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第11話 冷たい地面


ごとり、と音がした。


バキバキ、という音がする。


何にも見えない。真っ暗。


パッと明かりが付く。メフィストフェレスが魔法を使ったのか?


目の前には白い壁。その隙間から外に出る。


メフィストフェレスが先に外に出ていた。


後ろを見ると、俺を食べたデカい顔が転がっていた。


首より下は無くなっていた。


「おい、これ、大丈夫なのか。」


これはメフィストフェレスの本質とか言ってたが、ピクリとも動かなくなっている。


「首を切られたぐらいじゃ悪魔は死なねぇんだ。そんなことより行くぞ。時間がねぇ。


お前の娘の元によー。どっちだ。」


どっちだ。と言われても。辺りを見回しても、真っ赤な空間。真っ赤な床。真っ赤な天井。


眼を開けてるだけで目が疲れてくる。


集中して耳を澄ます。


やはり聞こえる。


あっちだ。


声の聴こえた方向を指さす。正しいかどうかの自信はないが。


メフィストフェレスはスカートの中に手を突っ込み、中から箒を取り出す。


「乗れ。」


メフィストはそれにまたがり、背中に俺を乗せる。


「なぁ、やっぱり、魔女なんじゃ・・・」


「あのなぁ、魔女がオレの真似をしてんだよ。」


ふわりと浮く。浮いたと思ったらビュンッと異常な急加速をする。


内臓が全部ちぎれそうなほどの勢い。


必死でメフィストにしがみつく。


メフィストの金髪はごわごわで、ちくちくした。


光を超えるんじゃないかという速度のはずだが、周りの景色に何の変化も無いから、


実際どのくらいの速度なのか全くわからない。


そう思っていると、突然ぐらっと来た。と思った次の瞬間には、とんでもない力で地面にぶつかった。


いや吹っ飛んだと言っていい。


天井と床がぐるぐる回る。


頭と背中と足と全方向から地面にぶつかった。


なんだ、何が起きた。


やっと止まった。


全身の骨が折れたような痛み。


口を切ったらしい。痛い。手で触ると、かなり血が出てる。


アドレナリンが放出され、痛みは鈍い。心拍数が上がりドクドクと心臓が脈打つ。


メフィストは倒れている。いやもう立ちあがった。


「何があった。どうなった。」


俺がメフィストに尋ねる。


「お前は正解だ。おそらく、中心に近づいてる。だから物理法則が機能しなくなっている。」


「どういうことだ。」


「邪神の力はすべてを歪める、しかし、人間世界で活動するには神の支配する物理法則に影響を受ける。


だが、ここは邪神の体の内側だ。内側に行くほど邪神の力、つまりすべてを歪める力が強くなる。らしい。


オレも未知の状況だ。その推測が正しいかはわからん。実際この観測を持ち帰って百年は検分したいね。」


そう言うと、箒を拾い、再び進む。今度は歩いて。


何もない空間。何もない天井。あるのは赤という色だけ。


ひたすら進む。進んでいるのかどうかもわからない。


冷たい。


なんだ。冷たいぞ。と思った。


そう思っていると、突然吹雪になった。


猛吹雪。前が見えない。思わずメフィストの手を握る。


こんなに近くに居るのに、顔が見えない。


パキン、という音とともに、吹雪が当たらなくなる。


「結界を作った。すげぇ力だ。勝てねぇ。おい。もう引き返すぞ。もう無理だ。」


「なら帰れ。俺は進む。」


ここまで来た。帰るわけにはいかない。


「バカヤロウ、結界無しだと一瞬で凍って死ぬぞ」


「例えそうだとしても、俺はここから逃げることはできない。」


「親ってのはそこまでするもんか?子を捨てる親もいるだろう?仕方ないとあきらめる親もいるだろう?」


「親だから、じゃないんだ。アレは俺の娘だ。俺がいかないとダメなんだ。」


「一緒だろ!?」


メフィストが激昂する。その時、結界にヒビが入った。


ヒビから冷気が差し込む。


命の危機を感じる冷気。


「無理だ!付き合ってられねぇ!」


メフィストは引き返す。結界を出て、吹雪の中に消えていった。


どうやら結界は残してくれたようだ、少しなら動けるらしい。


一歩、一歩と猛吹雪の中を進む。


あまりの寒さに、もはや寒いという感覚すらない。


メフィストが居なくなったことで、光も無くなったからか、全く何も見えない。


結界はもう殆ど壊れてしまったらしい。


当然、体は順調に機能停止していき、どれだけ手を動かしても吐息で温めても、動かなくなってしまった。


服装は初夏に着る長袖のジャケットと長ズボン。それだけだ。そりゃ寒いよ。


寒さで足が上手く動かず、足を取られ、転んでしまった。


地面の雪が顔に当たるが、もう最初っから麻痺してるので、冷たさを感じない。逆に熱いと感じる。


ああ。これは死ぬな。と思った。


バシバシと吹雪が頭に当たる。


地面は容赦なく俺の体温を奪う。


しかし、変な最後だな。天使、悪魔。邪神。そんなのに巻き込まれて。


最後は凍って死ぬ。


俺がここで死んだら、魂はどうなるだろうか。この邪心の卵の中に永遠にさまようのだろうか。


ああ。娘よ。すまない。助けてやれなくて。まともな人生を守れなくて。


俺は・・・悔しい。


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