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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百五十八節:三份传承显本性

王庭福地(おうていふくち)夜空(よぞら)は、(ぎん)燦燦(さんさん)(かす)み、(しゃ)(ごと)(きり)(ごと)く、広漠(こうばく)たる大地(だいち)(あまね)()(そそ)いでいる。


天青狼群(てんせいろうぐん)一団(いちだん)(そら)(おの)ずと()(まわ)り、(てん)()(とり)()(はし)獲物(えもの)()()けてはいるが、(けっ)して()りの(ため)ではなく、純粋(じゅんすい)()(まわ)っては(たわむ)れているのだ。


方源(ほうげん)地丘(ちきゅう)頂上(ちょうじょう)()ち、(ゆる)やかに睜眼(そうがん)した。


()(まで)の日々(ひび)、(かれ)煉蛊(れんこ)必要(ひつよう)準備(じゅんび)(ととの)えたのみならず、(ひろ)狼群(ろうぐん)をも招集(しょうしゅう)していた。


天青狼群(てんせいろうぐん)のみならず、地上(ちじょう)普通(ふつう)野狼(やろう)(ふく)め、亀甲狼(きっこうろう)水狼(すいろう)夜狼(やろう)など、()(かず)(すで)二十万頭余(にじゅうまんとうあま)りに(たっ)している。


狼群(ろうぐん)(すで)附近(ふきん)百里(ひゃくり)範囲(はんい)分散(ぶんさん)し、(すく)なからぬ警戒(けいかい)役目(やくめ)()たし()る。(いわ)んや(そら)()天青狼群(てんせいろうぐん)は、()狼王(ろうおう)(あかし)()った。大方(おおかた)蛊師(こし)()れを()れば、常山陰(じょうさんいん)()りをしていると(さと)り、(すす)んで三舍(さんしゃ)退(しりぞ)(こと)であろう。」


()(すす)んて退(しりぞ)かねば、()邪心(じゃしん)あらんとする証左(しょうさ)である。


()かる蛊師(こし)は、一旦(いったん)狼群(ろうぐん)発見(はっけん)されなば、(かなら)ずや猛烈(もうれつ)なる包囲攻撃(ほういこうげき)(まね)(こと)必定(ひつじょう)である。


無論(むろん)意図(いと)せず闖入(ちんにゅう)する無実(むじつ)(もの)存在(そんざい)しよう。(しか)れど方源(ほうげん)()(ほど)多くは()にかけぬ。狼群(ろうぐん)(ころ)されれば、()運不運(うんふうん)(なげ)くのみである。


方源(ほうげん)(ふたた)視線(しせん)遠方(えんぽう)(てん)じ、(たと)聖宮(せいきゅう)から(はる)(とお)(はな)れていると(いえ)ど、依然(いぜん)として地平線(ちへいせん)(かがや)絢爛(けんらん)たる彩霞(さいか)視認(しにん)できた。


聖宮(せいきゅう)(ない)では、(すで)(ふたた)天空(てんくう)(おお)霞光(かこう)(みなぎ)り、(うつ)しく(まぼろ)しき光景(こうけい)現出(げんしゅつ)させている——()れは八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)が、(いま)まさに第二層(だいにそう)凝結(ぎょうけつ)せんとする(きざ)しなのである。


方源(ほうげん)()って、()れは別段(べつだん)意味合(いみあ)いを()つ。


小塔楼(しょうとうろう)が続々(ぞくぞく)と沈没(ちんぼつ)し、塔内(とうない)無数(むすう)野蛊(やこ)犠牲(ぎせい)にして、仙蛊屋(せんこや)凝結(ぎょうけつ)させる偉力(いりょく)形成(けいせい)される。


()彩霞(さいか)は、()偉力(いりょく)蓄積(ちくせき)されている(あか)しである。量変(りょうへん)質変(しつへん)()()こす瀬戸際(せとぎわ)に、(おもむ)ろに(たっ)しつつある。


方源(ほうげん)地丘伝承(ちきゅうでんしょう)(ひら)かんとすれば、()偉力(いりょく)()り、()れを回流(かいりゅう)させねばならない。


黒楼蘭(こくろうらん)(せき)打通(だつう)せん(ため)に、(わざ)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)開放(かいほう)し、群情(ぐんじょう)激昂(げきこう)させ、蛊師(こし)たちを(あり)()()(ごと)()()てている。()(しら)せが(ひろ)まれば、聖宮(せいきゅう)(そと)散在(さんざい)する蛊師(こし)たちも、続々(ぞくぞく)と(つど)(きた)るであろう。衆人(しゅうじん)注意(ちゅうい)(すで)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)集中(しゅうちゅう)している。()(とき)(まさ)()伝承(でんしょう)(ひら)好機(こうき)なるかな!」


方源(ほうげん)双眸(そうぼう)()ける(ごと)(かがや)き、(かす)かに微笑(ほほえ)んだ。躊躇(ちゅうちょ)する(こと)()く、(じか)()(くだ)した。


()け。」


(かれ)(かる)(はら)(たた)くと、瞬時(またた)くうちに(くう)こうから三十六匹(さんじゅうろっぴき)蛊虫(こちゅう)()()した。


()れらの蛊虫(こちゅう)(かたち)(こと)なり、(からだ)小柄(こがら)で、(つめ)(さき)半分(はんぶん)(ほど)(おお)きさ。五芒星(ごぼうせい)(ごと)く、乳白色(にゅうはくしょく)微光(びこう)(はな)っている。


(すべ)ては一転(いってん)小光蛊(しょうこうこ)光道(こうどう)において非常(ひじょう)(ゆう)(めい)補助蛊(ほじょこ)である。


方源(ほうげん)心念(しんねん)(したが)い、()れら小光蛊(しょうこうこ)は次々(つぎつぎ)と地丘(ちきゅう)洞穴(どうけつ)(なか)()()み、(まばた)くうちに洞内(どうない)暗闇(くらやみ)(あま)(ところ)なく駆逐(くちく)した。


方源(ほうげん)(さら)十三匹(じゅうさんびき)光柵蛊(こうさくこ)()()した。


()()三转(さんてん)蛊虫(こちゅう)()ぎないが、同様(どうよう)光道(こうどう)(みなもと)(はっ)する。(ひと)たび(はな)たれれば、(さく)へと()わり、目標(もくひょう)禁錮(きんこ)する(こと)出来(でき)る。


光柵蛊(こうさくこ)同様(どうよう)洞穴(どうけつ)(なか)()()み、(さき)(はい)った小光蛊(しょうこうこ)()ざり()ったが、(なん)異変(いへん)()られなかった。


方源(ほうげん)(かす)かに()み、(てのひら)(ひるが)えすと三匹(さんびき)五转光道蛊(ごてんこうどうこ)(はな)った。


()れら三匹(さんびき)()は、それぞれ速度(そくど)増加(ぞうか)(ため)迅電流光蛊(じんでんりゅうこうこ)治療(ちりょう)(よう)春光無限蛊(しゅんこうむげんこ)攻撃(こうげき)(よう)火光燭天蛊(かこうしょくてんこ)である。


迅電流光蛊(じんでんりゅうこうこ)青藍(せいらん)(しょく)(ひかり)(たた)え、電光(でんこう)(きら)めかせながら、()(さき)洞穴(どうけつ)飛込(とびこ)んだ。


一向(いっこう)静寂(せいじゃく)(たも)っていた土丘(どきゅう)は、()(とき)(はじ)めて異変(いへん)()こした。


(あた)かも機関(きかん)作動(さどう)した(ごと)く、洞穴(どうけつ)周囲(しゅうい)土壌(どじょう)蠕動(ぜんどう)(はじ)め、(たが)いに融合(ゆうごう)閉鎖(へいさ)して()った。


青藍(せいらん)電光(でんこう)は、(さき)(はな)たれた小光蛊(しょうこうこ)を次々(つぎつぎ)と()(やぶ)り、(あわ)藍色(あいいろ)光暈(こううん)()って、(さか)んに(そと)()()ようとする(つよ)(いきお)いを()せた。


(しか)()れと同時(どうじ)に、光柵蛊(こうさくこ)(つら)なり()って(ひかり)(さく)形成(けいせい)し、(あや)うく(あわ)藍色(あいいろ)光華(こうが)(おお)(かく)した。


光華(こうが)噴出(ふんしゅつ)せんとしつつあった()(とき)春光無限蛊(しゅんこうむげんこ)飛来(ひらい)し、(かぎ)りなき碧緑(へきりょく)霞光(かこう)(はな)ち、(みず)(ごと)(やわ)らかに藍色(あいいろ)(ひかり)()さえ()み、両者(りょうしゃ)拮抗(きっこう)状態(じょうたい)(おちい)った。


最終的(さいしゅうてき)に、火光燭天蛊(かこうしょくてんこ)洞穴(どうけつ)(ない)()()むと、濃密(のうみつ)赤芒(せきぼう)へと()わり、(みどり)(かすみ)(つらぬ)き、(さら)には(あい)(ひかり)をも()()いて、洞窟(どうくつ)奥深(おくふか)くへ(しず)んでいった。


轟々(ごうごう)という(おと)(とも)に、洞穴(どうけつ)入口(いりぐち)完全(かんぜん)閉鎖(へいさ)された。大地(だいち)(ふか)くで、三色(さんしょく)光輝(こうき)(たが)いに()()い、方源(ほうげん)にも()(あらわ)(がた)不思議(ふしぎ)変化(へんか)()きているのであった。


方源(ほうげん)()光景(こうけい)目撃(もくげき)し、(むね)(うち)(すこ)安堵(あんど)(いき)()いた。密語(みつご)(うた)われし「土中(どちゅう)(ひかり)()む」の意味(いみ)を、(あやま)りなく(かい)した(こと)確信(かくしん)したのである。


(たと)八割方(はちわりほう)確信(かくしん)()ったと(いえ)ども、(あやま)りを危惧(きぐ)せずにはいられなかった。(なん)となれ(かれ)()(あく)しているのは、地丘伝承(ちきゅうでんしょう)後半(こうはん)手掛(てが)かりに()ぎない。()伝承(でんしょう)前半(ぜんはん)は、中洲蛊仙(ちゅうしゅうこせん)掌中(しょうちゅう)()るのだから。


(しか)()後半(こうはん)手掛(てが)かりは、(とく)()伝承(でんしょう)如何(いか)にして(ひら)くかを(しる)している。


方源(ほうげん)煉道(れんどう)大師(たいし)としての基盤(きばん)と、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)についての情報(じょうほう)駆使(くし)し、()いて()密語(みつご)看破(かんぱ)する(こと)で、途中(とちゅう)から()伝承(でんしょう)強奪(ごうだつ)する可能性(かのうせい)()にしたのであった。


約半刻(やはんとき)()ぎる(ころ)地底(ちてい)轟音(ごうおん)次第(しだい)(ほそ)まっていった。


(しか)地面(じめん)(たぎ)(ごと)(ねつ)()び、(たと)方源(ほうげん)北原(ほくげん)鹿皮靴(しかがわぐつ)()いていようとも、()熱気(ねっき)遮断(しゃだん)する(こと)出来(でき)なかった。


地面(じめん)洞穴(どうけつ)(ゆる)やかに(ひら)かれ、内部(ないぶ)光輝(こうき)一滴(いってき)(のこ)さず、漆黒(しっこく)(やみ)(ふか)(ひろ)がっていた。


方源(ほうげん)()光景(こうけん)()て、(おどろ)くどころか(かえ)って(よろこ)びが()いた。


土中光(どちゅうひかり)()む」の(つぎ)は「芒高万丈(ぼうこうばんじょう)」である。()れを文字通(もじどお)りに(かい)すれば、千里(せんり)(あやま)りを(しょう)じる。


()密語(みつご)(また)(ひと)つの試練(しれん)であり、蛊師(こし)煉道(れんどう)素養(そよう)()るかどうかを()うものである。


密語(みつご)煉道(れんどう)(かん)わる以上(いじょう)、「芒高万丈(ぼうこうばんじょう)」は(たん)なる景観(けいかん)描写(びょうしゃ)ではなく、(つぎ)煉蛊(れんこ)手順(てじゅん)()べたものなのである!


方源(ほうげん)(あわ)てず(さわ)がず、順番(じゅんばん)五转防御(ごてんぼうぎょ)芒刺在背蛊(ぼうしざいはいこ)二匹(にひき)偵察用(ていさつよう)高瞻遠瞩蛊(こうたんえんしょくこ)三匹(さんびき)攻撃用(こうげきよう)万箭穿心蛊(ばんせんせんしんこ)一匹(いっぴき)(なら)びに補助専門(ほじょせんもん)火冒三丈蛊(かぼうさんじょうこ)九匹(きゅうひき)投下(とうか)した。


洞内(どうない)では灰黄(かいはく)煙塵(えんじん)が滾々(こんこん)と(ひるが)えっているが、(けっ)して(そと)(あふ)()すことはない。


啾啾(しゅうしゅう)」という(とり)鳴声(なきごえ)か、(ある)いは()空気(くうき)()(するど)飛翔音(ひしょうおん)か、(けむり)(なか)からかすかに()こえてくる。


()異様(いよう)光景(こうけい)半柱香(はんちゅうこう)ほど(つづ)いた(のち)(ふたた)暗闇(くらやみ)(つつ)まれた。


大地(だいち)(ふたた)()()い、洞穴(どうけつ)跡形(あとかた)もなく()()せた。


今度(こんど)土丘(どきゅう)(ねつ)(はっ)する()わりに、(いと)()くような寒気(かんき)(ただよ)い、方源(ほうげん)両足(りょうあし)をしびれるほどに(こご)えさせた。


方源(ほうげん)一口(ひとくち)濁気(だくき)()()し、視線(しせん)聖宮(せいきゅう)方向(ほうこう)()けた。


()(わたし)()(ちが)いで()ければ、(つづ)いて聖宮(せいきゅう)では大混乱(だいこんらん)()こるであろう……」


()(とき)聖宮(せいきゅう)


()偏殿(へんでん)片隅(かたすみ)樹影(じゅえい)(かく)れた暗門(あんもん)が、(おと)()(ひら)かれた。


(ゆき)(ごと)白髪(はくはつ)老翁(ろうおう)と、中年(ちゅうねん)蛊師(こし)(つづ)いて(あら)われた。


老先生(ろうせんせい)、どうか御足元(おあしもと)()をつけて。」


黒沛(こくはい)(だい)家老(かろう)(たい)(はく)雲生(うんせい)暗門(あんもん)まで見送(みおく)り、(むね)(たた)いて(ちか)った。「御安心(ごあんしん)(くだ)さい。(わたくし)(かなら)老先生(ろうせんせい)(ため)来客令(らいきゃくれい)手配(てはい)(いた)します。」


(たい)(はく)雲生(うんせい)(かる)(わら)った。「黒沛(こくはい)(だい)家老(かろう)保証(ほしょう)とあらば、(てつ)(ごと)確約(かくやく)御座(ござ)います。老漢(ろうかん)十分(じゅうぶん)安心(あんしん)して()ります。()以上(いじょう)見送(みおく)りには(およ)びません。では失礼(しつれい)(いた)します。」


御免(ごめん)(くだ)さい。」


黒沛(こくはい)(だい)家老(かろう)右手(みぎて)(むね)()て、一礼(いちれい)した。(たい)(はく)雲生(うんせい)(しげ)った樹木(じゅもく)(かげ)(かく)れ、()がり(かど)(まわ)って視界(しかい)から()えるのを、(かれ)見送(みおく)っていた。


仙尊(せんそん)伝承(でんしょう)吸引力(きゅういんりょく)(じつ)(おお)きいものだ。太白云生(たいはくうんせい)のような(かた)までが、(わたし)賄賂(わいろ)しようとは。」


黒沛(こくはい)心中(しんちゅう)(かん)(がい)した。


黒楼蘭(こくろうらん)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)開放(かいほう)して以来(いらい)()(こと)()()()黒沛(こくはい)(だい)家老(かろう)は、()()けるほど人気(にんき)(まと)となった。


日々(ひび)、様々(さまざま)な人々(ひとびと)が(おもて)()きの挨拶(あいさつ)内密(ないみつ)訪問(ほうもん)(おとず)れ、人脈(じんみゃく)(もと)める(もの)親戚(しんせき)関係(かんけい)(よそお)(もの)賄賂(わいろ)(おく)(もの)色仕掛(いろじか)けで(せま)(もの)さえ(あらわ)れた。


(しか)太白云生(たいはくうんせい)内密(ないみつ)訪問(ほうもん)は、依然(いぜん)として黒沛(こくはい)(あん)(もく)(おどろ)きを(いだ)かせた。


太白云生(たいはくうんせい)徳高望重(とくこうぼうじゅう)であり、(げん)北原(ほくげん)においてほぼ第一(だいいち)治療(ちりょう)蛊師(こし)である。数多(あまた)人命(じんめい)(すく)い、品行(ひんこう)正大光明(せいだいこうめい)で、()影響力(えいきょうりょく)(きわ)めて(おお)きい。


黒沛(こくはい)(ゆめ)にも(おも)わなかった——(くら)がりで賄賂(わいろ)()()うような(こと)が、太白云生(たいはくうんせい)のような人柄(ひとがら)()こるとは。


所詮(しょせん)太白老先生(たいはくろうせんせい)人間(にんげん)なのだ。来客令(らいきゃくれい)数少(かずすく)なく、(わたし)(かれ)立場(たちば)なら、とっくに()ても()っても()られなかっただろう。」


黒沛(こくはい)(ふく)(わら)いを()かべ、無意識(むいしき)(かお)()げて聖宮(せいきゅう)頂上(ちょうじょう)(はる)かに見上(みあ)げた。


其処(そこ)では、燦爛(さんらん)たる彩霞(さいか)が、濃霧(のうむ)(ごと)蓄積(ちくせき)されていた。


(かすみ)奥深(おくふか)くに、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)第二層(だいにそう)虚影(きょえい)が、(おぼろ)()(かく)れしている。


()もなく、第二層(だいにそう)具現(ぐげん)するだろう。」


(とお)(はな)れた場所(ばしょ)で、太白云生(たいはくうんせい)(はる)彼方(かなた)(しず)かに見据(みす)えていた。


七色(なないろ)霞光(かこう)が、(かれ)(ゆき)(ごと)(しろ)鬚髮(しゅはつ)()らし、(しわ)(きざ)まれた(かお)()()げていた。


太白云生(たいはくうんせい)表情(ひょうじょう)はぼんやりと(かす)み、記憶(きおく)奥底(おくそこ)から(ひと)つの光景(こうけい)がふと(よみがえ)ってきた。


あの夕暮(ゆうぐ)(どき)地平線(ちへいせん)夕焼(ゆうや)(ぐも)()(ごと)()()がり、(にしき)(ごと)絶倫(ぜつりん)(うつく)しさだった。十四歳(じゅうよんさい)だった太白云生(たいはくうんせい)は、(みずか)らの人生(じんせい)()える(ろう)乞食(こじき)出会(であ)った。


少年(しょうねん)よ、貴様(きさま)()(ろう)いぼれ乞食(こじき)(みず)一碗(いっぱん)(めぐ)み、(いのち)(すく)ってくれた。(なに)()しいか、()って()よ。(かなら)(かな)えて()せよう!」


老乞食(ろうこじき)(むらさき)がかった(あか)(ぱつ)をぼさぼさに()ばし、()がふれたかと思うと意識(いしき)(うしな)い、(しか)正気(しょうき)(かえ)った(とき)(かれ)()(うみ)(ごと)蒼古(そうこ)で、(ひと)(わす)(がた)深遠(しんえん)気品(きひん)(はな)っていた。


(わたし)蛊師(こし)()りたい!」


(わか)()太白云生(たいはくうんせい)(おも)わず(くち)()いて()た。


「では、どんな蛊師(こし)になりたいのかね? ふふふ、ちょうど(みっ)つの完璧(かんぺき)伝承(でんしょう)があるんだが。第一(だいいち)伝承(でんしょう)は、()(うみ)()(めぐ)り、俗塵(ぞくじん)睥睨(へいげい)する(もの)となれる。第二(だいに)伝承(でんしょう)は、(かぜ)(つか)んで天空(てんくう)()い、天下(てんか)逍遥(しょうよう)できる。第三(だいさん)伝承(でんしょう)は、生死(せいし)()え、衆生(しゅじょう)救済(きゅうさい)する(ちから)(あた)える。」


老乞食(ろうこじき)(わら)うと、(くず)れかけた()ばんだ()(のぞ)かせた。


少年(しょうねん)太白云生(たいはくうんせい)は、(まゆ)をひそめて(しば)(かんが)え、最終的(さいしゅうてき)第三(だいさん)伝承(でんしょう)(えら)んだ……


(ひとみ)(かす)みが(おもむ)ろに()れ、記憶(きおく)から現実(げんじつ)へと(こころ)(もど)すと、太白云生(たいはくうんせい)自嘲(じちょう)気味(ぎみ)(わら)い、(つぶや)くように()った。「つまるところ、(ほん)(とう)は私も()(おそ)()(なが)らえる俗人(ぞくじん)なのだ。」


(わか)(ころ)はそれに()づかず、生死(せいし)()()れていたため、かえって冷淡(れいたん)(おも)っていた。


(しか)太白云生(たいはくうんせい)次第(しだい)老境(ろうきょう)()()かり、昔日(せきじつ)健康(けんこう)活気(かっき)(あふ)れし身体(からだ)()()てんとするに(したが)い、(かれ)(わか)()()時代(じだい)一層(いっそう)(なつ)かしむようになっていた。


往々(おうおう)にして、(ひと)思想(しそう)()のおかれた環境(かんきょう)(おう)じて()わるものである。


()地上(ちじょう)では、生死(せいし)()(がた)(かべ)であり、()()でも冷淡(れいたん)(かま)えねばならぬ。(しか)此処(ここ)では、仮令(たとえ)一缕(いちる)生機(せいき)たりとも、一筋(ひとすじ)希望(きぼう)なりとも、(かなら)ずや足掻(あが)くのである!


()(じっ)()()(きょう)()って(はじ)めて、太白云生(たいはくうんせい)は「()」という文字(もじ)(なか)に、()()れぬ恐怖(きょうふ)(ひそ)むことを次第(しだい)(さと)るようになった。


(まさ)()(ゆえ)に、(かれ)(ひそ)かに情勢(じょうせい)(さぐ)り、幾届(いくさい)もの(とき)()(しの)び、(つい)時流(じりゅう)見極(みきわ)めて、此度(こたび)王庭之争(おうていのあらそい)参加(さんか)し、王庭福地(おうていふくち)(あし)()()れたのである。


()(わたくし)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)から寿蛊(じゅこ)()出来(でき)れば、寿命(じゅみょう)()ばす(こと)出来(でき)よう。寿蛊(じゅこ)(たし)かに(さが)(がた)く、取引(とりひき)(さら)困難(こんなん)だが、八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(なか)には(かなら)存在(そんざい)するであろう。()最終的(さいしゅうてき)寿蛊(じゅこ)入手(にゅうしゅ)できなければ、蛊仙(こせん)への昇格(しょうか)(こころ)みる(ほか)あるまい。」


太白云生(たいはくうんせい)心中(しんちゅう)(ひそ)かに(おも)(めぐ)らせた。


老乞食(ろうこじき)(かれ)(さず)けた伝承(でんしょう)は、凡庸(ぼんよう)ならざるもので、六转蛊仙(ろくてんこせん)(じか)(いた)完璧(かんぺき)一連(いちれん)伝承(でんしょう)であった!


()内容(ないよう)は、凡人(ぼんじん)如何(いか)にして蛊仙(こせん)昇格(しょうか)するかについて、詳細(しょうさい)叙述(じょじゅつ)されていた。


(ゆえ)太白云生(たいはくうんせい)は、蛊仙(こせん)昇格(しょうか)する(さい)巨大(きょだい)危険性(きけんせい)十分(じゅうぶん)認識(にんしき)していた。昇格(しょうか)過程(かてい)では、(てん)()()()(じん)()統合(とうごう)融合(ゆうごう)必須(ひっす)である。()三要素(さんようそ)(いず)れか(ひと)つが()けても、()(ほろ)(たましい)()結果(けっか)(まね)くのである。


(ばん)やむを()ざる場合(ばあい)でない(かぎ)り、太白云生(たいはくうんせん)蛊仙(こせん)への昇格(しょうか)(のぞ)まなかった。(たと)成功裡(せいこうり)蛊仙(こせん)となったとて、寿命(じゅみょう)()びる(わけ)では()いからである。


(しか)し、老乞食(ろうこじき)から(さず)かった()伝承(でんしょう)は、(かれ)一筋(ひとすじ)希望(きぼう)(のこ)していた。


(ただ)し、()希望(きぼう)(きわ)めて苛烈(かれつ)条件(じょうけん)()きであった。(かれ)蛊仙(こせん)への昇格(しょうか)成功(せいこう)した(とき)(はじ)めて達成(たっせい)可能(かのう)となるものなのである。


()(まで)歳月(さいげつ)太白云生(たいはくうんせい)()(がた)きを()えて寿蛊(じゅこ)(さが)(もと)めてきた。(しか)るに寿蛊(じゅこ)天地(てんち)生成(せいせい)する希少(きしょう)存在(そんざい)で、()(あと)漠然(ばくぜん)として(とら)(がたく)今日(こんにち)まで(なん)収穫(しゅうかく)()られていない。


八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)(なか)には、寿蛊(じゅこ)存在(そんざい)する(はず)だ。(かなら)ずや此処(ここ)寿蛊(じゅこ)()つけ()してみせる!」


太白云生(たいはくうんせい)八十八角真陽楼(はちじゅうはっかくしんようろう)虚影(きょえい)(はる)かに見上(みあ)げ、(ひそ)かに自身(じしん)(ふる)()てた。


(しか)()(またた)(のち)(かれ)両眼(りょうがん)見開(みひら)かれ、(しん)(がた)光景(こうけい)()()たりにした!










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