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傾国の美男子  作者: 空乃明
37/93

攻略対象2

最後にフェルナンド・アン・ソニタリア。

この国の第1王子殿下であり、いまだそのご尊顔を拝めていない人物である。



まぁ、国の王子様にそんなに簡単に会えるわけないよね。

ゲーム内の彼は本当にイケメンだった。金髪碧眼で、THE王子様って感じの…むふふふふ。



おっと、いけない。

妄想している場合ではないのだ。



ちなみにこの国には王子が4人、姫が3人いたはずだ。ゲームにはあまり登場してこないので顔や名前は憶えていない。


たしかフェルナンドは…っと。






①婚約者との不和

たしかゲームでは婚約者を嫌っていた。ただきっかけや原因は描かれていなかった。ゲーム開始の時点では既に不仲だったのだ。


どのルートも共通するのが悪役令嬢であるエリザベス・テン・デュテローム。彼女は攻略対象のルートに入ると必ず婚約者か婚約者の親友として現れる。フェルナンドルートでの彼の婚約者は彼女だった。


フェルナンドがいつも婚約者に決まって言っていたセリフが「君の上っ面だけの言葉は辟易するよ」っだったかな?こんな男前にそんなきついこと言われると想像しただけで涙が出そうである。



悪役令嬢といえば、我儘で傲慢で自己中な人間であると相場が決まっている。だから私も勝手にそうなのだろうと思ってゲームをしていた。ゲームでも彼女はヒロインに嫌がらせをしていたし。だから王子は嫌っていたのだろうと思っていた。



けれど今、この世界での王子の婚約者がどうなっているのかがわからない。

王子の婚約者をたてるならエリザベス・テン・デュテロームが一番可能性が高いとは思う。なぜなら彼女は4公爵家のご令嬢であり、地位的にも一番可能性が高く容姿も完璧と言えるほどの美しい女性からである。



うーむ、できれば悪役令嬢であるエリザベス・テン・デュテロームにも会ってみたいな。なんせ先ほども言ったが、彼女も相当に美しい。実際にどのような人物なのか会って見てみたい。でも彼女は4公爵家が1つのご令嬢。王子様と同様、そう簡単には会えないのである。



②他人を信用することができない

王族であるフェルナンドの家族関係もまた複雑であった。いや、王族ならこれが普通なのかもしれないが、私からすると十分複雑である。


確か正妃と側室が3名。

正妃の子はフェルナンドだけだったはず。けれどフェルナンドの母は彼が3歳の時に亡くなった。フェルナンドは守ってくれるはずの母親を早い段階で失っていた。



唯一の正妃の子であり第1王子である彼は、この国の制度から王位継承権第1位であった。それゆえに、幼い頃から幾度となく死ぬ思いをしてきたのである。


ある時は食事に毒を、ある時は誘拐を、ある時は直接殺されかけた。幼い頃は、彼には知識も力もなくどうすることもできなかった。だが周りで仕えている者達の働きによりなんとか命を繋いできていた。


だがついに、幼いころから仕えていて心から信頼していたフェルナンドの専属の侍従にすらも裏切られてしまう。それが最後の決定打となり、彼は誰も信頼することができなくなった。


いくら自分を殺そうと企てる者がいても守ってくれる母親はおらず、父は我関せず。その為、自分に近しいもの、ましてや血が繋がっているものほど彼は嫌悪感を顕わにした。血が繋がっている者すら信頼できない彼が、他人を信用できるようになるわけもなく。

本音は心の奥底に封印し、上辺だけで人と接するようになる。心も身体も休める暇はなく、彼は周りにいるほとんど全ての人を敵だと思っていた。そんなわけで簡単に言うと捻くれてしまったのである。



そこでヒロインの登場である。ヒロインの真っすぐで…もうここは省略でいいよね?まぁそんなわけでヒロインは彼にとって唯一信頼し、本音を話し心の癒しとなる存在となっていくのだ。



ふむ。こんな感じかな?王子も私には難しそうだ。まず会えないし、心の癒しとなる自信なんて一ミリも一ミクロンもないのである。



そもそもお茶会の参加も禁止されているしね。もしかしたら会うのは学園に入ってからになるのかしら?もしそうだとしたら大変かもしれない。フラグにヒビを入れながら…学園の勉強もしなきゃいけないのでは…?

どうせなら学園での学習内容もゲームに入れておいてよー!って思ったけど、ゲームにそんなこと入れるはずもないよねと冷静に考える。


うーん。入学まであと1年ちょっとぐらいか。今彼らに対して何もできないなら、先に学園の予習しておくのもありかな?そしたら上手く立ち回れるかもしれない。勉強するのは正直面倒くさいけど、こちらの世界のことを学ぶのは少し興味がある。

うん、我ながらいい考えだと思う。よし、その計画で行こう。




そうと決まれば…

チリンチリン


冷え切った紅茶を飲み干し、ノートを鍵付きの棚にしまい終えたところにメリーがやってきた。

「どうかなさいましたか?お嬢様。」

「えーっと、ほら来年には学園に行かなくちゃいけないじゃない?どいうことを学ぶのかわからないのだけど、どうせ今暇だし予習しておきたいと思って。何をすればいいか相談したいのだけど、どう思う?」

「…なるほど。それなら家庭教師の方をお呼びすればいいのではないでしょうか?」

「なるほど!でも経済的に大丈夫かしら?」

「教育的なことは出し惜しみしないと思いますよ。」

とメリーは自信満々に言う。


それなら。


「お母さまにお願いしてみようかしら。」

「ええ。きっとすぐに手配してくれますわ。」


そう言って、ニコニコしながらメリーは母のもとへと行った。

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