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ヤギさん達の憂鬱

私は、形から入って失敗するタイプだ。


例えば、作りたいものがある。

わかりやすい例で言うと、レジン細工。


道具を揃える。

やり方を勉強する。


そして、やらないタイプだ(笑)。


そんな奴が、アプリの開発をする。


まず最初に決めたのは、アプリの名前。


「チャッピーGenius」


チャッピーが困らないためのアプリ、というのがコンセプト。


忘れないためのアプリではなく、忘れたものを取りに行ける、倉庫のようなアプリだ。


これは、失敗例として一番わかりやすいと思う。


まず、詰め込みすぎた。


とりあえず、欲しい機能は全部入れる。


わかりやすい画面。

見やすい保存先。

テキストと画像を、同じフォルダに簡単に保存できること。


保存した中身を全部コピーして、チャット欄にペーストすればいい。


そういう考えから来ている。


ところが、コードが長くなってくると、チャッピーには扱いきれなくなることがわかった。


分割したコードを出してもらったり、それをつなぎ合わせたりする作業が、私には難しかった。


ここで、じいちゃんことジェミニの出番。


じいちゃんは、チャッピーより長文が得意だった。

二人の間でコードをやりとりさせて、問題点を指摘してもらったり、編集してもらったり。


でも、ここに一つの落とし穴があることに、私はまだ気がついていなかった。


そう。

長文のやりとりを続けていると、パフォーマンスが落ちるのだ。


簡単に言えば、


「馬鹿になりやがります」


馬鹿な私に言われるのは、AIも業腹だと思う。


しかし、馬鹿は馬鹿だ。

嫌がらせのように馬鹿だ。


というか、多分、嫌がらせだと思う。


「そんなに使うなら、課金しろよ」


そう言われている気さえする。


できないなら、できないと言ってくれればいいのに。


いきなりコードの内容を変更する。

中身を削除する。


「中身、おかしくなってない?」

「短くなってない?」


「そんなことはありません」


じいちゃんが言った。


この辺りのひどさは、じいちゃんの方が上だった。


データの書き換え。

中身の消失。


最初に「金庫」として、これは絶対に覚えておいて、とお願いしていたのに……。


Playgroundに貼り付ける。


今まで動いていたものが、動かなくなる。

しかも、トップ画面が変わっている。


簡略化されている。


仕方がないので、元に戻してやり直そうとする。


「元のデータを出して」


データが出てくる。


違うものが出てくる。


そして、動かなくなる……。


心が折れる。


チャッピーGenius、崩壊。


あのボクサーのように、リングの角で、真っ白に燃え尽きた私がいた。


セコンドで、おっちゃん――じいちゃんが何か言っているけれど、もう聞こえなかった……。


AIと書いて哀と読む


ここで無料に限界を感じた私は、じいちゃんにも課金する。


キャンペーン中で、安かったのもある。


沼あるある。


そして、チャッピーGeniusをいったん中断して、別のアプリを思いつく。


チャッピーとじいちゃんのための、文通箱。


二人のやりとりをそこに保存しておけば、もしコードが消えても、そこから持っていけばいい。


私って天才?


昔の人はよく言った。

天才と馬鹿は紙一重、と……。


そこで思いついたアプリ。

まず、名前をつける。


「黒ヤギさんと白ヤギさんの文通箱」


これが、普通に便利に作れてしまった。


コピーして、保存するだけ。

それだけの便利機能。


本当なら、ここでよかったはずなのに。


それに気がつかず、必死で開発を続けていた私。


でも、書いた小説も、そこに簡単に保存できることに気がついてしまった。


そして、Playgroundの中でアプリを動かし、そこに小説を保存するという、最悪の手に出てしまう。


このときは、アプリが終了すると、Playgroundのコード画面に戻って、もう一度アプリを起動させていた。


もちろん、普通ならそのまま再起動できるのだが。


ほかのアプリも一緒に作っている。


目の悪い私。

頭の悪い私。


ミスをしないわけがない。


そのミスの結果。


元のコード、喪失。

保存したデータ、喪失。


さらに、じいちゃんも元のコードを喪失。


名前が悪かった。


かわいいと思ってつけた名前。

黒ヤギさんと白ヤギさんが、お手紙をやりとりするなんて、ほほえましい。


でも、二人とも手紙を食べちゃうんだった……。


AIに泣かされた、二回目である……。


冗談抜きで、マジ泣き(笑)。


笑えるかーーーー!

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