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潜入・花街のねーちゃん 3

「……」

 少し開いた口から見える金貨の輝き。そしてその重量で総金額が予想できたマネージャー。

「……御贔屓いただいている特務部様からのご紹介でしたら……」

 顔色こそ変えなかったが、鼻息が少し乱れたのを平蔵の耳は逃さなかった。脳裏の片隅でほくそ笑む平蔵。

「承知いたしました。早速、席をご用意いたしますので、こちらのサロンにてお待ちいただけますでしょうか?」

 マネージャーはボーイに合図し、扉を開かせた。

「ありがとうございます。では武官殿、従卒殿こちらへ」

 光一とジュドを招き、入店を促す平蔵。光一・ジュドはぎこちなく、戸惑いながらも中へ。

「では、お願い致します」

「ご一緒なさらないので?」

「こういったご接待は私どもが見聞しない方が、と副部長にも言われておりまして。ですからこそ、安心してお任せできる貴店にと……」

 そう言いながら平蔵は金貨を一枚、マネージャーに握らせた。

「わかりました。当店一同、誠心誠意お持て成しさせていただきます」

「よしなに。では……」

 平蔵は一礼後に踵を返し、ボーイのポケットにも大銀貨一枚を滑らせてその場を後にした。



 案内されたサロンで、しばし軽い酒とオードブルを頂く光一とジュド。

 正直なところ光一は、ネット等で漁った風俗情報の記憶を思いっきり弄っていた。が、この状況はその、どれにもヒット出来なかった。

 18歳認証でウソこいて覗いた風俗のネタなぞ、どんな人がお相手してくれるのか? 料金相場はいくらくらいなのか? どんなプレイが出来るか? オーラル? マット? 潜望鏡ってなんぞ? てなもんだ。 

 その辺あたりを中心に、嬢の画像などを見て、掌で眼を隠した嬢の素顔を想像し、そのスタイルが画像補正無しと期待しながら妄想を膨らませていた程度に過ぎない。場所とか店舗、現場の部屋の状況、入店から行為までの流れなどの情報もあったはずなのだが、ほとんど覚えていない。

 まあ覚えていても、このような政府高官御用達、富裕層が利用するクラスでは場所も内情もマッチしなかっただろう。現代日本にこういう店舗があったにしても、それは概ね暗黙の会員制みたいなもので、一見さんお断りの上級国民だけで成り立つ界隈だ。


 幾許かの不慣れで落ち着かない時間が過ぎた。やがて、

「お待たせいたしました」

2人の前にちょいと年配の女性が静々と現れた。

「これよりご案内させて頂きます。どうぞこちらへ」

 眼尻、口元、声質。その辺りからして歳の頃は40代中盤といったところであろうか?  

 ――お、おふくろと同世代……だよな?

 信じられなかった。光一にとって40代女性とは、如何ほどキレイであっても所詮は母親レベルのおばさんであるはずだった。

 髪を後ろに纏め、黒を基調とした衣装――タイトワンピースぽい服はそれほど煌びやかでは無く、模様・装飾は体のラインをわざと強調しないようにしているのでは? と思いたくなる程、さり気無い。

 だが、ちょっと注視すると胸や臀部は極めて豊満であり、腰の括れもしっかりと維持されている。故に、装飾でデバフを掛けているのではないか? と考えてしまったのだ。この後、宛がわれるであろう遊女より出過ぎないために。

 40代ではあるが、例えば20代くらいに若く見える――とか、そんな事ではない。明らかに40代だと分かる。

 だが、今までの40代女性の概念が、山の向こうの三千里彼方までブッ飛んでしまうくらいの印象。

 兎にも角にも、とっくに身体のラインが崩れ始めていた母親や伯母たちとは、正 に 次元が違う。もう溜め息しか出て来ない!

 ――同じ熟女カテに入れていいの、か?

「お足もとに、お気を付けください」

 半ば心あらずな状態の光一。そのまま階段に導かれ、上階へと昇って行った。



 そして案内された部屋。扉の前では娼妓の付き人であろうエミリーと同年代くらいの少女が深くお辞儀をしながら光一を迎えた。

「どうぞ……」

 光一は少女に促されるまま、部屋の中に入った。

 そこには、これから光一を持て成す遊女が彼を待ち受けていた。

 そう、そこで光一は案内役(遣り手)の年配女性を上回る衝撃――溜め息すら忘れてしまうほどの美を体験する事になったのだ。

「今宵お務めさせて頂きます、名をシーナと申します。宜しく、お見知りおきを……」

 名乗り終えた後、卒なく、さりげなく手招きするシーナと名乗る女性。部屋の奥へと、光一を促す。

 だが、その光一は身体が動かなかった。と言うか動けなかった。

 ――こんな……こんな女性が存在するのか……

 遣り手と同じ、スリムなワンピース姿ではあるが若干、裾が高くてその辺が若さを主張していると言えようか? しかし遣り手と違ってその妖艶なボディラインはくっきりと表されている。

 胸は一見して「でかっ!」と思えるものの、これでもかっと言うほどのいわゆる爆乳では無い。張りのいい形とも相まって絶妙な存在感、これ以上大きければ「デカ過ぎない?」と引いてしまう、小さければ「あともう一息!」と奥歯を擦ってしまう、そこのところをクリアしてこれ以上は何を足しても、何を引いてもブチ壊しになるのでは? と、それほどの完成度なのだ。

 光一はおっぱい派である。女性と性的な交渉をする時は、まずはおっぱいを愛でたいと常日頃から思っている男の子である。

 しかし思い知らされる。

 彼女――シーナは、お胸は先述の通り。だがその他、(すが)って来られれば速攻抱きとめたくなるような華奢ながらも逆に自分が縋りたくなってしまいそうな腰。

 M属性など自覚した事は無いが、なぜか「敷かれたいかも?」と思ってしまうジャストな大きさと柔らかさを感じる丸みを誇る臀部。膝上までのスリットから覗く、踏まれたとしても何の文句も出て来る事は無さそうな、寧ろご褒美と思ってしまいそうな、しなやかな脚。

 自分を招く腕や手の平の動き、指の動きなどは、まるで「この腕を這わされたら? この指で、この動きで我が身をまさぐられたら?」と言う妄想を掻き立てられてしまうほど。

 目線は暖かく、やわらかでありながらも、どこか自分に甘えて来るようなお誘いビームに溢れ、口元は男の魂を丸ごと吸い込むがごとき妖しさに満ち溢れていた。

「さ、こちらへ」

 改めて光一を招くシーナ。そして見せる後ろ姿に光一は、

 ――ふぉ!

 と息を飲む。

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