『必然に決まっているでしょう』2
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「やあやあ! 後輩諸君! 今日もお疲れ様~」
「……は?」
「諸君って……何なの急に」
バイトを終え休憩室で帰り支度をしていた私と朋絵の所に、田所さんは満面の笑顔で入って来た。それもちょっと芝居がかった様子で。――声も大きい。朋絵はジト目で田所さんを迎えた。
「今日、夕飯行かな~い? 先輩おごっちゃう」
「はぁっ!? 田所さん、この後ヒマなの!?」
「ウソッ! 有り得ない」
「ちょっと二人とも、その反応なんだよ。……即答で断られるよりかマシだけどさ。女子かよ! くらいのツッコミ欲しかった……女っぽく言ったのに」
エプロン姿でうなだれる田所さん。胸元のゆるキャラの顔も、気持ち落ちこんでる様に見える。
いや、出オチを狙ってたのは一瞬で分かったけど、私と朋絵はオチより何より、田所さんが仕事をしないという方が驚きだったのだ。ツッコミどころではない。
「だっていつもバイトばっかじゃん! 夜は時給が良いから……とか言って、私達が誘っても来なかった癖に」
「え、待って朋絵っち……俺誘われたこと一度もないんだけど」
――うん。誘ったこと無いぞ、朋絵。
田所さんの情けない声を聞きながら思い出す。でも、朋絵の言葉はどこかで聞き覚えがあった。
そうだ。家の近くのコンビニで働いていた時。確かに田所さんはそんな風に言っていたっけ……。
「おいおい……俺だって休む時はあるぞ。バイトの鬼じゃねぇんだし」
「私は休んでるの見た事ないもん。大学でも全然会えないわ、ミス研は幽霊部員だわ、ラインは既読にならないわ……。聞けば、あっちのバイトだこっちのバイトだって、そればっかりでさ!」
グチグチ言い始める朋絵に、えっ? と思わず声が出た。
二人ってば、いつからラインのやり取りするほど仲良しに!?
「花音ちゃん……? いつも“シフト変わって”しか来ないからな。誤解せぬように」
「“勉強教えて”も何度も送ってるよ!」
「……ほお。いつも、ですか。何度も、ですか……。いえいえ、二人が仲良しならそれでよいのです。私は何も言いませぬ。フフフ」
「あからさまな含み笑い!」
田所さんはお笑い芸人っぽいオーバーリアクションで話をサラリと流す。朋絵は横でむくれていたけど、彼の口調で一転、ケラケラ笑った。
どうやら、私が考えた様なハッピー展開ではないみたい。……残念。
(田所さん、もう少し頑張って!)
目で訴えてみる。
私の視線に気が付くと、田所さんは苦笑いを見せた――。




