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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
最終話:悪役と結末
66/67

その2・Prepare

[クロノ]

1ヶ月。

短いようでとても長く感じる微妙な長さ。

やってくる依頼は全てメンバーに任せているので暇である。

かといって、余計な怪我はできないから自分が受けるわけにもいかない。

今日もギルドでリミ、リンコの3人が待機しているという状況。

クロノ「なぁ、リミ。」

幽霊に話しかける。

リミはこちらの言葉を理解できるが、リミは言葉を喋れず、また筆談しようにもこの世界の文字は分からないから一方的な会話しかできない。

クロノ「俺がさ、もしあっちの大陸に行ったまんま帰ってこれなかったらさ。寂しい?」

リミはしょぼくれた表情で頷く。

クロノ「もしもの話だって。でもそうなら、ちゃんと戻ってこないとなぁ…」

リンコ「なんだか嫌な予感がします。」

クロノ「リンコ?」

昼食の片付けを終えたリンコが話に入ってくる。

リンコ「クロノさんがそう自信が無いと、すごく不安になってきます。」

クロノ「それはそうなんだけどさ…」

リンコ「戻って来れるんですよね…?」

その自信が無いから、1人で行きたかった。

クロノ「ま、どうにかして戻ってくるさ。なんとかなるでしょ。」

リンコ「………」

暗い雰囲気。

しかし、自分はこの状況を明るくできる手段は持ち合わせていない。

クロノ「俺、ちょっとアウストール行ってくる。いつ帰ってくるかは分からん。」

リンコ「いってらっしゃい。」



アウストールの宿。

例の2人は調子を取り戻し、退院した。

今は宿を借りて来る日を待っている。

クロノ「元気で何よりだな。お二人さん。」

カステロ「はい。私はもう大丈夫です。」

マール「後は戦闘の感覚さえ取り戻せれば完璧、といったところですね。」

心配はないようだ。

クロノ「緊張とか、してない?」

マール「それはもう…しますよ…。」

クロノ「俺も。もうね、心臓が破裂しそう。」

カステロ「私もです…」

沈黙。

クロノ「なぁ。」

マール「はい?」

クロノ「戦闘の感覚取り戻す為にさ、ちょっと戦ってみない?」

マール「クロノさんとですか?」

クロノ「あぁ。」

マール「それは嬉しいです!」

クロノ「王女様は?」

カステロ「私は剣を使うような戦闘は苦手で…魔法なら多少の心得はありますけど。」

クロノ「じゃあついでにやるか?」

カステロ「よろしいのですか?」

クロノ「あぁ。」



宿と海を繋ぐ道の途中の茂みに入った少し奥の所にある広場に向かう。

マール「こんなところあったんですね。」

クロノ「1年くらい昔にここでちょっとだけ修行しててな。」

広場の真ん中に立ち、マールと向き合う。

クロノ「早速だがやるか。まずはマールだな。」

マール「はい!」

マールが剣を抜く。

クロノ「奥義を使ってきても構わんぞ?」

マール「あの…」

クロノ「ん?どした?」

剣を抜いたまま尋ねる。

マール「クロノさんは、どれぐらいの実力なんでしょうか?いえ、クロノさんを疑うわけではないのですが…ちょっと気になって。」

クロノ「うーん…」

自分で言うのもなんだが、結構強い。

クロノ「レギオンって分かる?」

マール「いえ…魔獣というやつでしょうか?」

クロノ「それの一種だと思うんだけどね〜。めちゃくちゃデカくて、人型で、身体中に目があって…」

マール「オーガのことですか?」

土地によって呼称は違うらしい。

クロノ「多分それだ。何年かに一回やってくるの。」

マール「こちらの大陸にもいるのですね。」

クロノ「こちらの大陸にもいるというか…あれはいくつもの大陸を渡り歩いてるんだと思う。何年かに一回のペースで大陸に着くように。」

海の向こうからやってきてまた別の海の向こうへと帰っていく。

それなら、あの巨人は文字通り世界中を歩いて回っているのだろう。

マール「その巨人がいったい…」

クロノ「自分で言うと自慢みたいになるけど、あれの討伐の一番の功労者、ってところかな。」

カステロ「討伐⁉︎あれを討伐できたの?」

クロノ「当然俺1人じゃない。俺は奴の弱点を見つけたってだけ。あとは俺の仲間がやってくれた。あいつの弱点は目だったんだ。あそこだけは肌みたいに硬くなかったからな。」

カステロ「それでも十分すごいと思うわ。」

クロノ「ありがと。」

マール「私…そんな方と手合わせして本当にいいんでしょうか…なんか勿体無い気が…」

クロノ「巨人と勝てたからって人間に勝てるとは限らん。相性ってのがあるからな。大事なのは種族(そいつら)に勝てるかじゃなく、個人(そいつ)に勝てるかだ。」

マール「なるほど…分かりました。」

再び構え直す。

クロノ「よし、それじゃあ始めるか!カステロ!開始の合図を頼む!」

マール「私の全力をお見せしましょう!」

カステロ「よーい、始め!」



カンザー「おお。こんなところで。」

カステロ「カンザー様!こんにちは。」

カンザーがやってくる。

カンザー「組手か…いいのぅ、若いというのは。ワシも若ければなぁ…」

カステロ「どれほどの拳豪も老いには勝てない、ということですか。」

カンザー「まぁ、いつまでも年寄りが表舞台に立っててはいかんからな。後は、弟子とその仲間たちが何とかしてくれる。」

カステロ「弟子…」

辛い記憶を思い出して俯く。

カンザー「おっと…すまない。そんなつもりはなかったんじゃが…」

カステロ「いえ。弟のことは…」

カンザー「弟でありながら、弟子。そんな身内の安否が分からないというのは辛いじゃろうが…」

カステロ「戻れば分かると思います。私は諦めません。」

カンザー「………」

マール「そこだぁ‼︎」

隙だらけとなった脇にマールの剣が飛び込んでくる。

クロノ「残念‼︎」

体を無理やり回転させ、きりもみしながら避ける。

そのまま剣を銃に変形させ、マールの剣を撃ち抜く。

マール「ああ‼︎」

マールの手から剣が離れ、地面に突き刺さる。

マール「くっ!」

剣の元へと走り、剣を手に取っていざ構えると、

マール「あっ」

クロノ「はい1本。」

既に剣を突き出していた。

剣先が額にチョンと当たる。

クロノ「マジ強えし、なかなか素晴らしいとは思うんだけど、ちょっと動きが単調過ぎない?もっと搦めていかないと。」

マール「うぅ…やっぱりですか…」

クロノ「やっぱり?」

マール「私が剣を教わった先生からも同じことを言われて…」

クロノ「あ〜…ま、なんだ。こういうのは、努力で何とかなる類の問題だし。あっちに戻ってから本格的に練習すれば良くなるだろ。」

マール「そうですね…でも、その為には勝たなくてはいけませんしね。」

クロノ「あぁ!」

マール「よし!じゃあ次は無手での組手もお願いしたいのですが…」

クロノ「あ〜…それだったらカンザーもいるが…」

カンザー「ワシは遠慮させてもらおう。今のマールじゃったら、ワシが殺されてしまうわ。」

クロノ「だとよ。んじゃあ、もう一度俺とだな。」

マール「はい!よろしくお願いします!」

ちなみに、今度は負けた。

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