325.宝物庫の所以を確認しました
前門のアルマジロ後門の白熊。
何故かリルが戻ってこないという状況ながらもなんとかその場をやり過ごし、無事に魔物を撃退することに成功した。
【スノルマジロのスキルを収奪しました。回転、ストックは後九つです】
【フロストヴァーンのスキルを収奪しました。ブリザードロア、ストックは後九つです】
どちらも魔物の使ってくるスキルをそのまま収奪できたようだ。
スノルマジロはそのまま回転、前に城崎ダンジョンにいた岩ルマジロと同じスキルだ。
そういえばあいつも似たような攻撃だったなと思いながらも、やはりこっちの方がダンジョンそのものが違うのかかなり強力だった気がする。
でもあのスキルさえあればあの回転突進を止めることもできるわけで。
白熊はリルと同じようなブレス攻撃を仕掛けてきたが、どうやらそれと同じやつのようだ。
残念ながらこのダンジョンではあまり効果的ではないけれど、それでもリルと同じことができると思えば非常に強力なスキルと言える。
相手の機動力を奪い、相性次第では一気にダメージを与えることができる技。
そういえばリルはいったいどこに行ってしまったんだろう。
まさかどこかでやられたとか?
でもヤバくなったらブレスレットに戻ってくるはずなのでそうじゃないという事はまだ無事だと考えられる。
一体どこに行って・・・。
「ん?」
戦闘終了後、素材を回収して少し休憩していると奥の方から何かが向かってくるような音が聞こえてきた。
ドドドドという除雪車が通るような音は次第に大きくなり明らかにこちらへと近づいてくる。
ルナもそれに気づき大楯を構えて白い景色の向こうをにらみつけた。
来る。
棍を突き出そうとしたその時、白い景色の向こうから現れたのはリルだった。
慌てて武器を降ろして横を通り抜けた彼女の方を向くもこちらを振り返ることなく白い景色の向こうに消えてしまった。
まるで何かに追われているよう・・・いや、追われているのか!
慌てて正面を向くも、気づいたときには白い壁の向こうから無数の魔物が姿を現した。
スノルマジロ、スノーインプ、そしてフロストヴァーン。
この階層の魔物そろい踏み、半数はリルを追いかけて横を通り過ぎたが白熊を含めた何匹かがこちらに気づいて方向転換する。
まさかの第二ラウンド、確かに奥を見てきてくれとはいったけど大量に連れてこいとは言ってない。
彼女的にはそのつもりはなかったんだろうけど結果としてトレインみたいなものになってしまったんだろう。
その証拠に後ろの方からリルが戦っているような音が聞こえる。
かくして急に始まった第二ラウンドだったが、さっき戦ったこともありそこまで苦戦することなく撃退することができた。
素材を回収しつつダンジョンの奥へ、最初は戸惑った白い吹雪も慣れてくればそこまでの恐怖は感じられず戻ってきたリルを先頭に確実に歩みを進めていく。
「お?」
そしてついに下に降りる階段を発見。
短めの階層とは聞いていたけれど、それ以上に戦っている時間が長かったのでいつも以上に時間がかかってしまった。
それでも走破できたのは間違いない。
うっすらと見える階段を下りるべく近づいたその時だ、階段の横に想像していなかったものが置かれていることに気が付いた。
「宝箱?しかも二つもあるじゃないか」
そこにあったのは銀色の宝箱、ギルドで調べた資料によると最下層には宝箱があると書かれていたけれどまさか最初の階段からしかも二つも置かれているとは思わなかった。
これが初回走破の特典的な奴だろうか、もしかすると今走破されているところも最初はこんな感じだったのかもしれない。
これが宝物庫と呼ばれる所以か、階層を下りるたびに宝箱をゲット出来たらそりゃみんなこぞって潜りたくもなるよなぁ。
「とはいえ罠がないとも限らないし、ここは慎重に行かないと」
いつもなら七扇さんが罠チェックをしてくれるけれど、彼女がいない今できるのは棍を使って強引に開ける方法、柄の部分を取っ手にひっかけてゆっくりと開けていくと・・・特に何が起きるわけでもなく無事に二つとも開けることに成功した。
やれやれ、宝箱があるのはうれしいけど毎回これはメンタル的にちょっとなぁ。
それでもお宝が目の前にあればやってしまうのが悲しい性、油断せず宝箱をのぞき込むといつも見かけないようなものが入っていた。
「これはかばんか?そんでもってこっちは・・・わからん」
それぞれの箱にはお馴染みのポーションとクリスタル、その下から出てきたのはポシェットというか腰につけるタイプの袋とランタンか。
試しに袋を開けてみると中は見えず、入れたはずの手もまるでダンジョンの入り口のように黒い壁に阻まれるように見えなくなってしまった。
つまりこれはマジックバッグ!
前に桜さんに渡したものよりも明らかに大きいから容量も大きいはず、レリーズ商会の鈴麗社長が持ってたやつはかなり大容量で億を超える価値があるって言ってたよな。
後はこのランタンだが、スイッチのような部分を押すと青白い光を放った。
燃料いらずのランタンと考えることもできるけど宝物庫から出てきたんだからもっと別の効果があるに違いない。
流石宝物庫、入っているものがどれも規格外だ。
そして次の階層でも階段の横に同じようなものがあるかもしれないわけで。
「そりゃみんな気合入れて新しい扉に挑むわけだよ」
もちろんどの扉も危険が伴うし最悪死んでしまうことだってある。
そもそもこの部屋の環境がまさにそれ、最初のフロストブレンダの群れに囲まれた時点で凍死していてもおかしくない。
資料曰く条件が厳しければ厳しいほど宝箱から出るアイテムがよくなるんだとか、つまりいきなりマジックバッグが出るあたりここはその厳しい部類に入るんだろう。
いや、もしかしたらもっと厳しいところがあってもっとすごいアイテムが手に入るかもしれないけれどそれに関しては確認に使用がないわけで。
今回特別依頼が出されたのももしかしたらそういうのを集めたいからなのかもしれないなぁ。
「ま、何にせよあたりが出るのはいいことだ」
「ワフ!」
こくこく。
この環境でも戦っていられるのは二人のおかげ、この先もより厳しい環境が待っているだろうけど一緒ならきっと走破できる。
とりあえずここで回収した素材をマジックバッグの中に押し込んでみたのだが、すべて入れても問題ない感じだった。
フロストヴァーンの毛皮なんてなかなかの質量だと思うんだが、これだけの素材をこの小ささに入れられるのは非常にありがたい話、これで重たい思いをせずに素材を地上に持ち帰ることができるので素材の方でもガッチリ稼ぐことが出来そうだ。
下に降りる前に階段でしばしの休息、魔物が出ない階段は小休止にはぴったりの場所。
リルには肉を、俺も携帯食料で小腹を満たしておく。
本当はルナにも甘いものを渡そうと思ったけれども実体化すると寒さでやられてしまう可能性もあるので今回は辛抱してもらおう。
次は雪盲二階層、果たしてどんな過酷な環境が待ち受けているのだろうか。




