プレゼント
さて、誕生日会といえば誕生日プレゼントだよね?
まさか王子の誕生パーティーへ招待されるとは思ってもみなかった。
何を持参すればいいのだろうか。
王子様にあげるものだから、それなりに価値のあるものでないといけないわよね?手作りのものなんて絶対にダメだろうし。そもそも他人を信用できない人が手作りの物を受け取ってくれるはずがないだろう。
うーんうーん。いくら悩んでも答えは出てきそうにない。こうなれば、誰かに助言を得よう。
そう思い立ち、手紙を綴る。差出人は4人。助言はいくつあっても足りないぐらいだ。でも私の伝手はこのくらいしかないのが、本当に恨めしい。引籠っていた自分が悪いのだけども。
数日後、手紙の返信がきた。1通目はマリーちゃんだ。
いろいろ書いてあったけど、要約すると『私はソフィお姉さまの御心が籠っている物なら何でも嬉しく思います。むしろ私がいただきたいです!』ということだ。
うーむ。嬉しいが参考にはならない。けれど、今度何か贈り物をしようと思う。
次の日、また手紙の返信がきた。ユリウスだ。
『姉さまがまさか王族の誕生パーティーに呼ばれているなんて…。いったい何をしたの?危ないことはしないでって言ってあったのに!当日は僕も一緒に行くから、絶対僕から離れないでね!』
…。別に何もしていないし、誕生パーティーに参加することは危ないことなの…?お小言しか書かれていない。マリーちゃん以上に参考にならない手紙であった。
3通目の返信はエリー様からだった。
『急に呼ばれたのだから持参しなくても大丈夫よ。なかったからと言って怒る人でもないだろうし。そんなに気負う必要はないわ。気になるならちょっとしたものでいいと思う。そもそもデンパール家から献上されている品物があるはずだから、個人的には渡さなくても大丈夫なのよ。』
なるほど!我が家から贈っているものがあるのか!じゃあそれでいいかな?
いやいや、でももし、誕生日プレゼントは?とか聞かれたらどうする?
…備えあれば患いなしよね?もしものために一応探しておこうかしら。明日街に行って見てこよう。うん、そうしよう。そうと決まれば、外出の許可を取らなきゃ。
「メリー、お母様は今どこにいるのかしら?」
「書斎におられると思います。」
「そう、ありがとう。ちょっとお母様に相談があるのだけど、いつ時間が空いているか聞いてくれる?」
「かしこまりました。」
そう言って出ていったメリーがすぐに返ってきた。どうやら今なら時間があるようだ。
トントントン
書斎のドアをノックするとすぐに扉が開いた。お母様の専属侍従であるニーアが扉を開けてくれたのだ。「どうぞ。」と、母が座っているテーブルの前にあるソファへ案内される。
「相談とはなにかしら?」
「明日、外出したいのですが。」
「どこへ行くの?」
「街に…買い物へ…。」
チラっと母の顔を見る。いくら外出の許可があってもさすがに街に行くのは許してくれないかな?って思っていたが、なにやら悩んでいる様子。
この沈黙は駄目だということか…?それとも…?
「明日じゃないとだめなのかしら?」
「?いえ、そういうわけではありませんが。でもできるだけ早いほうが助かります。」
「なるほど。今、あなたのお父様が領地へ帰還しているのは知ってるわよね?」
それはもちろん知りませんでした!笑顔だけで答えておこう。
「毎年この時期に領地の特産品を王室へ献上しているのよ。王子の生誕祝いとしてね。今回もその品を領主自ら選ぶために帰還しているの。もちろん雇った護衛も一緒にね。だからあなたが街に行く…」
母は基本話が長い。簡潔に話してほしいものである。まだ何か話しているが、言いたいことはわかった。つまりは、父が護衛を雇って共に領地に行っているから私が街に行くときの護衛を雇えないということね。
雇うにもお金がいるし。まぁそれは仕方ないか。さすがに護衛なしでは街へ行かせてくれないでしょう。
それにデンパール家から献上品があるならやはり私からわざわざ贈らなくても大丈夫なのでは?と思うしね。
…え?大丈夫よね?そんなに親しいわけでもないし。今後も親しくなる予定はないし…。もちろんエリー様の応援は精一杯するわ!!何をしたらいいかわからないけど、遠くから眺めるの!想像するだけで眼福でしょう…?それと誕生日プレゼントは別だけどね。まぁ今回は仕方がないということで。よし、諦めよう!
と思ったと同時に母を見る。なぜかジトっとした瞳で私を見ている。
え?何かしたかしら?
「ソフィ、ちゃんと話聞いていた?」
「え?はい。護衛をつけることができないから街へはいけないという話ですよね?」
「はぁ…。ソフィ、あなた、人の話をちゃんと聞くようにしなければだめよ。いつか騙されるわよ。」
「え?」
「まぁいいわ。5日後なら街に行ける護衛をつけられるから、その日なら行ってもかまわないわよ。」
「え!?本当ですか!?お母様!」
まさか護衛を雇ってくださるとは!
思わず口角が上がる。ぱぁっと部屋の雰囲気まで明るくなった気分だ。
「ええ。ただし護衛の言うことはちゃんと聞くこと。いいわね?」
「もちろんです!!」
ふふんふふん♪
つい鼻歌が漏れてしまうほどソフィリアは上機嫌だった。
「お嬢様、よかったですね。」
「ええ。」
誕生日プレゼントを買いに行くことができるというのもそうだが、なにより街に行けることが嬉しい。私は昔から引籠ってた上に、最近ではいろんな騒動をやらかしているので街にでたことがないのだ。
私の胸の中は今『楽しみ』という感情が占めており、護衛をどのように雇うのかなど全く頭になかった。
もしこの時ちゃんと聞いていればもしかすると断っていたかもしれない。
いや、それはないか。




