後輩(こうはい)立場(たちば)(わる)(おも)いをさせられる羽目(はめ)となった。


心情(しんじょう)(もっと)複雑(ふくざつ)だったのは、常飆(じょうひょう)である。


(かれ)こそが(じつ)(ちち)でありながら、自身(じしん)()みの()()()最大(さいだい)仇敵(きゅうてき)擁護(ようご)する姿(すがた)()()たりにしていた。


()(むね)には、(かぎ)りなき苦悩(くのう)憎悪(ぞうお)渦巻(うずま)いていた!


「ゴホン。」


太白云生(たいはくうんせい)仲裁(ちゅうさい)()()がった。「諸君(しょくん)()(せき)集中(しゅうちゅう)すべきではなかろうか。」


当面(とうめん)(さく)(もう)すは、狼王様(ろうおうさま)御出(ごしゅつ)()(ねが)(ほか)あるまい。」


「我々(われわれ)の(なか)では、太白老先生(たいはくろうせんせい)が最も御高徳(ごこうとく)名声(めいせい)をお()ちで御座(ござ)います。先生(せんせい)(みずか)御手紙(おてがみ)(ひと)(つう)したためて(いただ)ければ、(かなら)ずや狼王様(ろうおうさま)御来駕(ごらいが)があろうかと。」


蛊師(こし)たちが口々(くちぐち)に()()てる(なか)常飆(じょうひょう)潘平(はんぺい)(たが)いを見交(みか)わせ、心中(しんちゅう)(ひそ)かに焦燥(しょうそう)(おぼ)えた。


()狼王(ろうおう)()()せば、()(せき)突破(とっぱ)できるのは必定(ひつじょう)であった。


(しか)()うなれば、(かれ)関卡(かんか)褒賞(ほうしょう)()させるのみならず、()手腕(しゅわん)発揮(はっき)させ、一層(いっそう)威信(いしん)付与(ふよ)する(こと)になる。()れは二人(ふたり)(とも)()たくない結末(けつまつ)であった。


潘平(はんぺい)()()けて()めた。


潘平(はんぺい)阻止(そし)したかったが、(よう)やく太白云生(たいはくうんせい)仲裁(ちゅうさい)()(だい)()たばかり。()(また)常極右(じょうきょくう)(から)まれたら、面子(めんつ)完全(かんぜん)(つぶ)れてしまう!


常飆(じょうひょう)潘平(はんぺい)二度(にど)三度(さんど)(くち)ごもるのを(かげ)から観察(かんさつ)し、内心(ないしん)で「懦夫(だふ)め」と(ののし)りながら、人込(ひとご)(なか)暗線(あんせん)目配(めくば)せした。


()暗線(あんせん)()ぐに()()し、人々(ひとびと)の(なか)から(さけ)んだ。「狼王様(ろうおうさま)万機(ばんき)多忙(たぼう)で、容易(ようい)にはお()(いただ)けまい。それ不如(いさぎよ)唐妙鳴様(とうみょうめいさま)をお(まね)きした方が()ろしい。奴道(どどう)造詣(ぞうけい)(すで)大師(たいし)(いき)(せま)っておられます。」


太白云生(たいはくうんせい)(おも)わず心動(こころうご)かされた。


(かれ)方源(ほうげん)接点(せってん)(すく)ないが、()の「高慢(こうまん)」さは十分(じゅうぶん)承知(しょうち)していた。(まね)きを(こば)まれる気詰(きづ)まりを(あじ)わうより、唐妙鳴(とうみょうめい)(こころ)みさせた(ほう)賢明(けんめい)だろう。


ざわざわ……


幾群(いくぐん)もの極楽雪蝠(ごくらくせっぷ)()れが、四方八方(しほうはっぽう)から()()ち、(あた)かも百川(ひゃくせん)(うみ)(そそ)(ごと)く、地丘(ちきゅう)洞穴(どうけつ)目指(めざ)して飛来(ひらい)する。


方円百里(ほうえんひゃくり)異香(いこう)(はな)()つ。


(まさ)()濃厚(のうこう)なる異香(いこう)が、極楽雪蝠(ごくらくせっぷ)()れを誘引(ゆういん)していたのである。


()段階(だんかい)(いた)って、煉蛊(れんこ)終局(しゅうきょく)(ちか)づいていた。


()(ほう)獣命(じゅうめい)献祭(けんさい)するもの。(じつ)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)運転(うんてん)と、異曲同工(いきょくどうこう)(たえ)()る。()だ、小塔楼(しょうとうろう)野蛊(やこ)犠牲(ぎせい)にし、力量(りきりょう)統合(とうごう)するに()ぎぬ。」


実践(じっせん)(もっ)てして、方源(ほうげん)此度(こたび)煉蛊(れんこ)(たい)する理解(りかい)一層(いっそう)(ふか)めていた。


異香(いこう)次第(しだい)(うす)れ、誘引源(ゆういんげん)(うしな)った(のこ)(すく)ない極楽雪蝠(ごくらくせっぷ)()れは(あわ)てふためいて()(まど)った。


「もはや完成(かんせい)目前(もくぜん)だ!」


方源(ほうげん)(いき)(あら)く、双眸(そうぼう)地洞(ちどう)から一瞬(いっしゅん)(はな)さず、興奮(こうふん)(いろ)(かく)()れなかった。











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