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達成率999%のゲームに転生した俺の選択が、シナリオを崩壊させていく 〜攻略者の因果律〜  作者: 波動犬
外れた道

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第24話 死人の集会所

なぜかスルギにドン引きされたが、普通の店を二、三軒のぞきつつ、死人の集会所を探してみることにした。

 

「確か……スラムっぽいところにあったからこっちかな……」

 

人気のないエリアにどんどんと入っていく。

 

「なんか怖いぃ……こっちで合ってるの?」

 

「わかんないけど、もし死人の集会所があるなら、絶対行ったほうがいいと思うんだよね……」

 

「ヒッヒィィィイイイイ」

 

ルアが突如先を指さして悲鳴を上げた。

 

指した先を見ると、建物と建物の間の薄暗闇に、ぼうっとした白い顔が浮き上がっていた。

 

「あ、ゼロだ」

 

「ヴェエエェェ……」

 

白い顔は表情など何も変わらないが、鈍い鳴き声を出した。

 

「ヒィィィイイイ、なに、なんなの!」

 

「ゼロがいるから、あそこが死人の集会所だよ。でも、どうやって入るんだろう」

 

「バァ」

 

「ギャアアアアアアアアアア」

 

ルアが大声で叫び、振り向きざまに右ストレートを入れた。

 

「グゥフ……」

 

まともに顔面に食らった白髪の少年は、そのまま倒れ込んだ。

 

「な、何こいつ……」

 

「その人が死人の集会所のオーナーだと思うよ……」

 

「殴らなくてもいいじゃないか……久々に若い人がいるからと思って、少し驚かせただけなのに……

珍しいけどお店に用かい? よく見つけられたね。

それに君、どこかで会ったことがあるかな?」

 

「いや、会うのは初めてだけど、『遺品師センテ』の噂を聞いたことがあって、品物は見られるか?」

 

(……ゲームで知っている、なんて言えるわけがない)

 

「へえ、珍しいこともあるね。もちろん見れるよ、『合うもの』があればね」

 

そういうと、持っていたカバンを開けると、カバンの数倍は大きい扉を出した。

 

「マジックバッグなんだよ、倉庫サイズの。ここがお店。ほら、どうぞ」

 

ルアが怖がって入りたがらなかったが、置いていかれるのも怖いということで、一緒に中に入った。

 

*

 

一歩入って、リツは息を呑んだ。

どこまで続いているのか分からない棚に、武器が並んでいる。

 

剣も、槍も、杖も、盾も、種類はばらばらだ。

どれも古びてはいるが、きちんと手入れがされている。

刃こぼれを研ぎ直した跡。柄を巻き直した跡。

 

つまり、ここに並んでいる一本一本に、持ち主がいたということだ。

そして、その全員が、もう生きていない。

 

ゲームでは、店の品揃えは、ただのリストでしかなかった。

名前と数値が並んでいて、下へスクロールすれば、それで全部だった。

だが、今、目の前にあるのは、その一行一行が現物として並べられた光景だった。

 

「ようこそ、死人の集会所(デスパレード)へ」

 

センテが、にっこりと笑った。

 

「うわ、広っ……! なにこれ、外のカバンより、ぜんぜん大きいじゃない」

 

想定外の光景に、警戒しきって最後に入ってきたルアが、それも忘れて声を上げる。

 

「あの辺りの地区は子供が歩いていると怖いだろう? あ、念のため言っておくけど」

 

センテが、こちらを振り返った。

 

「うちの店では、嘘はつかないほうがいいから、気をつけてね」

 

「え……なんで?」

 

「そこの人が、知ってて来たんじゃないの?」

 

少し驚いた様子で、リツに目を向ける。

 

「うちの店は、探索者の遺品を中心に扱う店だよ」

 

「えっ、遺品って……ってことは、呪いがつくんじゃ……?」

 

ルアが、青ざめて声を上げる。

 

「……うーん、ちゃんと説明しようか」

 

棚にもたれ、センテが語り出した。

 

「そう。だから普通、遺品は神聖教会に持ち込まれる。解呪されて、そのまま処分。それが、まっとうな末路さ。

——でも、もったいないと思わない? 探索者が命がけで握っていた品だよ。

性能は、その辺の市場に並ぶものとは桁が違うものだってある。それなのに、それを、ただ砕いて捨てる」

 

手のひらで、壁一面の棚を示す。

 

「僕は、そういう遺品を見つけて収集しているんだ。

死体漁りだの遺品師だの言われてるんだけど。まあ、ただのソロで潜れる道具師ってことだね」

 

その目が、棚の奥へと流れた。

 

「拾ってきて、解呪して、次の持ち主に渡す。

だから——まともな店じゃお目にかかれない業物も並んでいたりする。

そのぶん、店じゅう呪い物だらけってことでもある。だから、嘘をついちゃいけない」

 

今度はルアに向き直り、言葉を継いだ。

 

「嘘は、人の弱みだからね。

嘘をつくと、呪いが反応して、遺品の側から見初められてしまう。

そして、弱みを握られて、呪われる。……気をつけてね」

 

「……っ!!」

 

ルアが、両手で口を押さえた。

これ以上うっかり喋ったら呪われる、と思ったのだろう。

何か言いたげに口をパクパクさせながら、必死で声を呑み込んでいる。

 

スルギが、店の奥にいる、さっきの白い顔を指さした。

 

「これは、なんなんだ?」

 

「ゼロは精霊だよ」

 

こともなげな答えだった。

 

「代償を渡すと解呪してくれる。

買い上げて、その場で解呪までできるのが、この死人の集会所の特徴ってわけさ」

 

「せ、精霊……? 本当に、いるんだ……」

 

口にした直後、ルアが、はっと口を押さえた。

喋らないと決めたそばから、つい声を出してしまったらしい。

だが、精霊は超希少種だ。声を漏らしてしまうのも、無理はない。

 

「で、予算はいくらなの? もう一度言うけど、嘘はつかないようにね」



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