白銀の悪夢
「くっ……強い」
傍から見ればゲイルとハリスメネは拮抗した戦いをしているように見えたが、その実押されているのはゲイルの方だった。
(こいつ、全然本気を出していねぇ)
キャットリーダーは支援型のホムンクルス。本来他の隊長機とまともに戦うことすら至難な機体である。
機体の性能差はゲイルの才能と努力によってカバーされ、刹那のスコルピオンリーダーとも互角以上に戦うことができていた。
しかしハリスメネを操縦している人物はゲイルと同等かそれ以上の操縦能力を持っていた。
機体性能で負け、操縦能力が互角以上の相手となんとか戦いになっていたのは、ゲイルが現在進行形で自分の限界を超えていたのはもちろん、相手が全く本気を出していないことが大きかった。
「けど、俺にも譲れねぇもんがある!」
ゲイルはパイロットを守るためのリミッターを解除して通常の数倍の速さでキャットリーダーを動かした。
キャットリーダーが急に動きが変わり、ハリスメネがピクッと一瞬止まる。
その隙を逃さずキャットリーダーのブレードがハリスメネの右肩を捉え傷を与えた。
「ごふっ」
しかし、機体に無理な動きをさせた代償はゲイルの体に大きな負荷を与えて結果、ゲイルは口から血を吐いた。
大きなGがゲイルの内臓を締め付けたのだ。
「ま、まだまだぁ!」
口元に付いた血を拭ってゲイルは操縦桿を握り直した。
先程とは格段に違うキャットリーダーの動きを見てハリスメネも本気を出すかのようにキャットリーダーの動きについてきた。
キャットリーダーが脚部ミサイルを撃つと、ハリスメネはそれを切り捨てその爆発を煙幕代わりに黒い影がハリスメネの後ろを捉えた。
「もらった!」
『やはり、違う』
突然の声にゲイルの気が一瞬それ、ハリスメネはキャットリーダーの間合いの外に行ってしまった。
『あの女ではない。貴様、何者だ』
通信の発信源はハリスメネ。つまりハリスメネのパイロットがゲイルに語りかけてきたということだ。
「お前は……誰だ!」




