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第三十六話 とあるダンジョンの攻略

 王都の北部にある山がみえてきた。山を見て凝視するとズームされる。何だかテントが多く見えるところがあるあたりが入り口のようだ。入り口とは少し離れた場所に着地して歩きながら、準備をする。まずはステータス確認。


◇ ◇ ◇

Lv256 HP2560/MP2560

強さ:1190 守り:100 器用さ:1200 賢さ:270 魔法耐性:300 魔法威力:500 

ボーナス:0

◇ ◇ ◇


 飛行速度を優先していて器用さに振りすぎているので、”強さ”、”守り”を多めに数値を設定する


◇ ◇ ◇

Lv256 HP2560/MP2560

強さ:1190 守り:1000 器用さ:300 賢さ:270 魔法耐性:300 魔法威力:500 

ボーナス:0

◇ ◇ ◇


 入り口に到着。見上げるほど大きく立派な門構えだ。周りには露店なども出ていて縁日並みに賑わっている。


 今回の探索はマッピングや宝物が目当てではない。この世界に来て初めて正面からダンジョンに挑み、モンスターを倒して経験を積みながら最短ルートでの攻略を目指す。王との謁見には帰らないといけないので明日の夕方には切り上げて戻る予定だ。


 第一層に入りフロアいっぱいに領域テリトリーを広げ、二層へと続く地下への階段を探す。広大なダンジョンではあるが迷うことなく最短ルートで進むことが可能だ。


 敵は常に領域テリトリーで確認しつつ、剣と圧縮火炎球マグマボールで倒して進む。


 二層への階段にたどり着くまで、およそ五分かかったがまあこんなものだろう。


 同じく二層全域に領域テリトリーを広げ、三層への階段を見つけ、ルートを確認して移動を開始する。わっせわっせと走りながら進行方向にいる敵はすべて瞬殺だ。こちらに反応していないモンスターはスルーだ。もっと早く進まなければ百五十層に到達するまでに相当時間がかかってしまう。


 一層につき五分でも百五十層となれば七百五十分、時間に換算すると十二時間三十分。休みなく走り続けたとしても半日かかってしまう。


 十層までに出てくる敵はゴブリン、スコーピオン、ゴーレム、オーク、ミノタウロス、ゾンビ、スケルトンなど多種多様だ。倒した敵は数秒後に消えてしまう。


 この現象はカムラドネの悪魔の塔でも同じで魂を取り込んで、ダンジョンを大きくしているのだろう。倒された冒険者たちの魂も少し奪われて、教会に戻るはずだ。


 五十層まで進み、敵も徐々に強くなっているようだが、俺にとっては大差がない、すべて一瞬で屠ってきた。この辺でいったん休憩にする。アイテムボックスから椅子、机、食料と飲み物を出し、領域テリトリーであたりを警戒しながら、レイラへ連絡をする。


「もしもーし」


「はいはーい。アキト、お疲れさま。そろそろ晩御飯の時間だけどどうするの?」


「今、王都の北部にあるダンジョンに潜ってるんだけど、丸一日はかかるから今日は帰れそうにないな」


「何層あるの?」


「え、わかんない」


「じゃ、じゃあ今何層目にいるの?」


「五十層目」


「この短時間にさらっとそんな深い階層まで到達できるなんて、私の旦那様は本当に強い人ね」


「一応探索限界は百五十層ってことになっているけど、明日の夕方には帰りたいと思ってるから、攻略できなかったら、戻ることにするよ」


「うん」


「まあ、適当にゆっくりしていてくれ。ダンジョン内にいると時間の感覚が分からないから、朝になったら連絡してほしい」


「りょうかーい」


 汗もかなりかいていたのでシャツを交換する。全速力で走って進んでいるが、強化されたこの体は疲れを知らない。


 ……いや、待てよ、走る必要ないじゃないか。スタイルを変えよう。


 箱魔法をスケボーくらいの大きさで展開し両足を乗せる。前世ではスケボーなんてしたことなかったが、すぐに順応できたので少しずつ速度を上げていく。


 敵への攻撃は極私的絶対王国マイキングダムを使う。ルートの把握をしつつ、敵の存在を感知したら、命を奪う……。


 ”絶命”と頭の中で思うだけで絶命させてしまう。自分のことでもあるのだが、あまりのチートぶりに言葉がない。


 しばらくするとスケボースタイルにも随分と慣れてきた。剣も使わなくなってアイテムボックスにしまい、両手をあけた。スピードが出すぎていて曲がり切れなかったときは、壁の側面や天井を走る。もちろん重力が働くが、手の平にも箱魔法を展開して体を支えつつ、速度を落とさずに進むことができる。ステータスと身体能力が高いためできる技でアクロバティックで面白い。


 ひたすら突き進む。遭遇する冒険者たちには、挨拶などの言葉はかけていない。そのため何度か切りつけられたり、魔法での攻撃をしてこようとするが、極私的絶対王国マイキングダムで相手の動きを止めて、高速で走り去る。


 すれ違いざまに分析能力で冒険者たちのレベルを見ていく。階層がに進むにつれて、出会う冒険者たちのレベルも当然のように高くなってくる。


 百層あたりで冒険者と出会ったのが最後だったが、彼らのレベルは軒並み九十以上と高く、猛者ぞろいだった。大型モンスターと戦っている最中だったが、下り階段とは違う向きだったので、そのまま後ろを通り過ぎた。


 試行錯誤を繰り返しながらようやく百二十層まで到達し、少し広いところで仮眠をとることにした。モンスターとの遭遇も多くなってきたので周囲を極私的絶対王国マイキングダムで把握してから”絶命”と命じて殲滅する。


 続いて自動魔法継続指輪で六畳くらいの対魔法、対物理攻撃の硬化箱魔法を展開して野営の準備に入る。ベッドに腰かけて、軽く食事をとってから眠りについた。



 レイラの呼びかけで目が覚める。短い時間だったがよく眠れたようで体が軽い。


 ”新しい機能が追加されました。電卓機能”


 ログ表示に昨日願った電卓機能が追加されたことが通知されている。よしよし、これで難しい計算にも対応できる。


 ふと、今の状況を客観的に見て、俺の想像していたダンジョン攻略ってこんなのだったっけ?と、不思議な気持ちになった。


 もっとこう仲間と一緒に苦労し、助け合いながら幾度となく死線を乗り越えて……みたいなのを想像していたが、よくよく考えると、それは物語の中の話であって、話を盛り上げるためだけの仕掛けだ。実際はモンスターと戦うことは危険なことだし、嫁、嫁候補たちにそんなことはさせたくない。


 やっぱり俺は人に話をしても面白くなく、まったくドキドキもしない圧倒的強さと理不尽なくらいの無敵さを一人で求めていこう。楽して強くなって、この世界を自由に生きる。それで十分だ。


 仲間と苦労を分かち合うこともいいのかもしれないが、今の俺には一人で全てを解決できるだけの圧倒的な力が欲しい。などと俺自身の強さに対しての素直な欲望を確認したところで百五十層に到達した。


さあ、ここが冒険者到達最終層だ。


 大型、高レベルモンスターとの遭遇が減ったように思う。俺にとっては相変わらず、”絶命”と命じることで倒せてはいるが、強いモンスターになるとMP消費量が多い。それでも一分でMPは”強さ”数値分増え、すぐに満タンになるのであまり気にはならない。


 あとどのくらいの階層があるんだろうか……。


 これまで倒したモンスターでレベルがさらに38上がっている。


◇ ◇ ◇

Lv294 HP2940/MP2940

強さ:1190 守り:1000 器用さ:300 賢さ:270 魔法耐性:300 魔法威力:500 

ボーナス:380

◇ ◇ ◇


 なんとなくポイントを振り分ける。


◇ ◇ ◇

Lv294 HP2940/MP2940

強さ:1100 守り:1000 器用さ:500 賢さ:400 魔法耐性:400 魔法威力:540 

ボーナス:0

◇ ◇ ◇


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