第2話-② ステータス報告
自分は違う。
「……ふぅ」
与えられた情報で安心をするのはきっと仕方ない。どれほど優れているかと言うよりも、どれ程周りから外れていないかが結局の所は重要な訳だ。
足を引っ張らない為ではない。
目をつけられない為に、だ。
例えばステータスは個人情報であるとマルスは言ったが、ひけらかす様な態度の者も居るし、コソコソと話している者も居る。
特に光太郎の周りは騒がしい物だ。
「おい、岩崎ィ」
晋は直ぐに意識を切り替える。
「ステータス、どうだったよ」
別に目視できる訳ではない。
例えば鑑定などという様な物が有れば話は別だろうが、春紀が持っているとは限らない。
「……おい、お前らの事は何だっていいが、一人ずつ自身のステータスを報告しにこい」
マルスが春紀を冷たい瞳で見つめながら催促する。
「へいへい、サーセンね」
悪びれる様子は見えず、口先だけの謝罪をして光太郎の脛に蹴りを入れる。
「づぁ……っ!!」
光太郎が脛を押さえて蹲る。
「……わり、足当たっちまったわ」
呆れる程だが、関係ない。
クラスでの人間関係などマルスにとってはどうでも良いのか注意をするでもなく黙って見ていた。
「ステータスは?」
一番初めに報告に向かったのは春紀だった。方向は数十秒ほど。次々に報告が行われ、晋もそろそろかと踏み出す。
クラスのほぼ全員が報告を終え、残っているのは晋と金丸、女子では莉緒くらいだ。
その莉緒も今しがたマルスの元から戻ってきて、横をすれ違う。
「名前とステータスを」
「護仲晋……」
表示されたデータの数値をウィンドウを見ながら言い終える。
「……技能は?」
「技能はありませんでした」
「そうか。中々、良いステータスをしている。魔法使い以外ならば何とかなるだろう」
「そうですか?」
「ああ。もう大丈夫だ」
マルスが言うのだから、ステータスは平均以上ではあるのかもしれない。このクラスの中でも中の上程度の能力値か、或いはもっと上だと考えても良いのではないか。
なら、より安心だ。
「まあ、良かった……のか?」
技能についてはどうかは分からないが、なくても大きな影響になるとは考えてなくても良いはずだ。
ステータス値は騎士団長のお墨付き。
不安要素は特にない筈だ。
「技能……か」
大丈夫だろう。
晋は気にする必要はないと内心で言い聞かせる。少しの不安を覚えるが、技能がないと言う事は重要か。
特に彼らは説明もしていなかったのだ。
詰まるところ、これは現状において理解する必要がないと言う事なのではないか。
「……ん、皆んな終わったか」
文庫本を閉じて金丸がマルスの居る方へと歩いていく。自分以外の報告が終わるまで待っていたのだろう。人が集るのは好きではないから。
晋にも彼の気持ちは理解できた。
粗方終わるのを待っていたのは晋も同じだったからだ。とは言え、彼の様に暇潰しになる様な物をこの世界に持ってくることはできなかった。
晋は金丸に少しばかりの羨ましさを覚えていた。




