第十一話 選べる
放課後。
教室。
人、まばら。
ーーー
青木、席。
ノート開いてる。
『どこまで?』
『試す』
その下。
『自分→世界』
『世界→自分』
『どっちが先?』
青木「……いや、知らん」
ペン置く。
前。
女子二人、話してる。
女子A「ねえ、帰りコンビニ寄ろう?」
女子B「いいよ」
青木、聞いてるだけ。
特に何も思わない。
……はず。
青木、立つ。
カバン持つ。
歩き出す。
廊下。
青木「……あれ」
足、止まる。
青木「俺、今どこ行こうとしてた?」
考える。
……コンビニ。
青木「いやいやいや」
首振る。
青木「思ってないだろ今の」
でも。
さっきの会話。
頭に残ってる。
青木「……」
とりあえず歩く。
昇降口。
靴履き替える。
そのまま。
外。
足、自然に曲がる。
コンビニの方向。
青木「……いや待て」
立ち止まる。
青木「行く理由ないだろ」
でも。
なんとなく。
行きたい。
青木「……なんでだよ」
少しイラつく。
そのまま、あえて逆方向に歩く。
青木「行かねぇし」
決める。
数歩。
……足、重い。
青木「……は?」
明らかに。
さっきより、歩きづらい。
青木「いやいやいや」
振り返る。
コンビニの方向。
さっきの女子、もういない。
でも。
“流れ”だけ残ってる。
青木「……」
一歩。
コンビニ側へ。
軽い。
青木「……は?」
もう一歩。
軽い。
青木「……おい」
逆に一歩。
重い。
青木「……ふざけんなよ」
小さく。
そのまま立ち尽くす。
雨宮。
後ろ。
雨宮「行くの?」
青木、振り向く。
青木「……今さ」
雨宮「うん」
青木「俺、コンビニ行こうとしてた?」
雨宮「してたね」
青木「思ってないのに?」
雨宮「うん」
青木「……なんで」
雨宮、少しだけ考える。
雨宮「混ざってるから」
青木「またそれかよ」
雨宮「さっきの人たちも入ってる」
青木「……」
さっきの会話。
『コンビニ寄ろう?』
頭に再生される。
青木「……それで?」
雨宮「青木も入ってる」
青木「いやそれはわかるけど」
雨宮「じゃあいい」
青木「よくねぇよ」
でも。
さっきの“重さ”。
軽さ。
自分の意思だけじゃない感覚。
残ってる。
青木「……俺のじゃないのに」
小さく。
雨宮「全部、青木のでもあるよ」
青木「は?」
雨宮「選べるから」
青木、止まる。
さっき。
逆に歩いたとき。
重かった。
でも。
できないわけじゃなかった。
青木「……」
少し考える。
青木「……めんどくせぇなこれ」
雨宮「うん」
即答。
青木、ため息。
少しだけ笑う。
青木「……じゃあさ」
コンビニの方、見る。
青木「これは?」
一歩、踏み出す。
軽い。
青木「俺?」
雨宮「半分くらい」
青木「雑だな」
でも。
否定しない。
青木、歩き出す。
コンビニへ。
青木「……これ、俺だけで終わらないよな」




