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傾国の美男子  作者: 空乃明
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平穏

あの衝撃のルーウェン様訪問から数日。平穏な日々が続いていた。



相変わらず外に出るのは家の庭までだけど、ユリウスと本を読んだり勉強したりユリウスの剣術の稽古を見たり。正直毎日充実しているし、癒されている。


ただあの魔道具を着けていると頭が痛くなったり、重いから耳が痛くなったりするので長時間はつけていられない。だけどユリウスがいるところでは絶対につける。だって顔をみたいものね!



「…さま。…えさま。ねえさま!また飛んでいますね!?」


は!いけないいけない。かわいすぎて見入っていたわ。本を読んでいたはずなのにおかしいわね?


「どうしたの?」

「もう…。こんな感じで学園に行って大丈夫ですか…?僕、本当に心配です。」

と溜息をついている。


溜息をつく姿さえも可愛いと思いながら学園について考える。



ユリウスの言う学園とは国立ソニタリア魔術学園である。少ない量でも魔力を持っている者は、身分に関わらず15歳になれば入学が義務付けられている。平民が魔力を持っていることは少ないため、ほとんどが貴族ばかりの学園だ。

一応私も少ないが魔力がある。そのため学園には通わなければならない。



まぁ皆さんの予想通り、この学園こそがゲームの舞台なわけで。


1年目はゲームの世界になかったのでわからない。ゲームが始まるのは私が2年生になってからだ。つまり1つ下のユリウスが入学すればスタートとなる。

まぁなるようにしかならないし。できるだけ大人しくしながら、フラグがあればヒビを入れるぐらいはこっそりできたらいいなぁと今は考えている。

イケメンたちが死ぬのはやっぱり嫌だしねえ。それにきっと学園に入れば、他の攻略対象を遠くからでも見ることができるだろう。そう思うと少し楽しみでもある。


けれどその前に他の攻略対象のことを少し書き出しておいたほうがいいかもしれない。だんだん忘れているような気がするし、対策も考えておきたい。



「ユリウス、あなたもうそろそろ剣術のお稽古ではないの?」

「そうですね。姉さまも一緒にきますか?」

「うーん、今日は辞めておくわ。また今度お邪魔しに行くわね。」

「邪魔はしないでくださいね?」

目が合うと、2人でクスクスと笑う。なんてかわいいのだろう。そして自分で言うのもなんだが、とても仲良くなったと思う。



名残惜しいがユリウスと別れ、私は自室に戻りながら記憶を手繰り寄せる。


「メリー、紅茶を部屋にお願い。そしたら下がってくれていいわ。」

「かしこまりました。…体調がすぐれないのですか?」

「ううん。ゆっくり考えたいことがあるの。」

「さようですか。わかりました。」



さて、紅茶を一口飲み考える。

ルーウェン様はとりあえず置いておこう。

なぜか友人になったし。死亡フラグにヒビは入っているでしょう。多分…。それにもし何か起こりそうでも気づけるように私も注意していようと思う。



次にユリウスね。ユリウス設定はたしか…。


①家族を恨んでいる

え、まって?

…でも確かにそんな設定だった。ユリウスは家族を憎んでいた。確か理由は…。そうだ。ユリウスの本当の父親は、私の父の弟だ。ユリウスは本当の両親に捨てられて我が家に来たのだっけ。彼の両親は消息不明だ。理由もわからない。だから自分を捨てた家族を恨んでいる。



②孤独で愛情に飢えている

家族として迎え入れた私の両親には感謝しているが、彼は心を開くことができなかった。また捨てられるかもしれないという恐怖からだ。特に、ユリウスの姉は彼を疎ましく思っており、とても仲が悪かった。


え?そうなの?ソフィリアはこんなにかわいい子を嫌っていたの?


でもソフィリアの記憶を思い出してみると、確かにユリウスに会うたびに嫌がらせをしていたようだ。ソフィリアからすれば、父母を盗られたくないという思いが強かったのだろうと思う。



そんな訳で、デンパール家では常に彼は孤独だったのだ。

私が()()()()()()()()なら、今後更にかなりひどいことをして傷つけていたのかもしれない。そうすればもちろんユリウスはソフィリアを恨んでいただろう。実際、ゲーム中ではそうだったのだと思う。だからあのゲームの中では心に大きな孤独感を抱えていたのかも。


むむ。

それなら私は、ユリウスに孤独を感じさせないように構い倒せばいいのでは?

今では父母を盗られるなんてそんなこと微塵も思わないし。

それに…構い倒せばいいなんて、それは正直願ったり叶ったりなんじゃない?今も結構付きまとってる気もするけど…。

でも、嫌がらせをして恨まれたくないし…。



え、すでに恨まれているなんてことはないよね?どうしよう…。

以前のソフィリアといえば、おやつを取り上げたり…無視したり…わざと転ばせたり…。あ、やっちゃってる。どうしよう…。既に恨んでるかな?時すでに遅し?

…怖いけど、今度私を恨んでいるかどうか、本人に聞いてみよう。そして今までのことを謝って、これから構い倒すのだ。そうしよう。



ただ、そんなことで本当に死亡フラグにヒビが入るかどうかは、とても不安である。でも、少しでも可能性があるのならやる。というか、お願いされなくてもやりたいのである。





次にレオノール・ジィ・フォンラトスね。

フォンラトス家は確か王族直属の騎士一家だったはず。学校で出会ったレオノールは真っすぐな性格で正義感が強くそして剣術がものすごく強い。だが、レオノールには後悔している過去があった。それが彼の闇に繋がっていた。


それはレオノールの妹のことだ。彼は2人兄妹で、3つ下の妹がいた。ある日、彼の妹は誘拐され殺されてしまう。発見された妹の無残な姿に、レオノールは自分を責めた。妹が誘拐され殺されてしまったのは自分が守れなかったせいであると、自分自身をずっと許すことができないでいた。



レオノールルートでは、妹のように振舞うことで好感度が上がっていった。レオノールは、妹とヒロインを重ねることによって心の隙間を埋めていたのかもしれない。彼は見た目通り熱い男の子で、言葉もストレートだ。その言葉の端々に、もう二度と妹を失いたくないと言う想いがあったと思うと、なんだか悲しい。

だが、もしヒロインに攻略されれば10年後には戦禍の中で死んで逝く。愛に溺れ、強くなることを止めてしまったレオナールは、あっけなくこの世を去ることになるのだ。


そんなのは嫌である。




あれ、でもまって。たしか妹さんが誘拐されるのって彼が14歳の時じゃなかったっけ?たしかレオノールはユリウスの2つ上だったから…。


今14歳だ!


これ、もしかして間に合うのでは?もしかしたら妹さんを助けることができるかもしれない!?そしたら心に大きな闇ができることもないのでは!つまり、フラグにヒビを入れることができる…?



よし。まずは現状把握から始めよう。そうしましょう。

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