↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の美男子  作者: 空乃明
82/93

その後 1

さて、それからどうなったのかと言うと。



緊張の糸がぷっつりと切れた私は、前日あまり眠れていなかったのも相俟って、その場で意識を失くしてしまったみたい。気づいた時には自分のベッドの上だった。



目を覚ますと、家族からも侍女からも泣きながら怒られた。これで2度目である。心配をかけてしまって申し訳ないという気持ちと、あれからどうなったのだろうという不安が頭を過る。



「メリー、私はどのくらい眠っていたの?」

「5日間です。ルーウェン様に抱えられて屋敷に帰ってこられた時、ドレスはボロボロで血は付いているし、熱は高いしで本当に!本当に大変だったんですよ!」



凄い剣幕である。まぁ確かに何事かと思っただろう。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。



「そう…。心配かけてごめんなさい。」

「ほんとですよ。もうこんなことはごめんですからね。」



そう言いいながらも、手際よくメリーはコップに水を注いでくれる。

私はいつもの眼鏡置きに手をやったが、いつもの場所にいつもの眼鏡がないことに気づいた。そういえば…確かあの時壊れたのだっけ?それを思い出し、ソフィリアの血の気が引いていく。



どうしよう…。あんな高価なものを弁償なんてできないし買えないわ…。それに、どうやって壊れたことを両親やルーウェン様に伝えたらいいの…。せっかく友人と認識し合った2人にまたヒビを入れてしまわないか心配だ。


それにそれに、両親はこのことを伝えると卒倒するかもしれない…。はぁ。どうしよう…。あの瓶底眼鏡がないと私の世界はまだこんなにぼやけているんだなぁとしみじみ思いながら深い溜息をつく。



すると、メリーが箱を持って近くにやってきた。彼女の持っている箱は私の掌二つ分程度の細長い箱で、青と緑のリボンで飾られている。



「お嬢様、まだ顔色が優れません。ですが、こちらを。目覚めたら先にお渡しするよう申し付かっておりますので。」



受け取った私は、さっそくリボンを解いて箱を開ける。その中にはなんと小さなメッセージカードと、壊れたはずの眼鏡が傷一つない状態で入っていた。

メッセージカードには「ご迷惑をおかけしました」と繊細な字で書かれていた。


名前を見なくてもわかる。この繊細で綺麗な字はハルムート様だ。

もしかして治してくださったのか。それとも買ってくださった…?



でもこの前使っていた眼鏡は特注品でかなりの値段がすると聞いていたのだけど…。かけてもいいものか…。だけどこれがないと世界がぼやけたままだ。それにこれがあれば両親に壊れたことを伝えなくて済む。

迷いつつも手に取ってかけてみる。ややレンズが薄くなっている気もするし、重たさも前ほど感じない。耳の痛みも軽減されそうだ。なにより視界がクリアである。明らかに新しい一品である。



はてさて、いったいいくらしたのだろう。考えるだけでも恐ろしい。



「メリー、ハルムート様はどうしてるか知ってる?」

「いえ、詳しくは…。多分ダンウォール様なら詳しくお知りになっているかと。それに、お嬢様がお目覚めになったらすぐに連絡をするようにルーウェン様から申しつかっておりますので、そろそろ連絡がいってるはずです。きっと近々いらっしゃるのではないでしょうか?お嬢様が臥せっている時も毎日お見えになっておりましたし。その時お聞きすればよろしいのは?」



え?毎日来ていたの?まさかね。ちょっと大げさに言っているだけだろう。

だけど、近々いらっしゃるならその時詳しく聞いてみよう。それに謝らなければいけないことがある。そのことを想うと溜息どころか身体が重く感じる。



「そうね、そうするわ。」

「とりあえず、何かあったらいけません。まだ目覚めたばかりですし。今は大人しくベッドの上で休んでいてください。」

「わかったわ。休むのはいいんだけど、お腹も空いたの。何か軽く食べる物ないかしら?」

「かしこまりました。すぐにお持ちいたしますので、くれぐれも大人しく寝ていてくださいね。」



メリーはしつこいくらい念押しをして部屋から出ていった。

そんなに信用がないのかしら。今まで寝ていたから全然全く眠くないし、熱もないし体も軽いしで、とても元気なんだけどね。でも心配をかけてしまったばっかりだし、言う通りにしておこう。



それにルーウェン様が近々いらっしゃっるようなら、詳しく話を聞こう。いつぐらいにいらっしゃるかしら。毎日来てくださっていたとか言っていたけども、まさか冗談よね…?もし本当に来てくださっていたなら余計にお忙しいだろうし、そんなにすぐには会えないわよね。


と思っていたのに、ワゴンにお皿を載せて帰ってきたメリーは、満面の笑みで明日ルーウェン様がいらっしゃると言った。


そんなにすぐ会えると思っていなかっただけに、とても驚いたし嬉しかった。それと同時に、申し訳ない気持ちも。そう感じながら、シェフ自慢のコンソメスープで作ってあるリゾットを堪能するのであった。

ブックマーク・評価ありがとうございます。

とても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。