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視線の重なりでできた日常  作者: ゆら。


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第十八話 触れる


放課後。


図書室。


静か。


雨宮、一人。


本を開いてる。


でも、ページは進んでない。


スマホ、震える。


画面。


青木。


『先生に捕まった』


その下。


『帰るの遅くなる』


『先帰ってて』


雨宮、見る。


数秒。


閉じる。


雨宮(……約束してない)


待つ理由はない。


小さく。


本に視線戻す。


でも。


本に入れない。


頭の中。


整理が始まる。


* 青木は遅くなる

* 帰るタイミングがズレる


……今日はもう会わない。


雨宮(……寄らない日)


その感覚だけ浮く。


最近、分かるようになった。


“流れが来そうな時”


“流れが来ない時”


雨宮、立ち上がる。


本、閉じる。


自分でも理由が分からないまま。


歩く。


昇降口。


人、少ない。


雨宮、立ち止まる。


雨宮「……」


少しだけ眉寄る。


雨宮なんで


自分で分からない。


帰ればいい。


別に待つ理由はない。


でも。


動かない。


雨宮(……寄ってる?)


違う。


それだけじゃない。


雨宮(……じゃあ何)


答え、出ない。


外。


意味もなく見る。


ーーー


数分後。


走ってくる足音。


青木。


止まる。


雨宮、見る。


青木「……え」


青木「なんでいるの」


雨宮「……分からない」


青木「は?」


雨宮、自分でも困る。


雨宮「帰ろうとは思ってた」


青木「うん」


雨宮「でも」


少し止まる。


雨宮「なんか、

 ここにいた」


沈黙。


青木「……何それ」


少し笑う。


雨宮「知らない」


本当に分からない。


でも。


青木が来た瞬間。


胸の奥。


少しだけ落ち着いた。


雨宮「……あ」


小さく。


青木「ん?」


雨宮、少しだけ目を伏せる。


雨宮……これか


初めて。


感覚として理解する。


“確認したかった”


……さっきの違和感を


でも。


言葉にすると違う気がする。


青木「?」


雨宮「……いや」


小さく首振る。


青木「帰るか」


雨宮「うん」


雨宮、並ぶ。


自然に。


距離、近い。


静か。



青木「寄ってた?」


軽く聞く。


いつもの感じ。


雨宮、少し考える。


雨宮「……わからない」


青木「うん」


雨宮「でも」


間。


雨宮「今日は、少し触った」


青木「触った?」


雨宮「帰れたのに、

 帰らなかった」


青木「……」


雨宮、自分の手を見る。


傘を握ってる。


雨宮「なんでかは、

 まだ分からない」


青木、少しだけ黙る。


冗談を挟まない。


青木「……分かんなくても、

 やる時あるだろ」


雨宮、止まる。


その言葉。


静かに落ちる。


雨宮(……分からないまま)


雨宮(触ることもある)


今まで。


全部、整理してきた。


理由。


条件。


流れ。


でも。


今日のこれは。


説明より先に動いてた。


青木「なぁ」


雨宮「うん」


青木「それさ」


青木「ちょっとだけ、

 人っぽいな」


雨宮「それ、失礼」


即答。


青木、笑う。


雨宮も、

少しだけ笑う。


でも。


並ぶ距離が、

前より自然だった。


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