『貴女は透明』7
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「…………やってしまった……」
午前九時二十分。
時計を見て、ベッドの上で頭を抱えた――。
(私……前も同じ事してなかったっけ?)
あの時はお酒で失敗したけど、今回は大寝坊。ううん。大を三個くらい付けてもいい。
朝は朝でも、翌々日の朝はヤバイでしょ!
丸一日寝てたって? 一回も起きずに?
「あああぁ……やっちまった」
朋絵と田所さんの名前がズラッと並んでいる着信履歴と、ラインの未読数に驚愕した。
朋絵朋絵朋絵、田所さん、朋絵朋絵朋絵朋絵、田所さん、朋絵、田所さん田所さん、朋絵…………
息継ぎせず読んだら、何かが召喚出来そうなレベル――そんなこと言ってる場合じゃない。
すぐ朋絵に電話した。
『花音っ! 大丈夫なのっ!?』
「うん。ごめんね……寝てた」
『はぁ!? 寝てた!?』
「いや~、びっくりしたよ。起きたら一日過ぎてるんだもん」
『びっくりしたのはコッチだよっ!!』
キン! と高音が耳に響く。
『どれだけ心配したと思ってんの!? 電話は繋がらないし、既読にならないし、ハートも来ないし!』
「ご、ごめん……」
『忌引で二日くらい学校とバイト休むよーって伝えようとしたら、まったく連絡つかないんだもん。まさか、花音にも何かあったんじゃ……って、もうホントすっごい心配したんだよ……』
興奮していた朋絵の声が、どんどんか細くなっていく。
……朋絵が怒って泣きそうになるのも当然だ。
忌引で休むと親友に伝えようとしたら、その相手がぱったりと音信不通になるなんて。
タイミングの悪さにも程がある。
『体調とか大丈夫なんだよね?』
「全っ然! 大丈夫! 爆睡してただけ」
『そっかぁああ……良かった』
「本当に申し訳ない……。田所さんにも連絡しないと」
『私が大騒ぎしちゃったからなぁ。昨日の夜、花音の家にも行ってくれたんだよ』
「エッ!?」
『お互い田所さんに迷惑かけちゃったねぇ~。私もあとで電話しよ。じゃあね、花音。花音生存確認アプリ、ちゃんと稼働させてよ?』
「花音生存確認アプリ」
友にもそう認識されていたか――。
(そうだ、忘れない内にって思ってたのに、結局そのまま忘れた)
電話を切ってから思い出した。
で、丸一日以上。習慣が途絶え、音信不通。
心配されて当然だわ。
田所さんの携帯は、何度かけても留守電だった。
午前中にバイトが入っているのか、夜勤明けで眠っているのか……。
数回留守電のガイドを聞いた後に「花音です。ご心配おかけしました。また午後にかけ直します」とメッセージを残す。
(シャワーを浴びたり色々していたら、午前中の授業は間に合わないかも……)
寝坊で遅刻・サボりなんて初めてだ――。
時計を見て、私は溜息を吐いた。




