リンクスーツ
「あっラシィがやらやれた!」
どうやら戦いに動きがあったようだ。
小隊戦の得意な指揮能力の高いラシィが最初に狙撃されて墜とされた。
アステロイド帯に隠れていたサジタリウスリーダーが宇宙を縦横無尽に走って隊長たちを翻弄する。
「どっちが勝つんだろう」
「宗美隊長だ」
誰が言ったのかもわからないつぶやきに即答するゲイル。
記憶がなくてもそこには確かに己の隊長への信頼があった。
しかし戦いが盛り上がってきたところでに、警報が鳴り響く。
『コンディションレッド。コンディションレッド……』
「ちっ今日はもうないと思って油断してたが予測が外れた。シミュレータを止めるか」
宗美に事態を告げるためマイクを取ろうとした九兵衛の手をゲイルが掴んだ。
「待て」
「なぜだ」
「俺が出る。今の俺とあの人との距離を測りたい」
◇◆◇
「これがリンクスーツか」
そうつぶやくゲイルが着ているものはリンクスーツ。
現在こそ使われていないが、姿勢制御システムが未熟だった昔はリンクスーツと呼ばれるパワードスーツを着て、ホムンクルスと感覚を共有して操縦していた。
リンクスーツはそれぞれのホムンクルスを人間サイズにしたような形状だ。
すなわち、ゲイルのリンクスーツには猫耳のついたのだった。
「男の猫耳って誰得だよ。それに……」
ゲイルのスーツは、胸部に不自然な膨らみがある。
所謂女物だった。
「これから推察するに、ご先祖のキャットは女性か」
それにしてもこれは無いんじゃないかと、まじまじと鏡に映る自分を見るゲイルに九兵衛が通信を入れる。
「早く出撃しろ」
「へーい」
更衣室から格納庫へ向かったゲイルを出迎えたのは、シミュレータでしか乗ったことがなかったキャットリーダー。
「レプリカは実際に乗ったことはあるけど、本物を見たらそれはそれで心に来るものがあるな」
ゲイルはコックピットに乗り、各種スイッチを押して電源をつけてゆく。
すると前方モニターに一人の女性が映る。
『えー、あー、聞こえますか?』
「ご先祖様」
その女性は、髪型と女性的な体つき以外ゲイルにそっくりだった。




