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傾国の美男子  作者: 空乃明
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その後1

結局、その後の話を聞けたのは誘拐事件が起こった5日後だった。



あの後、旦那様がゲロったそうだ。

マーガレット様、いやマリー様?は、本当は自分の子ではなく兄の子だということを。



は?だよね。

どうやら公爵様は、街で偶然赤みがかった髪色の赤子を抱いている女性を発見し、調べていたらしい。なぜなら、公爵様はずっと行方不明の兄を探していたからだ。この赤い髪は代々フォンラトス家に受け継がれる髪色なのだ。きっとこの子の父親は自分の兄であることに違いないと。そして、もしかすると兄の足取りがつかめるかもしれないと考えた。けれど、わかったのはこの赤子がはやり兄の子であるという事実だけだった。兄は平民の女性との間に子を作り、再び行方不明となっていた。


公爵様は、自分の兄が子を作って責任も取らずに放置している状況が嫌だったらしい。

ちなみにマリー様の話によると、マリー様のお母さまは父親である人物に子どもができたことを知らせなかったはずだ。つまり、公爵様のお兄様は自分の子供がいることを知らない可能性が高い。もし知っていて放置し逃げているなら最低だけどね。


そして、どうにかして弟である自分がその責任を取ろうと考えていた。だが、マリー様の母親は金銭的な援助も物資援助もすべて拒んでいたらしい。きっとマリー様を盗られるのではないかと心配だったのだろう。


公爵はそれでも、親子が元気に過ごしているかどうか度々確認させていた。それである時、マリー様の母が病気に罹り子どもを育てることが困難であることを知ったのだった。


屋敷では自分が産んだ娘を亡くし塞ぎこんでいる妻がいた。そしてこう考えらしい。

『そうだ!マリーを自分の子だと偽り、マーガレットの代わりとして育てよう。薄くとも私の血と繋がっているのだ。きっと妻も喜んでくれるし、きっと妻の心の穴も埋まるのではないか。そうしたら、マリーの責任も取れるし、全てが丸く収まるではないか!』と。



「は?本気でそう考えていたのですか?」

って、つい怒りに任せて言葉にだして言っちゃった。


するとレオノール様は怒ることもなくクスクスと笑って、

「ほんとその通りだよね。父も父の兄君も相当の馬鹿だったのだと思うよ。でもそれをマリーが一喝したんだ。母の代わりにね。」


「『それ本気でおっしゃっているのですか?自分と血が繋がっていない子の子育てをしろと?しかも亡くなった我が子の代わりに育てろと!?悲しみの最中にそんなこと言う馬鹿がいますか!?子育てってそんな簡単なものだとお考えですか?しかも浮気相手の子。実際は違っても、そう説明しているのですからそう思っても仕方ないですよね?それならもちろんお母さ…奥様が私をよく思うはずがありません。よく考えてください。そんなことできると思います?私だってごめんですよ!そりゃ気が狂いますよ!魔が差しますよ!兄弟そろって考えなしですか!』

ってね。普段静かな彼女に怒られて父は酷く落ち込んだし反省していた。母も自分が言いたかったことを言われて茫然としていたよ。」



マリー様!素晴らしい。やっぱりあなたは賢い子だった。



それからどうなったかというと、マリーは養子として正式に籍に入ることになったのだとか。レオノール様の母はマリーを養子として受け入れ、今ではとても仲良くなっているらしい。逆にレオノール様の父は今、相当肩身が狭くなっているようだ。


まぁそうだろうな。最初からそうしていればよかったのに。なぜわざわざ嘘をついたのか…。


『男の人って時々変なことするよね。』


って、声に出ていたのか、

「ソフィリア嬢にそんなこと言われるなんて。」とか「姉さま、それはまるで経験してきたような言いぶりですね?」とか笑われたり揶揄われたり。


一応、鷹城綾のとしての記憶があるからね。男の人って好きな人の前では、たまに考えなしになったりするということを経験してきているのだ。

え?それは付き合った人が悪かったって?うーん。そうかもしれない。




「とにかく、家が昔のように明るくなったんだ。妹も無事だったし、本当にソフィリア嬢には感謝しているよ。そして迷惑をかけてしまったこと、怖い思いをさせてしまったこと本当に申し訳なかった。」



そう言って、燃えるような赤い頭を下げた。


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