勉強2
「では、次に国王の選定についてお話しします。」
この国の王の選定は割と単純である。
因みにこれはゲームでも軽く説明されていたから知っている。
国王の選定は先代の国王が行うものであるが、王位継承権が高いもの、つまり王位継承権第一位の王子がそのまま国王になることが慣例だったはず。ちなみに王位継承権は正妃から生まれた王子が高く、次に生まれた順番で決まっている。今であれば、正妃から生まれた第一王子であるフェルナンド殿下が最も王位に近いだろう。
過去にはそうならなかったこともなるらしいが。
シュルンゼ先生は淡々と説明をしてくれる。
その声ははっきりとしていて、とても聞き取りやすい。
そしてここからは知らなかったことだ。
説明を聞きながら自分の頭の中で整理していく。
えっと…。
4公爵家は王に選ばれた人物に絶対服従となるらしく、王の選定に口出しすることはできないらしい。
しかし、唯一の権限として統治した王が為政者として必要でないと、無能であると4公爵家の当主すべてが認めた場合、王を廃位することができるらしい。
へぇ。つまりは、国王となれば4公爵家を従えることはできるが、下手をしたら飼い犬にかみ殺される可能性もあるということだろうか。
もしかすると、その反権威派とやらは王になったときにこの権限を使われることに恐怖を持っている者の仕業だったり…?
だけど、今最も王位に近いフェルナンド殿下は為政者として有能であり民衆からも慕われていると聞いているし。そんな人物を4公爵家が廃位を求める必要はないだろう。つまり、フェルナンド殿下にとって4公爵家は脅威ではないはずだよね。
それなら、他の王位を狙っている者が怪しくなるのかな?
現在王子は4人。
先生曰く、王位継承権争いは常に行われているという。
先代の王が次代の王を選定すると言っても、ほぼ慣例通りに王を選定しているなら、既に王は決まっていることだというのになぜ争いが行なわれているのだろう?それほどまでにして王になりたいのだろうか。そう思いながら、私は先生に聞いてみた。
「次代の国王はほぼフェルナンド殿下できまっておりますよね?」
私の疑問を感じたのかどうかわからないが、シュルンゼ先生が答えてくれる。
「今はそうですね。しかし、そう簡単ではありません。第2王子と第4王子の産みの母であるエレンティア様は大国ドノグラス国の姫君でありました。エレンティア様は自分の息子を次代の国王にと望んでいるようですからね。」
なるほど。王子が望んでいるというよりは母親が望んでいると。
エレンティア様は矜持が高く、気性が激しいと噂で聞いたことがある。そしてこの国の正妃とも対立していたと。
もしかすると、エレンティア様は正妃としてこの国に嫁いでくると思っていたのかもしれない。けれど嫁いできた当時、正妃はすでにいてその座を与えてくれなかった。そして正妃が亡くなった後もその座は与えられず、正妃の位は埋まっていない。
因みにその理由は、現国王が正妃を愛していたからだと言われている。
民衆の間でもこの国の国王と正妃は相思相愛であったと知られているぐらいだ。そして、側室たちは政治上仕方なく迎えているとされているのは周知の事実となっている。
もともと正妃はこの国の貴族だと聞いている。確かノートン侯爵家の娘…だったかな?
大国の姫からすると、地位的にも劣る女が正妃で自分が側室であることが許せない上に、自分の息子すらも王位継承権の順位が劣っているという事実を受け入れられないのかもしれない。
だから第一王子の王位継承権を放棄させようと躍起になっているのかも。そうなると、フェルナンド殿下の命を狙っていたのは、エレンティア様の可能性が高いわけか…。
けれど、あくまでこれは私の想像…妄想の域だ。他にも知らないだけで存在しているかもしれないし。
そう、真実はわからない。
…でも、もしその可能性があるのなら。
注意しておく人物としてエレンティア様、それから第2・4王子、反権威派と呼ばれる貴族…。
これらはルーウェン様とハルムート様にお伝えしといたほうがいいだろう。いや、さすがにこの感じなら既に警戒はしているはずだろうけど…。
「…ということで、国王の選定の話から少し話はズレましたが、ソフィリア嬢も10日後に行うとお聞きしましたよ。心の準備はできていますか?終わったからと言って、1人で扱おうとしたりしてはいけませんよ。わかりましたね?」
「わかりましたね?」と聞かれたならば「わかりました。」と答えるしかない。
何も聞いてはいなかったことに冷や汗を感じながら、私はそう返事をした。
「わかったならば、そろそろ時間ですので、本日の授業を終了いたします。」
なんといろいろ考えているうちに、既に授業は終わろうとしていたようだ。
途中から全く話を聞いていなかったのである。
それにしても、10日後何があるというのだろうか…?心の準備とは…?
とりあえず後でメリーに確認してみよう。
まぁでも、1人で何かをしたりとかはしないから大丈夫だよね。うんうん。
「はい。本日も大変勉強になりました。ありがとうございました。」
と、私は椅子から降りて淑女の礼をとった。
それを満足そうににっこりと笑い、先生は帰っていった。




