『だから、駄目だと言ったのに』9
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いつから準備を始めるのだろう。
大通りの街路樹を見上げながら話している作業員三人の姿を見つけた。
葉が落ち寂しくなった木々はこれから様々な色や形の電球をまとい、クリスマスから年末年始、そして春が来るまで街を彩る。
(もうそんな時期かぁ……)
早いなと、ファーストフード店の二階、窓際カウンター席から眺めた。
作業員達の足元を枯れ葉が流れていく。店に入る前より風が強くなってきた様だ。
(待ち合わせは六時半だったよね)
あと三十分か。零さんからのラインを確認してからチーズバーガーにかぶりつく――。
お昼に届いたそれは、喫茶店での待ち合わせ時間を知らせるものではなかった。
【優海さんと連絡がついた】
【会って話が出来る】
【待ち合わせは午後六時三十分。路地裏のネコ耳公園で】
要件のみ。零さんがこんな箇条書きのメールを送ってくるとは意外だった。そうしてくれと願ったのは自分だけど、いざこういう形となると何か落ち着かない。
ちょっと極端じゃないか?
(零さんも来るんだよね? 書いてないけど……)
私は優海さんが見えるのか、いまだハッキリしてないだけに、不安だ……。
「おつかれ~。それ晩メシ? バランス悪いなぁ」
間延びした声は、私と同じくバイトを終えた田所さんだった。左隣に座ると、チーズバーガーとホットコーヒーのみの私のトレーを覗いてくる。
「それ、田所さんの方でしょ」
バーガー三つ、ドリンク二つ、ポテトLサイズの人に言われたくない。
「夜勤に備えてカロリー蓄えないと」
「工事現場ですか」
「いや、警備員」
「……。強盗が入らないとカロリー消費出来ませんね……」
「何が起きるか分からないのが警備員の仕事だぞ? 起きた事ないけどさ」
「はは……それが一番です」
あっという間にバーガー一つを食べ終えた田所さんを見て、ミツキさんと並べたらどうなるんだろう……と想像してしまった。ファミレスじゃないな、食べ放題で。凄そう。
「ほうは、かのんはんはれ」
「分からない分からない! 食べてから!」
「…………」
「……」
「あれ、スターリー何とかって人」
「っ、うんッ!」
冷めていないコーヒーとタイムリーでピンポイントな話に、軽くむせた。
「大丈夫?」
「……はい。で? Starry Eyes」
「コンビニの先輩が知ってて――」
背後でけらけら笑いだした女子高生達が気になったのか、田所さんは一旦口を閉じた。
ドリンクを一口。ズゴゴゴ……とストローから音が鳴る。
「子供いるとか言ってたじゃん?」
「あぁ。……ですね」
「もう亡くなってるらしい、って」
「…………へっ!?」
「三年前。ストリートライブで子供面倒みてなかったってやつガセなのかね? それとも先輩の話の方がガセ?」
なんですかそれ……
――声が出なかった。




