出会い
長かった集会も終わり、とうとうクラス発表が始まった。
「…えぇっと…俺の名前は…」
片っ端からクラス表に目を通すが、どこにも俺の名前はない。
あたりに目を配ると、既にさくらと広美はクラスがわかったようで、その列にいた。
どうやら、しばらくすると2人の元に麻奈も来る。
3人とも同じクラスのようだ…。
「俺はどうなるんだろな〜…」
そんなことを呟きながら、歩いていると、誰かとぶつかった。
「うわっ」「キャッ!」
ぶつかると同時に、相手の声が聞こえた。
この高めの声…女子かな?
俺は立ち上がると、倒れた女の子に近づく。
「ごめん…大丈夫かい?」
手を差し伸べながら、そういうと、女の子は顔を上げた。
小柄な体格、腰まで伸びた、綺麗な金髪、暗闇の中でも明るく輝きそうな金色の目…
顔立ちも整っており、正直誰もが可愛い…と思うだろう。
しかし、見たことがないな…今年から入った子かな。
「ほら…立ち上がれって」
そういいながら、手をもう一度差し伸べるが、女の子はその手を振り払う。
「…ワタシは、ダイジョウブデス…」
女の子は、優雅に立ち上がると、制服についたゴミを叩く。
…発音が、ちょっとおかしかったけど…外人かな?
「えぇっと…大丈夫ならよかったよ。もしかして、今年から入った子?」
俺がそう問いかけると、女の子は頭にはてなを浮かべるかのように、キョトンと言う顔をしている。
…難しすぎたかな。
「あの…もしかして、外人さん…かな?」
一応、思っていたことを問いかけてみる。
今度は、ゆっくりと、相手がわかるように。
「イギリスからキマシタ、チェルシー=グランム=ウェア=ルイン、デス」
随分と長ったらしい名前だな…
「えぇっと…俺は、藤原涼だよ。よろしくな」
手を伸ばすと、チェルシーは俺の手を握り返してくれる。
「よろしくね、えぇっと…チェルシー」
最初から、呼び捨ては失礼かなと思ったけど…
「ハイ、よろしくデス、涼♪」
満面の笑みでそう言ってくれた。
チェルシーと挨拶を交わし、お互い別れて自分の名前を探しに行った。
そして、2組の表を見ていると…
「あった…」
やっと自分の名前を見つけた。
正直な話、結構探すのに時間がかかった。
ほとんどは、チェルシーとの時間だったが。
俺は急いで、2組の列に行く…
すると、クラスのその集まりの中には見知った顔があった。
「おーい、天音、潤一!」
俺はそう呼ぶと、2人はこっちを向く。
「おう、涼だ。やっときたか」
「涼く〜ん、こっちだよ〜」
2人が手を振る。
俺は駆け足で2人に近づく。
「なんだ、お前らも同じクラスなのか。よかった…」
広美たちとは別のクラスであることが判明して、もしも俺だけ…
なんてことがあったら、さすがに嫌だからな。
「何言ってんだよ、表をよく見なかったのか?」
「仕方ないだろ…自分の名前探すので精一杯で…」
苦笑しながら潤一に言うと、天音が声をかけてきた。
「ねぇ、あの子…別の学校から来たのかな?」
俺の袖をひっぱりながら、ほかの人を見ている。
天音の目線の先には、数人のボディガードらしき数名の人に囲まれた少女。
しかし、俺はその子に見覚えがあった。
「あっ、チェルシーじゃんか」
俺は少女の名を口に出す。
「知りあいなの?」
俺の顔をうかがいながら、天音が問いかけてくる。
「おぉ、涼にも春が…」
ふざけた調子で潤一が俺に言う。
「別にそんなんじゃないって。ただ、さっき知り合ったばっかりでね。留学生ってやつっぽい」
天音と潤一にそう説明すると、天音は納得そうに、そして潤一は少しガッカリしたような顔をした。
「あんな可愛い子を野放しにするだと?男としてそれでいいのか、涼!」
顔をグイっと近づけて問いかける。
…顔近いんだよ。
その潤一の顔を少し離すと
「別にそういう関係じゃないし、俺だってそんなチェルシーのことはまだそんなに知らないし…」
それでも潤一は不満足そうに
「それでもだ、ナンパのし甲斐はあるだろ…あんな可愛い子を…よし、ここは俺が」
そういうと、潤一はチェルシーに近づいていく。
「あっ、おい…待てって」
止めようとするも、もう遅い。
チェルシー話しかけようとする潤一に、数名の男女が気づく。
ボディガードらしき人物たちは、チェルシーの盾になるような隊形になる。
「あら…えぇっと…」
当然のごとく、潤一は驚いている。
「お嬢様に何か用でも?」
少しごつい男性が一人、潤一に言う。
「えっ…い、いやぁ…その…」
完全に焦ってる…
「はぁ…ちょっと行って来るよ。」
そう天音に告げると、俺は潤一たちの所に向かう。
少し近づくと、チェルシーが俺に気づく。
「あっ、リョウ〜」
大きく俺に手を振ってくれるチェルシー。
俺もそれに、小さく手を振って返事を返す。
「お嬢様、あの男は…」
チェルシーのすぐそばに居た女性が囁く。
「リョウ♪トモダチ♪」
微笑みながら、女性に俺のことを説明してくれる。
トモダチ…なんて、出会って間もないのにそういわれると、ちょっと嬉しい。
「えぇっと…そいつ、俺の友人で…どうも、迷惑をかけてスミマセン」
潤一を起こすと、ボディガードに謝る。
そして、今度はボディガードたちの間からチェルシーがヒョコリと顔を出す。
「リョウ、クラスはドコ?」
愛嬌たっぷりの笑顔で俺に問いかける。
「俺は2組だよ。そういうチェルシーは、どうなんだ?」
自分のクラスを言うと、俺からも相手に問いかける。
「私も同じ、2組ダヨ♪」
まだ少しぎこちない日本語を使いながら、俺に教えてくれる。
「…お嬢様、そろそろお時間のようですので…行きましょう」
先ほど、俺のことを聞いていた女性がチェルシーを引き連れて、2組の列に向かう。
「リョウ、マタ後でネ」
そういうと、女性をと一緒に行ってしまった。
まぁ、どうせ俺も同じクラスなんだし、戻ればまたすぐ会える…
「そういえば、さっきの人、お嬢様って…」
先ほどチェルシーに対してお嬢様と呼んでいた女性は、俺らと同年代だろうか。
俺らと同じ、陵風学園の制服を着ていた。
「あの方は、イギリスの名門貴族、ルイン家の1人娘、チェルシーお嬢様です」
潤一を驚かせた男性は小さくそう呟く。
「…ってことは、本当にお嬢様?!」
「って、気づくの遅くないか?涼…」
潤一に突っ込まれると、男性は優しく笑う。
「はっはっは…お嬢様も、どうやら君のことが気に入ったようだな。あそこまで明るく接するなんて、
そうないよ」
顔に反して、結構物腰が柔らかく、優しい男性。
「あ、私の名前はウォン=ドレーカー。さっきの女性は、側近である、レイチェル=ドレーカー。私の
妹だよ。ちょっとキツイ性格だけど、よろしくね」
とにかく早々と、説明していくウォンさん。
頭の中でゆっくりだけど、整理をしている。
「えぇっと、俺の名前は藤原涼。んで、コイツが山本潤一です。さっきは、ホントごめんなさい」
そういい、ウォンさんにもう一度頭を下げて謝る。
「はは、気にしてないさ。ただし、お嬢様に危害を与えるようなことはないように、気をつけてくれ
よな」
優しい表情を浮かべながら、俺に言ってくれる。
人は見た目にはよらない…よな。
「ほれ、許してくれたんだし、行こうぜ、涼」
俺は頭を上げると、小さく頷いて、クラスの列に戻る。
そして歩きながら後ろを向くと、ウォンさんは優しい笑顔で見送ってくれていた。
お久しぶりの餡子餅です。
小説を書いてやっと2章突入・・・
ちょっと前に、PCのデータが吹き飛んで大変でした。
更新ねペースは相変わらず本当に遅いですが、暖かい目で見守ってほしいです。
今後とも、よろしくお願いします。
・・・チェルシーの性格とか、ちょっとおかしい部分があるような・・・




