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傾国の美男子  作者: 空乃明
18/93

姉3【ユリウス視点】

ユリウス視点を書きたい発作がでたので書いてしまいました。

第18・19話として挿話しますので、順番に読んでくださっていた方は話数がずれて少しわかりにくくなりますがすみません。

最近また姉が変なのです。



いや、変なのは前からではあるのですが、輪をかけて変な気がするのです。

というのは、いつもに増してぼーっとしている時間が長いのです。いつも大半の時間は僕の稽古を凝視しているのに、ここ最近はずっと考え事をしているようで。


話しかけるといつものように返事は返ってくるのですが、どこか晴れない表情をしているように感じます。時々小さな溜息も混じっているようですし。

じっと姉の方を見ていると、視線を感じたのか姉と目が合ってしまいました。僕は見ていたことがバレてしまったのが少し恥ずかしくすぐに逸らしてしまいましたが。




姉が輪をかけて変なのは暫く日が経っても変わりませんでした。



家族の前だけならまだいいのですが、さすがにダンウォール様がいらしている時は辞めてほしいです。ですがダンウォール様は姉の様子を咎めることなく、姉を見つめています。その瞳には怒りや侮蔑の色はなく、むしろ…。



ところでなぜ僕がこの席に参加しているかというと、義両親にしつこく頼まれたからです。前回婚約話を姉が勝手に断ってしまったことに義両親は戦々恐々としていました。義両親からはこれ以上失礼なことをしないように見張り役としてお願いされてしまいました。決して僕が一緒にいたかったわけではないということをわかってもらえれば、それでいいのです。まぁ、気になってはいましたが。



それにしても、姉はいつの間にダンウォール様の友人という立場になったのでしょうか…。いや、昔から知り合いだったことは知ってはいるのですが…。

けれど、友人であることを確かめるようにダンウォール様の口から出るのはとても意外でした。


そしてなにより、姉はやはり何か相談したいことがあったようです。

それは弟の僕ではだめだったのでしょうか?あんなにいつも一緒にいたのに。



すると、姉は思いもよらぬことをダンウォール様に聞き始めました。

「レオノール・ジィ・フォンラトス様をご存じですか?」と。


…レオノール様?

この国の誰もが知っているでしょう。4公爵家の1つであり、騎士団一家の嫡子様です。けれど、姉は会ったことはないはずです。何故姉がそんな人物を気にするのか不思議でなりません。


するとまた突拍子もないことを言い始めました。

「…とても綺麗な髪の色をしていると聞きましたわ。」と。


頭に疑問符が並ぶのは仕方がないことでしょう。なんせわけがわからないのですから。

姉は髪の色を知りたいのでしょうか?それとも見てみたいのでしょうか?

確かに以前のお茶会で見かけたフォンラトス様の髪色は忘れることができないような鮮やかな赤でした。


ダンウォール様がそのことを答えると、

「へぇ。それは素敵ですわね。」

と興味津々の顔をしているような…そんな気がします。


もしかして姉の好みのタイプなのでしょうか?けれど、髪色も知らない会ったこともない相手を好みのタイプというのはどうもおかしい気がします。

けれど、同じようなことを感じたのか、ダンウォール様が姉に問いました。


「もしかしてソフィリア嬢は彼みたいなのがお好きなのですか?」と。


ですがその声はいつもより若干低く感じました。僕の額には冷たい汗が出てきそうな…斜め横に座るダンウォール様の方からの冷たい圧を感じるような…そんな気さえします。


姉さま、早く違うって言ってください。


「い、いえそういうわけでは…。ただ、まぁ、少しお会いしてはみたいですね。」


そうじゃありません!否定はしてほしかったですが、その後の言葉はいらなかったのではないでしょうか!?

そう思った瞬間、大きな音がしました。



『バキッ』



ひぃぃ。

お姉さま、今、僕の椅子にヒビが入っています。多分これ、ダンウォール様の魔力によるものです。これ以上刺激しないでください。お願いしますから。


「…わかりました。それでは一緒にパーティーに参加しますか?」

何もなかったかのように話を進めるダンウォール様。さすがです。


「再来週末にフォンラトス家でガーデンパーティーがあるのです。それに招かれているので、もし行きたいのであればご一緒できますよ。」


ん?そういえば僕も招待状をいただいていたはずです。けれど、姉はパーティーには参加するはずがないでしょう。そう思い、僕も招待を受けていたということをポロっと口を滑らせてしまいました。

僕はこのことをすぐに後悔することなるとは知らずに。



急に鋭い視線を感じました。チラッと斜め横を見ると…。


ひぃぃ。


吸い込まれるような深紅の双眸がこちらを睨んでいます。

前回目が合ったかもしれない時のような感覚に襲われました。

心臓はドキリ嫌な音を立て、冷や汗を背中に感じます。僕は笑顔のまま再び固まっていました。

ですがすぐに僕の思考は姉の声で動き始めました。


「ユリウス、それは本当なの?!」

「は、はい。返事はまだ出していませんけど…。」

「出しなさい。今すぐに!もちろん出席で!」


え!?まさか出席するつもりなのでしょうか!?今まであんなに拒否していたのに!?


本当にいくのかと再度尋ねると、姉は何か葛藤している様子ではありましたが参加したいと言いました。なにやら参加したい理由があるようです。

…もしかして本当にフォンラトス様の髪色が見たいのでしょうか?


そんなことを考えていると、姉が思いもよらぬ提案をしてきました。

どうしてこう斜め上の思考なのでしょうか。



僕だってまさか、侍女としてついていくなんて言うとは思いもよりませんでした。


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