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冒険者になりたくて 4

「ご、ごまかすとかそう言うつもりは無いんです! でも確かに、我がギルドとしてもウチで引き受け辛い仕事を請けてくれる所が欲しかったのはその通りです。依頼を受けられなかった分は、ギルドの評判低下に直結しますので……」

「かと言って、赤字が分かっている仕事には、そうそう構っていられないと?」

「ま、まあ、そんな感じで……」

「要するにあたしたちを(てい)よく利用しようと?」

「そ、そう言われますとぉ~」

「なんの、思惑も無しに……こんな、いろいろな世話焼き……不自然……」

 シオンさん、冷汗さらに倍!

「で、でも、過去にも皆さんのようなパーティは有りまして。ウチ以外の他のギルドでもそれは同じくでして~。そ、それでも実績を積んで正規のギルドメンバーに昇格、と言う事例もいくつか!」

「まあ、いいじゃん。それで行こうぜ?」

 焦るシオンを気遣うわけでも無いが、光一は腹を決めた。

「今のおれたちはギルドには入れない、新規ギルドも作れない、ロクな就職口も無いワケで、フリーランスで始めるのが結局は最適のようだしさ。シオンさんの言い方からすれば、ギルド通して仕事も回してもらえそうだし? ね?」

「あ、はい! その辺りはもちろん!」

「確かに贅沢言える立場じゃ無いからねぇ……まあ、いいかぁ。どうだい? みんな」

 平蔵も腹を括ったようだ。とりあえず、他の者にも最終的に意見を聞いてみる。

「俺も、それでいいっすよ。俺、働くなんて久しぶりだからとにかく勝手が分からないし、お膳立て済んでた方が良いっす」

「え? おじさん無職? ニート?」

「高卒で就職はしたんだけど、二十歳の時に事故で両親が死んじゃって、そのショックで……で、保険と遺産があったもんで働く気が無くなっちゃって、そのままズルズルと……」

「え~、大丈夫ぅ~? 頼り無いなぁ。真鈴ちゃんはいいの? これで?」

「……是非も無し……他に、何も……妙案とか、も……無い、し……」

「北川は不満、あるんかな?」

「え? う、うん。なんか流されてるって言うか~、ハメられたって感じで釈然としないって言うかぁ~」

「他に案があれば何でも聞くよ、北川くん?」

 平蔵以下、光一ら全員に注目される由美。それはもう、ジトリンコと。

「ちょ! 変にみんな揃って人のこと睨まないでよ! わかったわよ! どうせ何も思いつかないし、上手くいかなきゃまた考えればいいし……あたしも同意!」

「決まりだな」

 平蔵が改めてシオンに目を向けた。



 と、そんな感じで下請けながら自分たちの看板を上げる事になった光一たち一行。

 それで今日もシオンと共に、その拠点となる本部と住屋の物件漁りと相成ったわけだ。

「んじゃ、ここを根城に決めましょうかね。シオンさん? 取り敢えず、ここでお宅んちの下請けから始めさせてもらうよ。その後は……まあ状況次第と言う事で」

「あ、ありがとうございます。では協力パーティと言う(てい)でギルドに登録しますので、パーティ名を決めてください」

「パーティ名? つーと?」

「『黄金の獅子』とか、『神速の翼』とか?」

「『白夜戦隊』とか、『蒼き聖剣』、なんて感じっすか?」

「何それ? 口に出すのも恥ずかしいんですけど?」

「中二病……満開……」

「まあ、ラノベやゲームに出て来そうだねぇ、そういうの。肉弾戦が得意なチームや魔法が主力のパーティとか? 自分達の戦法(スタイル)や得手分野を彷彿とさせるような? ねえ、シオンさん? うちに回って来そうな仕事って例えばどんなのがあるのかな?」

「は、はい。正直に言わせていただくと、熟練冒険者が受けるほどでは無い、そんな仕事ですんで、その……人探しとか、物探しとか……特定人物の素行調査とか……」

「なんじゃ、そら?」

「稀に、配偶者の浮気調査とかも請われたりするのですが……」

「はあ? なによ、それ~?」 

「確かに魔獣や魔物を相手にするような冒険者がやることじゃ……な、い……」

 由美も光一も、ガルムが言っていた魔獣討伐等のライト版と言うか縮小版みたいな依頼を想像していただけに、予想からコロッと違える内容に眉を顰めるも……

「そう言うのって、むしろ……」

とある職種が光一たちの脳裏を過った。

「シオンさん? それらの他に、例えば窃盗犯の洗い出しみたいな、犯罪がらみの調査とか、そんな依頼は?」

「は、はあ。それらは王都府の城下警衛隊が行うんですが、彼らに不信感を持っている、若しくは下された沙汰に納得のいかない人が真相を突き止めてくれ、なんて言うのも……ホント、冒険者がやる事じゃ……」

「探偵……だな」

「だよね。まるっきり探偵の仕事とダブるわ」

「探偵事務所とか探偵局とかっすか? まあ、現実の探偵なんて映画みたいに警察と組んで推理して難事件の解決を……なんて無いっすもんね。実質、何でも屋と言うか便利屋みたいなもん、て聞いた事も有るし言い得て妙っすね」

「タ、タンテイ? 皆さんの世界の職種(ジョブ)ですか?」

「んじゃ、パーティ名は後藤探偵事務所でいいのかな?」

「え? 東くん、ちょっと待ってよ! 何で僕の名前!?」

「やっぱ年長の後藤さんが所長でしょうよ?」

「えええ! いや、名前使うのはやっぱ恥ずかしいよ!」

「アーリウム……」

「ん?」

「何? 真鈴ちゃん?」

「……アーリウム……ラテン語、だった、かな? ……異質、異界、のように……使われる……みたいな?」

「ラテン語ぉ? 真鈴ちゃん、そんなの知ってんのぉ~?」

「本で……その言葉だけ……聞きかじった……そんだけ……」

「異世界探偵……異世界人(アーリウム)探偵事務所か。悪くねぇか」

「あたしとしちゃ、まあ正直名前なんかどうでもいいけどね~。うん、別に文句ないわよ~?」

「異議なしっす」

「OK、じゃあそれで行こうか。シオンさん、パーティ名は『アーリウム探偵事務所』でお願いしますよ」

 こうして、光一たちの探偵としての異世界生活が本格的に幕を開ける事になったのだ。

 とは言え、

――五里霧中ってレベルじゃ無ぇな~

かくも不安の塊なスタートであった。


         ♦


 で、話は冒頭の狐っ子の依頼に戻るワケである。

「話には聞いた事が有りますが、トリアーノ王室は異世界召喚などという荒技を……」

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