ブローチ2
それからようやく家に帰ってきたと思ったら、今度は両親にこってり怒られた。
これも仕方のないことだと自覚はしております。ええ。
けれど、こってり怒られながらも、愛情を感じずにはいられなかった。なぜなら私が生きていたことを喜んでくれたから。
ソフィリアは愛されてるなぁって思ったし、両親を悲しませる結果にならなくて本当によかったと思った。
何故かユリウスが過保護に私の部屋の前まで送ってくれる。部屋の扉の前についているものの、ユリウスは私の手を離そうとしない。
「ユリウス…。」
「すみません、ちゃんと姉さまが生きてるんだって思うと…。」
「大丈夫。あなた達が助けてくれたんじゃない。」
「そうですね。」
そう言って、ユリウスは困ったような不安そうな表情をした。
私はそんなユリウスを放って置けなくて、勢いに任せてギュッと抱きしめた。不安な時は人の体温を感じたほうがほっとするじゃない?
背丈はもはや変わらなかった。少しずつ筋肉もついてきて、これからどんどん逞しくなっていくだろう。イケメンにも拍車がかかるだろうし、今後は気軽に抱き着くなんてできなくなるだろうなぁ。
なんて意味の分からない感傷に浸っていると、ユリウスが不穏なことを言い始めた。
「まぁでもあのまま姉さまに攻撃していたら、たぶんだけどあの男達の方が死んでいたと思いますけどね。」
え…。どういうこと?
私はユリウスから離れて、ユリウスの顔を覗き込むように聞いた。
「ユリウス?どういうこと?」
「ダンウォール様は正確には言わなかったですけど、そのブローチ…いや魔道具には守りと反撃の術式が組み込まれているみたいですから。」
「守りと反撃…?というか、このブローチは魔道具なの?」
「そうですよ。気づいてなかったんですか?その魔道具は、ダンウォール様の魔力で稼働している魔道具ですね。
もし姉さまが誰かに直接ナイフや魔法で攻撃を受けたとするでしょう?そしたら守りの術式が発動して、そしてその倍以上の攻撃が相手にいくことになっているみたいですね。」
えええええええ!?待って。私はそんな恐ろしいものをいただいていたの?
というか複数の術式が組み込まれている魔道具なんて聞いたこともないけれど!?そもそも魔道具ってかなり高価なもののはず。その上複数の術式が稼働していて、その源はルーウェン様の魔力で!?訳が分からない!
これは…返却しなきゃいけないやつでは?
「か…返…」
「姉さま。もう返すことはできないですよ。絶対ダンウォール様は受け取らないでしょう。だからそのブローチ、ずっと身に着けておいてくださいね。」
そうニコリと笑って言う。否とは言わせない雰囲気だ。
ええ!?
この兵器みたいなものをずっとつけていろと?
「別に悪意のある攻撃をされなかったら普通のブローチと変わりませんよ。かなり高性能なお守りだと思っていればいいと思います。もしもの時…特に今回みたいなときはあったほうがいいですし。まぁ、もう二度とごめんですけどね。」
「…。」
そう言われると、返せなくなる…。
私はじっとブローチを見つめた。
高性能なお守り…。いや、もし何かあったらと思うと怖いけどね!?けれど、こんな高価なものを身に着けているのも怖いですよ?
「それじゃあ、今日は疲れたでしょうからゆっくり寝てくださいね。おやすみなさい。」
「おやすみユリウス。今日は…いや、いつもありがとう。」
私は笑顔でお礼を伝えて部屋に入った。
その日ははさすがに疲れていたため、ベッドに入るや否や夢をみることもなく泥のように眠ったことを覚えている。




