うさぎ追いしかの山
わたしの名前は白川宇佐美。
みんなからウサミちゃんって呼ばれてる。
語尾のぴょんはキャラ作りだ。
子供の頃から美少女で芸能事務所にスカウトされて在籍している。
歌ったり踊ったりアイドルっぽいこともしてるしミュージカルにも出演してる。
人気モデル雑誌にも掲載されたことがあるし順調に芸能界という荒波を泳いでいる。
部活は陸上部に入ってたけど、いまは登山部だ。
生まれつき足が早くて走るのが好きだから陸上をやってたけどサルちゃんからスカウトされて登山部に転部した。
足が早くて目と耳がいい子を探していたみたい。
わたしは足が速いだけじゃなくて目と耳もいい。
遠くの物音で振り返ったり遠くにいる友だちに気づいたりできる。
陸上では長距離と短距離、走り幅跳び、走り高跳びをやってた。
持久力も瞬発力もジャンプ力もある。
腕力はないけどね。
サルちゃんがわたしを登山部に誘ってくれたのは身体能力が目的だけじゃなくてわたしが山と因縁があることを知っていたからだ。
わたしのひいひいおじいちゃんは雪山で軍事訓練中に亡くなっている。
青森で起きた九甲田山雪中行軍遭難事件といえばかなり有名だ。
九甲田山雪中行軍遭難事件とは1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が青森県の青森市街から九甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件で訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという日本の冬季軍事訓練において最も多くの死傷者を出した事故であるとともに近代の登山史における世界最大の山岳遭難事故である。
あたしのひいひいおじいちゃんは陸軍歩兵大尉で雪中訓練の総指揮官を勤めていた。
凍死したみんな悪霊となって魂がさまよっているに違いない。
雪山での遭難事故は寒さや極度の疲労で思考が停止して判断力が鈍り、普段ならありえない選択をすることが原因だって言われてるけど、あたしは悪霊説を推す。
山で亡くなった人たちが登山者を誘い込むんだ。
さびしいから話し相手が欲しい。
地縛霊のような死んだ山から動かない悪霊もいれば他の山にも飛んでいって登山者を迷わせる悪霊もいると思う。
悪霊だけじゃなくて山に住む邪神もいるかもしれない。
雪山で登山者をさらう怪物の姿を見たという証言もある。
世界にはゴミの山がいっぱいある。
山を汚されたことで起こった山の神様の怒りが邪神を生んでそれが登山者を襲うんだ。
良い山の神様から悪い山の神様がポコポコ生まれてるに違いない。
うんちみたいに。
うんちといえばエベレストなんてうんちの山って言われてるんだよ?
登山者が登山中にうんちやおしっこをして気温が低いから凍ってるの。
気温が高くなると悪臭を放つし、知らずに手でうんちやおしっこを触った登山者が病気になっちゃったりするの。
環境汚染や感染症を引き起こしてるんだ。
こんなのぜったい山の神様も怒るよね!
いちおうAI記事載せておくね。
気になる人は読んで。
(エベレストの現状:深刻化する「うんこの山」大量の排泄物: 登山シーズン中、山頂に続く各キャンプには推定約3トン以上の人間の排泄物が残されていると言われています。
分解されない環境: 極寒の環境では、排泄物が微生物によって分解されず、そのまま蓄積されるため、冷凍された糞便が長期間残ります。
悪臭と景観の悪化: 岩場に排泄物が露出している箇所もあり、異臭を放つだけでなく、深刻な環境汚染となっています。標高が高い場所では気温が低すぎて微生物による自然分解が進みません。
現状: 推定数トンに及ぶ排泄物が「凍結保存」された状態で岩陰などに蓄積しています。
影響: 気温が上がる時期には強烈な異臭を放ち、周辺の衛生環境を著しく悪化させます)
あたしは悪霊の供養と山神様の怒りを鎮めるためにたまに山登りしている。
といっても子供でも登れる低い山ばかりだけど。
ロープウェイで登ったりもしてる。
高い山や雪山に登るのは怖かった。
本格的な登山は死ぬかもしれないから避けてたの。
命が大事だもん。
サルちゃんとは中学で出会って友だちになった。
ひいひいおじいちゃんが雪山で死んだこと、悪霊のたたりや山の神様のお怒りを鎮めるために山に登って祈ったりゴミ拾いしていることを話した。
それで登山部に誘われた。
「本格的に山の神様の怒りを鎮めたり、山で死んで悪霊になった登山家たちの供養をするには難易度の高い山に登ったほうがぜったいご利益は大きいよ!
自分たちのためにそこまでしてくれるんだ!って感激して山の邪神も怒りを鎮めてくれるし悪霊も成仏するよ!簡単に登れる山だとふ~んその程度の気持ちなんだ~ってなっちゃうし」
あたしは悩んだ。
サルちゃんの言い分もぐうわかる。
命を賭けて登頂するからどうか神様お怒りを鎮めてください!
悪霊たちも憎しみを捨てて安らかに成仏してください!
ってことね。
がんばる姿を見せて感動してもらおう作戦か。
サルちゃんは言葉を続けた。
「それと知ってる?九甲田山の大量遭難は美化されてるけど、ほんとうはひどい話なんだよ?
地元の案内人が案内を申し出ているのにどうせお金が欲しいんだろ!って断ってるんだよね。
さらに軍幹部たちはプライドが高いから道に迷っても引き返すことができなかったんだ。
案内を断ったのに迷って帰ったら笑われるから恥ずかしかったんだよ。
軍事演習の失敗は出世にも響くし、軍の中で笑いものになる。
軍を率いるリーダーのくだらないプライのせいで大勢の兵士たちが命を失ったんだ。
みんな死んだあとでこれを知って悔しくて悪霊化したに違いないよ。
これはもうウサミちゃんが低山にロープウェイで登って祈るぐらいじゃこのタタリはおさまらないね。
運良く生きのこった人たちも凍傷で指や手足を切断されてひどいことになったんだよ。
四肢を切断された人もいる。リーダーの安っぽいプライドの高さが多くの悲劇を産んだの。
隊長は女性の案内人が目的地の村を見つけたら軍の最後尾に回らせたりもしたわ。
若い女性に先導されて村に入りたくなかったんだ。
これもエリート軍人のプライドが天狗の鼻のように高いことを裏付けるエピソードだね。
陸軍の軍事的訓練における大失態だったから当時は箝口令が敷かれ、事件の具体的な詳細を外部に話すことが厳しく制限されたこともお忘れなく。
生き残った人たちは軍が怖くて20年間もだれにも話せなかった。
これもまたプライドの高さゆえ。ずっとプライドが高いんだよね。
そもそも目的地に温泉には誰も行ったことなくて、その温泉は入り組んだ場所にあるから到底辿り着けるような場所じゃなかったんだ。
ふざけた話でしょ?完全に自殺行為!
前日は飲み会して睡眠不足だし、みんな雪国出身じゃないから雪山の怖さを知らずに貧弱な装備で登山したんだ。地元の人はあんな服装でだいじょうぶか?と心配したらしいよ。
たびたび地元の人が登山をやめるように進言されてるのに全無視!
おにぎりがカチカチに凍って食べられなくなった話もあるけど、腹巻きで体に巻き付けておけばおにぎりは凍らないのにそういう知識もなかった。
おしっこも瞬時に凍って危ないからタオルに染み込ませるように用を足すとかしないといけないのにそういう知識も学んでない。
もっとこまかく説明すると九甲田山雪中行軍は青森隊と弘前隊の2組に別れて行われるんだけど、青森歩兵第5連隊(青森隊)は210名中199名が死亡して、同時期に訓練した弘前歩兵第31連隊(弘前隊)は37名全員が生還したんだよ。
でも弘前隊も酷くて案内人を人質にして道を探してこいって言ったり、目的地が見えたら案内人を置き去りにしたんだ。そのせいで案内人は凍傷や後遺症を患ったんだけど国からの補償はなし。
鬼畜の所業だよ。詳しいことが書いてあるネット記事を読むね!」
サルちゃんは大きな声で弘前隊の悪行を読み上げた。
案内人の置き去り: 弘前歩兵第31連隊が、九甲田山山の最難関を越えた後の小峠付近で、疲労困憊の案内人たちをその場に置き去りにして部隊だけで田茂木野へ進んだとされる事例が有名です。
民間案内人の悲劇: 雇われた地元住民は装備が不十分で、軍の無計画な行軍により極限状態に追い込まれ、重い凍傷を負って命を落とした者もいた。
案内人の証言と被害
31連隊と共に田代への道案内で駆り出された地元の一般人も後遺症の残る凍傷などの被害を受けている。国などから補償のあった遭難兵士と違い、道案内の地元民には1人2円の案内料以外は渡されていない。
後日発表された当時の案内人の言によれば、実際には田代に向けた行進において、引き返すことを進言した案内人を叱り飛ばし無理矢理案内をさせたばかりか、田代近辺の露営地に着くなり休憩する暇も与えず、案内人の一部を人質として拘束した上で、残りの者に田代新湯への斥候を命じたとある。結局、新湯は見つからず、明け方になって開拓者の小さな小屋を見出したが、全員は入りきれず、足踏みをしながら朝まで交代で小屋の内と外で休憩をした。
また、31連隊の福島隊は、九甲田山系の最難関を通過後、小峠付近で疲労困憊の案内人たちを置き去りにして部隊だけで田茂木野に行軍していった。これら案内人はすべて重度の凍傷を負い、うち1名は入院するも回復せず、廃人同様となったまま16年後に死亡、いま1人は凍傷のため頬に穴があき、水を飲むのにさえ苦労したという。これらの事実は1930年(昭和5年)になって初めて明らかにされ、地元では“七勇士”として、その功績を称える石碑も翌年に建立された。
陸上自衛隊幹部候補生学校に寄贈された福島大尉の遺品に、7人の案内人を提供した大深内村の村長からの、「連隊長及び福島大尉の念書を頂いて用立てした案内人が重度の凍傷にかかり、治療費を陸軍に負担して貰う旨村議会で全会一致で議決したため、議決書や診断書をお送りしますのでご補助をよろしくお願いします」との内容の手紙がある
なるほど弘前隊の悪行もよくわかった。
サルちゃんは当時の日本帝国軍の体制や世界情勢についても語ってくれた。
長くなるから割愛するね。
おかげでわたしはすべて理解した。
国を守るための軍事練習中の不幸な事故ってことで美談にされてるけど、そもそも日本帝国軍の覇権主義やエリート軍人のプライドの高さと市民を大事にしない姿勢が生んだ起こるべくして起きた人災なんだね。
ひいひいおじいちゃんには悪いけど軍隊って体罰も酷かったみたいだし、あの当時は世界中どの国も支配欲が強くて植民地支配を繰り広げてた。
支配欲による恐怖政治が失敗とわかっても引き返せないエベレストよりプライドが高いエリート軍人を多数生み出したんだから、これを教訓にしないといけない。
やさしい社会になれば柔軟性のある人間ばかりだから人災による大量遭難事故は防げるはず。
サルちゃんの熱意に打たれてわたしは決断する。
「わかったぴょん。わたしも登山部に入るぴょん。冬間に登って供養するぴょん」
わたしは登山部に入部してカメちゃんとウマオくんと一緒に訓練してもらった。
クマちゃんを入部させるためには実力を見せなきゃ行けないからがんばった。
クマちゃんが部長になってくれて訓練はもっと激しくなる。
そして中3の冬休み。ついに万全を期して雪山に挑む。
サルちゃんとクマちゃんは夏に一度、獅子牙岳に偵察に行って千尋の谷を横断する目印となる赤布をつけてくれた。
獅子牙岳に到着する。
はじめてみる獅子牙岳は偉大で美しくて牙を剥き出した巨大なライオンのような怖さ威厳を兼ね備えていた。怖くて足が震えちゃう。
「さあ、行こう!冒険の旅へ!」
「ワクワクして胸が踊るな」
サルちゃんとクマちゃんは遊園地に来たように楽しげだ。
「ひゅーオレ様より美しいぜ。やるな冬獅子牙岳」
ナルシストのウマオくんは白い歯をこぼして笑う。
みんな余裕があるなぁ。
「神様仏様、どうか見守ってくださいぴょん」
わたしは手を合わせた。
「しゅっぱつしんこ~~~~!」
サルちゃんのかけ声で雪山登山が開始される。
立入禁止区域に足を踏み入れるのは罪悪感を感じちゃう。
ほかの3人はぜんぜん平気そうだ。
不良だなぁ。
カメゾウくんは下山時のサポートメンバーだから、夜月尾根の山小屋で待機してもらってる。
夜月尾根は登頂して下山する時のルートだね。
わたしたちは特別危険地域である千尋の谷をもし雪崩が発生しても大丈夫なようにロープを確保しながら横断した。
横断にはなんなく成功だ♩
あとは獅子牙尾根を登るだけ。
「あ。うさぎぴょん」
わたしは雪原を走るうさぎを見つける。
すぐどっかに消える。
「うさぎを追いかけてたら頂上に到着してたっていうのが理想だね。何かに夢中になってたらいつのまにか頂点を極めるみたいなさ」
「夫に浮気された妻が怒りで山に登ってたらいつのまにか山頂にいてスッキリしてたって話なら聞いたことあるぜ」
「激しい怒りもエネルギーになるってことだな。憎しみを抱えた者は山に登るのがいい。オレもつねづね山は憎しみを吸い取ってくれると思っていた」
みんなでワイワイガヤガヤ楽しくしゃべりしているとわたしは遠くに見える黒い点に気づいた。
ものすごい速さでこちらに近づいてきてる。
黒い点に意識を集中する。あれは・・・
「クマぴょん!」
「呼んだか?」
「違う!クマが出たぴょん!」
「なにーっ!?」
「まじかよ」
「やっば」
「走ってきてる!」
「わかった。みんな教えた通りその場を動くな」
クマちゃんの指示通りみんな石のように固まった。
クマちゃんはリュックを下ろしてゴソゴソしてる。
黒い獣が牙を剥き出して唸り声をあげて接近してきた。
巨大なツキノワグマだ!
エサがなくて冬眠できなかったのかな。
空腹だからわたしたちはエサとして認識されてる。
「お互いクマ同士話し合おう」
クマちゃんは熊に向けてポイっと何かを投げつける。
ヘビのおもちゃだ。
たしか本物の蛇の匂いもつけてるって言ってた。
眼前に落ちたへびのおもちゃに驚いた熊が立ち上がり一瞬ひるんだ。
クマちゃんは俊敏な動きで熊に突進した。
簡単に熊に押し倒される。
そりゃそうだ。
熊はクマちゃんの頭にかじりつく。
と思いきや、跳ねるように後退した。
クマちゃんはナイフでザクザクとしたから熊を突きさしていた。
最初に突進した時も正確に心臓付近を突き刺しているのを目撃した。
クマちゃんは立ち上がり熊と対峙する。
にらみあう2匹のクマの迫力がすごい。
熊は乱暴に腕をぶん回す。鋭い爪がキラリと光った。
あれを喰らった人間なんてイチコロだ。
クマちゃんは俊敏なフットワークでかわす。
熊は暴れ狂いクマちゃんは踊るようにかわし続ける。
突然、死闘が終わりを告げた。
ツキノワグマはどどっと雪の上に倒れ伏す。
じつはクマちゃんのナイフにはたっぷりトリカブトが塗られていた。
獅子牙岳で熊の目撃情報があったから万が一のために準備していたのだ。
「もう大丈夫だ」
クマちゃんはみんなを振り返る。
「めっちゃかっこいいぴょん!」
「ほんと頼りになるぜクマちゃんは」
「ほれてまうやろーだね♩」
わたしたちはクマちゃんを讃える。
「米国にヒグマを飼ってる友人がいてな。すもうを何度もとった。その経験が生きたな」
クマちゃんは鼻をこする。
金太郎みたいなエピソードだな。野生児すぎる。
「ウサミがはやく見つけてくれたおかげで対処が楽だった。いい目をしてる」
「へへへ。照れるぴょん」
あたしは頭をかく。
「さあ、先をいそごう♩」
サルちゃんは拳を振り上げる。
熊と遭遇したばかりとは思えない冷静さ。
ここで引き返してもおかしくないぐらいのトラブルだと思うけどね。
熊に1秒だけ祈りを捧げて登山を再開する。
歩き出してすぐにわたし耳が異変に気づく。
雪の斜面の上方を見るとわずかに雪がずれる。
わたしはくるりとむきを変えて一目散に逃げ出した。
「なだれぴょん!」
大声で叫ぶ。
後ろを振り返らずぴょんぴょん走る。
逃げ足だけは自信がある。
すぐにザザーーーーッという轟音が千尋の谷に響き渡った。
立ち止まって振り返ると後ろは真っ白な雪に覆われていた。
白い煙が巻き上がってる。
粉雪だ。
3人の姿はない。
わたしはすぐさまリュックからビーコンを取り出す。
ビーコンとは雪崩に巻き込まれて雪中に埋没した人を捜索・救助するための「457kHz」の微弱電波を利用した送受信機だよ。
行動中は「送信モード」で位置を発信し、万が一の際は「受信モード」に切り替えて埋没者を探す。雪山必携の命綱となるアイテムだ。
わたしはビーコンの反応を手がかりにショベルでザックザック雪を掘り進める。
雪崩は埋没した深さが浅くても死ぬ危険性が非常に高い。
雪崩の死因の多くは「窒息」であり、深さよりも「15分以内」という時間の経過が生存率を急激に下げる。
時間との戦いだ。
1メートルほど掘ってみどりの布地を発見した。
クマちゃんだ!
わたしは穴を広げてクマちゃんを救い上げた。
「むむ・・・助かったぞ。ウサミ」
「どういたしましてぴょん」
「サルとウマオを探すぞ」
「押忍ぴょん!」
クマちゃんと2人で埋没者の捜索を開始する。
すぐに2人を救い上げるミッションを達成した。
かかった時間はちょうど15分ぐらいだ。
「ウサミちゃんは命の恩人だね。ありがとう」
「サンキューベイビー」
「こんなの朝飯前ぴょん」
わたしは鼻を高くする。
「再び雪崩が来る前に先を急ぐぞ」
わたしたちは何事もなかったかのように再び歩き出した。
のっけからツキノワグマと雪崩に遭遇するなんて生きて帰れる気がしない。
サルちゃんとクマちゃんに言われて遺書を書き残してきてよかった。
死線に2度も近づいたから精神力と体力の消耗はハンパない。
落ち着くとどっとつかれる。
春から冬まで地獄の特訓してたから平気なだけで常人なら体力ゲージはゼロに近いよきっと。
まだ胸がドキドキしてる。
生きてるって感じだ。
これがギリギリの登山か。
サルちゃんとクマちゃんが味わいたかった世界だね。
2人は雪山に入ってからアドレナリンでまくってる感じだ。
「ね?ウサミちゃんがいて良かったでしょ?」
「慧眼だな」
サルちゃんとクマちゃんはニコニコ笑いあってる。
今気づいた。
サルちゃんがわたしを欲したのは危険察知能力に優れてるからだったのか!
なんとなくそんな気がしてた。
供養うんぬんは口実だったわけね。
人を乗せるのがうますぎ晋作。これは高杉晋作をもじったダジャレね。
まあいいけど。
わたしはみんなからお礼にもらったビーフジャーキーをかみかみしながら雪の草原を歩く。
雲の上を歩いてるみたいで楽しい。
晴天だからピクニックみたいだ。
吹雪が来ませんように!と心の中で祈った。
参考文献 温泉泊の余裕の訓練、なぜ全滅に…八甲田山雪中行軍1902年【地形図とアニメで解説】youtube




