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傾国の美男子  作者: 空乃明
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噂【ハルムート視点】

ある日、面白い噂を聞いた。



ルーウェンが毎月必ず自ら会いに通っている女性がいると。



一体誰だ?



だが、僕が疑問に思うのも束の間、すぐにその情報は入ってきた。

全く女という生き物はなぜこんなに噂好きで口煩く、そして煩わしいのだろう。



とある子爵令嬢がすぐに答えをくれた。答えは簡単だった。

その女性はデンパール卿の娘だと。そう、ただ単にルーウェンは、魔力暴走に巻き込んだ女性に許しを請いに伺っていただけだった。



なんだ。つまんないの。

ルーウェンに好きな人ができたのかと思ったよ。もしそうなら…。あの鉄仮面の表情が変わるのなら、とても面白そうだと思ったんだけど。



だけどルーウェンは何度もデンパール家へと足を運んでいるらしいが、会うことを拒否されているらしいではないか。

そりゃそうだろう。その娘は視力をほとんど奪われたらしいし。傷つけられた相手に会うのは嫌だろう。今更謝られても困るよな。



だが、それはそれで面白い。

何でも持っている奴なんて、困らせてやるぐらいがちょうどいいんだ。

どうせならそのままルーウェンのことを許さずにいて欲しい。



だが、そんな密かな願いは知らないうちに砕け散っていた。

知っていた。どうせ僕が願うことなんて1つも叶うわけがないのだから。






ある日のお茶会で僕は見た。

ルーウェンとその被害女性だろうと思われる令嬢が話をしているのを。

その被害女性であるデンパール卿の娘はどうやらソフィリアというらしい。



だが、いつの間に彼女はルーウェンを許していたのだろうか。



…許さなくていいのに。

黒いもやもやとした感情が脳裏を過る。




彼女がルーウェンを許したのは、家格の関係上仕方なかったのかもしれない…。

だがそれだけではないだろう。


それは考えればすぐにわかることだった。きっと彼女は、ルーウェンの地位とあの容姿に惹かれて謝罪を受けて入れているに違いない。所詮彼女も女だ。結局はそういうことだろう。

そう考えると自然と腑に落ちる。



それとは別に気になることがもう1つある。それはルーウェンの彼女に対する態度だ。他の者には見せないような気づかいや表情を彼女に対してはしてるように見える。

最初は、罪の意識からくるものだろうと思っていたが…。

どうやら違うのかもしれない…。



何故なら彼女の胸についているあの白い薔薇のブローチ。あのブローチからはルーウェンの魔力を感じる。魔力がある程度あるものならすぐにわかるだろう。いや、ここにいる奴らはわかっていないやつがほとんどだな。

だが、僕からしたら『彼女は自分のものだ』と印をつけているのか?と思えるほどだ。



それに、ルーウェンが自分の魔力を込めた物を何とも思っていない女性に贈るだろうか。

しかもよく見ると、あのブローチには仕掛けを施してあるようだ。遠くからしか見えないせいでその仕掛けはどういったものかはわからないが。



やはりおかしい。



きっとあれは相当な価値があるだろう。

そんなものを与えている女性だ。それほどルーウェンはあの女を大切にしているのではないか?



あのルーウェンが…?

だが、今まで見たこともないあのルーウェンの微笑み…。



ルーウェンが大切にする女…か。

見た目はいまいちだが、少し興味が湧くのは仕方がないだろう。



ルーウェンは彼女を大切に思っているとしよう。だが、彼女はどうだろう?

彼女はルーウェンの地位や容姿で目が眩んではいるが、心の底では恨んでいるに違いないと僕は思っている。なぜなら、視力を奪われあのような姿にされたのだ。恨んでいないわけがない。きっとルーウェンと同等もしくはそれ以上の者が現れると、他の女同様に乗り換えるはずだ。



それならば…。



本音を聞きたい。本性を見てみたいと思った。

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