驚愕
短めです。
ドンッ!ガザッ!ドンッ!
ガサツに幌を開けた男は、積み荷を雑に降ろした。
男2人は私たちのことも積み荷のように肩に載せ歩いている。ギギィっと錆びついた扉を開けたような音がした後、バンっと私たちを床に投げ捨てた。投げ捨てられた床には藁が少し散らばっているが、硬い土の上で思わず呻き声が漏れる。
「おい!おねんねの時間は終わりだ!起きろ!」
と言われたので、しぶしぶ目を開ける。
周りを見ると、家というよりは倉庫のような場所だった。そこには木の箱と藁が積み上げられている。小さな窓が天井近くに1つ。あとは入ってきた扉が一つ。どうやら逃げ場はないようだ。
叫ばない私たちをみて、体の大きいマッチョの男がニタァと笑う。
「そうそう。いい子にしてろよ。そしたら痛い思いは一瞬だぜ。だが今はまだその時じゃねぇんだ。もう少し待て。」
「ねぇ、兄ぃ。本当にやっちゃうの?なんだか可哀そうになってきちゃった。」
「はぁ?いまさら何言ってんだよ!金のためだ。金がなきゃ何もできねえ。それにやらなきゃ結局こっちがやられるんだろうからな。」
「そうだよね。ごめんね…。」
そう言って、細身の男はこちらに同情するような視線をこちらに向けた後、2人は扉の外に出ていった。
まだその時じゃない…?何があるんだろう?やはり主犯格の人物がいて、その人が戻ってくるのを待っているのかもしれない。でも、何の為に…?
暫く倉庫の中ではマーガレット様と2人きりだった。けれど、先ほどのように会話をする心の余裕がなく、張り詰めた空気だけがその場を支配していた。約束されたかのような死を目の前に、私の力ではどうすることもできなかった。
チラリとマーガレット様を見ると、その顔は色を失くしただ小さく震えていた。
これはもうあきらめるしかないのかもしれない。
そう思った時、目の前の扉が再び開いた。助けが来てくれたのかも!?という一瞬の期待は、マーガレット様の表情を見て砕け散る。
入ってきた人物を見るマーガレットの表情は、驚愕と畏怖、そして絶望へと変わったのだった。
いったい誰だろう…。入ってきた人物をよく見てみる。
絵画に使われるような美しい紺青の髪色をした女性。容姿も整っており、やや性格がきつそうな眼付ではあるが美しい人だった。身なりはどうみても貴族のそれだろうと感じた。
「…お母さま…。」
そうぼそりと呟かれた言葉に私は驚きを隠せなかった。




