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ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
最終話:悪役と結末
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その1・next time…

[クロノ]

ステラと協力して、ハピスボルグをステラの異空間に取り込んだ後、人間界へと戻ってくる。

モニカは魔王ということもあって人間界にホイホイ来れない為、お留守番。

ステラとミランダの2人を連れて来て、そのままマキノの研究所へと向かう。



クロノ「ってことで、ここまで来ました。」

マキノ「本当にやってのけるとは…というか、本当にあったのか…」

研究所の前の広い場所で話をする。

ステラ「それでは、よろしいでしょうか。」

クロノ「あぁ。やってくれ。」

ステラの背後に大きな空間の穴が現れ、その向こう側からハピスボルグが少しずつ出てくる。

マキノ「でかいな…これは…」

クロノ「いやもう頭おかしいくらいにはデカいよ?」

ミランダ「どう?船は作れそう?」

マキノ「そうだな…1ヶ月はかかるな。」

クロノ「むしろ、1ヶ月しかかかんねぇのっていうか…早すぎないか?」

普通、船を作るのに1年半。

場合によってはもっとかかる。

マキノ「私の詠唱魔法を忘れたか?私の技術は人間のそれを遥かに凌駕している。後、設計の方はもう出来ているのだ。」

物理法則を意のままに操る詠唱魔法。

やり方によってはゲームのバグのような物まで発生させるデバッガーを呼んできたくなるような能力を持っている。

そんなマキノだからこそ1ヶ月宣言ができるのだ。

クロノ「こんなデカいもんで?」

マキノ「お前が魔界に行っている間に様々なサイズに対応した設計図を作っていたんだ。このサイズも、それらの中にあった。だから、後はその設計図を見て、船の形にするのに一月の4分の3。残りは、この機関について扱い方を理解する。それで1ヶ月かな。」

クロノ「すまん、頭おかしいのはあんたの方だわ。」

マキノ「褒め言葉として受け取っておこう。ふふふ、これは夜眠れないかもしれないな…」

クロノ「頼むから夜はちゃんと寝てくれ…」

マキノのマッドサイエンティストの所以を久しぶりに垣間見た気がした。

クロノ「ところでさぁ。」

マキノ「どうした?」

クロノ「俺でも運転できんの?1人で。」

マキノ「いや、素人には操作が難しい。だから、私とメイも付いていく。なぜ1人なんだ?」

クロノ「いや、俺とお姫様達だけで行こうかなって…。もし船が撃ち落とされたりしたら、戻ってこれないわけじゃん。」

向こうでこの船を作るのと全く同じ素材が手に入るとは限らない。

下手したら永遠に戻ってこれなくなる。

マキノ「クロノ…私は覚悟の内だ。もしもの時に備えて、ビットにはこの研究所を託すと言ってある。」

ビット「俺はまだマキノさんに教わりたいことが山ほどあるんですけど。」

ビットが研究所の中から来ていた。

マキノ「ビット!」

ビット「行くのには反対しません。どうせ扱えるのはマキノさんだけですし。だから、絶対帰ってきてくださいよ。」

マキノ「ハハハ。当たり前だ。私だってまだ研究したいことはある。」


リースに戻り、ギルドのメンバー達に報告をする。

サクラ「じゃあもう船ができ次第出発なんですか?」

クロノ「そうなるかもな。今のうちに誰を連れて行くかを決めとかなきゃな。」

キキョウ「誰を連れていくんじゃ?」

クロノ「なんだったら俺1人で行きたいくらいだ。船だけ借りてな。」

マリア「またですかー?」

クロノ「まぁ待て。船を作ったはいいが、相手はよそ様はとりあえず殺しとこうみたいな考え持ってるかもしれん連中だ。もしかしたら、向こうに着いた後に船を壊されるかもしれん。そうなると、こっちの方へ戻ってこれなくなる。多分、永遠の別れだ。」

レオリー「クロノさん、それって…」

クロノ「あぁ。もしかしたら、な。」

未来では自分が行方不明になったことで、ハゼットがおかしくなってしまうらしい。

船が壊されて2度とこちらへ戻ってこれないとしたら、それが原因となってしまう可能性がある。

マリア「じゃあ尚更…!」

クロノ「そんな場所だからこそ、俺1人で行きたいんだ。2度とこちらへ戻ってこれない可能性があるなら、被害者は少ない方がいい。大勢で行って大勢戻ってこれなくなったら、誰がこのギルド頑張ってくれるんだ?」

マリア「それは…」

クロノ「なんだったら今のうちに2代目ギルドリーダー決めとくか?」

笑いながら言うが、聞いているギルドメンバーは誰1人笑わない。

クロノ「はぁ…俺だってこの案がクソッタレなのは知ってんだよ。だけど最善だ。」

ジュリ「絶対ダメです!」

クロノ「だよなぁ…」

どうしても引くつもりはないらしい。

クロノ「じゃあ付いてくるか?覚悟できてるか?」

ジュリ「はい!」

クロノ「付いてきて、船が壊れて、俺やその他付いてきた奴がみんな死んで、自分1人になるくらいの覚悟はできてんだな?」

ジュリ「うっ…えっと…」

クロノ「即答できないんじゃあ怪しいな。こっちに未練残ってるような奴を連れて行きたくはない。」

レオリー「僕は行きます。絶対行きます。」

クロノ「レオ…」

レオリーが前に出る。

レオリー「元々こっちに来たのはクロノさんを守る為です。」

クロノ「でもお前。いずれは未来に帰らなきゃいけないんじゃないのか?」

レオリー「未来に戻れないかもしれないという覚悟でここまで来ました。だったらこの程度、どうってことありません。クロノさんさえ無事でいてくれたら僕のことはいいんです。」

クロノ「はぁ…分かった。他に来たいとかいうアホは?」

「………」

誰も手を挙げない。

クロノ「よし。なら、俺とレオリーの2人だ。」

リンコ「クロノさん…」

クロノ「………」

リンコ「こんどはちゃんと戻ってきてくださいね?あの時みたいに別れたっきりは嫌ですから…」

クロノ「大丈夫だって。俺は運が良いんだ。」

多分。



夜。

キキョウに話があると言われ、一階で待つ。

他のメンバーは既に寝ている頃だろう。

キキョウ「待たせたな。」

クロノ「おう。話って?」

キキョウ「おぬしに言われていたリミの過去の話じゃ。」

虫を操る少女ルカを助けた後にキキョウにリミについて調べるよう頼んでいた。

クロノ「もう分かったの?」

キキョウ「まだ端っこだけだ。じゃがその端っこだけでもかなり奥まで入っておっての。一応伝えておこうかとな。」

クロノ「ほほう?」

リミは20年近くこの村に暮らしていると言っていた。

キキョウ「まず1つ。20年前には大きな事件や事故は無かった。」

クロノ「何も?」

キキョウ「何も。魔獣が攻め入るとかいうことも一切。じゃから、20年前のことでリミが幽霊となった原因は探れん。そして次に、300年ほど前にここで大きな体の凶暴な魔獣が村に入ってきたという事件があった。」

クロノ「ちょい待ち。なして300年前?」

いきなり飛び過ぎである。

キキョウ「まぁ待て。関係あるかもしれないんじゃ。魔獣は民家の1つで大暴れしていた。徹底的に壊していたが、それが幸いして村人の方には目もくれていなかったらしい。じゃが不幸が1つ。そこの民家の夫婦は一人娘に留守番をさせていて、家に戻ってきた頃には既に魔獣が暴れておったそうじゃ。助けに行こうにも全く近寄れず、仕方なく夫婦は子供を見捨てざるをえなかった。」

クロノ「まさか…」

キキョウ「村人は仕方なく別の村へと身を寄せた。そして100年近く経って別の移民が、もはやただの荒れ地となった村があった場所へたどり着いた。魔獣は1つの家を破壊し尽くした後は別の家を壊し始めたということじゃろう。何日もかけ徹底的に壊したに違いない。移民たちはそこで新たに村を作った。今この村にいるのが、それの子孫となる。」

クロノ「一人娘ってのはどうなったんだ?」

キキョウ「そこはまだ分からん。じゃが、ワシはこの一人娘というのがリミ、或いはそれに関係している何者かじゃと睨んでいる。」

だがそうすると矛盾がある。

クロノ「そいつがリミ本人だとしたら、20年前ってのはなんなんだ?」

キキョウ「死んでから幽霊になるまで時間があったか、記憶が無いのか…或いは嘘をついていたか。とにかく、一人娘がいったい何者なのか分からんことには想定もできまい。ここまでが、今の所分かったところだ。」

かなり核心に迫りそうなところまで分かっている。

キキョウ「ところで、この話はリミにした方がいいのか?」

クロノ「どうかな。いや、言ってもいいんだが…本人には辛いことかもしれんし…というか、幽霊だから天井からちょっと顔出せば聞こえるわけだからもう知ってるのかもしれんな。とりあえず、向こうから聞かれるまではわざわざ言わなくてもいい。」

キキョウ「なるほどな。分かった。」



次の日の朝。

アウストールに向かう。

アウストールで待っていたカンザーと、別大陸の王女カステロ、そしてその従者のマールと経過を話す。

クロノ「船が完成するのに、だいたい1ヶ月。それまでにあんたらの体調が幾分良くなるといいが。」

カステロ「立ったり歩いたりする分には回復はしています。1ヶ月もあれば十分かと。」

クロノ「そちらさんも?」

マール「私も大丈夫です。」

クロノ「よし。それじゃあしっかり体を休めておけ。下手に焦るより、ゆっくり休んでいた方が早く治る。」

マール「ありがとうございます。」

カステロ「………」

カステロは黙ったままだった。

マール「王女様…?」

カステロ「いえ、ありがとうございます。この恩は一生忘れません。」

カンザー「では、また何かあれば声をかけてくれ。」



(さっき返答が返って来なかったとき…ちょっと苦い顔だったな。)

まるで何かを悩んでいるかのように。

(ま、いずれ分かるか。それはそれで置いといて、今は他のことも考えなきゃならんしな…)

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