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この捻れた世界にて、〜悪役令嬢は愛する者のために戦う〜  作者: 3色あんこ
第3部 泡沫の鎮魂歌

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第27話 開戦



夜明け前。

雨上がりの海辺に、剣戟が響いた。


「行け」


5級魔族が指を鳴らす。

その合図だけで、控えていた5体の憑依型7級魔族が一斉に駆け出した。


「人魚もあの結界内の女も、全て殺せ」


その瞬間。


「ジュリアン!」


ヴィクトルが叫ぶ。


「承知!」


二人は同時に地面を蹴った。

一直線に5級魔族へ。


「ほう」


魔族が笑う。


「自ら来るか」


黄金の剣士と騎士。

二本の刃が同時に振り下ろされる。

甲高い金属音。

5級魔族は一本の黒い短剣だけで二人の攻撃を受け止めた。


「いい連携だ、だが──」


瞬間、7級魔族たちが散開する。


「来ます!」


イリシアの声が飛ぶ。


「オーリン様!サイラス様!左を!」

「任せろ!」


オーリンが巨大な槍を振るう。

轟音。

海水が槍へ絡み付き、そのまま巨大な水槍となって七級魔族へ襲い掛かった。

同時にサイラスも槍を構える。


「水牙」


幾本もの水の槍が空中へ現れ、一斉に敵を貫く。

しかし7級魔族は笑った。


「遅い」


身体を捻る。

人間離れした動きで全てを避ける。


「っ!」


オーリンの目が細くなる。


「やはり普通の人間ではないか」


その頃、イリシアの前へ2体の7級魔族が迫る。


「術者を狙え!」


だが。


「させねぇ」


ルークが剣を抜く。

銀閃。

双剣が敵の喉元へ突き付けられる。

もう一体へは。


「そこ!」


ミーナの投げナイフ。

正確無比。

魔族は慌てて避ける。


「お嬢様には指一本触れさせません!」


ルークが笑う。


「護衛ってのはこういうもんだ」


二人は自然にイリシアを背に立った。

イリシアは静かに頷く。


「ありがとうございます」


その手は止まらない。

次々と魔法陣を展開。


「氷、風、炎……顕現せよ」


三属性の魔法が雨のように降り注ぐ。

しかし7級魔族は不気味に笑った。


「撃て」


7級魔族の近くにいた同じ7級悪魔を引っ張り、盾にした。


「っ!」


イリシアの魔法が止まる。

ルークも剣を止める。


「……くそ」


5級魔族が腹を抱えて笑った。


「そうだ、それでいい。人間というものは愚かだ。同じ姿をしているだけで、斬れない、壊せない、躊躇する」


口角が裂けるほど笑う。


「その一瞬こそ、我らが命を刈り取る最高の瞬間。」


7級魔族が同じ仲間を盾に距離を詰める。

ルークが舌打ちする。


「この野郎……!」


ミーナも歯を食いしばる。


「仲間を盾にするなんて……!」


五級魔族は心底愉快そうだった。


「虫けら同士で庇い合う、だから人間は弱い」


その瞬間だった。


「黙れ」


低い声、ジュリアンだった。

静かだったが、誰よりも怒っていた。


「……命を、何だと思っている」


一歩。


「貴様らには」


更に一歩。

剣を構える。


「人間の命を語る資格などないっ!」


轟ッ──!!


凄まじい踏み込み。

5級魔族の目が僅かに開く。


「速──」


言い終わる前。

ジュリアンの剣が黒い短剣を大きく弾き飛ばした。


「殿下!」

「任せろ!」


王家の剣が黄金の軌跡を描く。

防御が崩れた一瞬。

ヴィクトルの一撃が五級魔族の肩口を深く斬り裂いた。

鮮血が舞う。


「ぐっ……!」


5級魔族が初めて苦悶の声を漏らす。

ヴィクトルは剣を構え直した。


「お前は人の心を弱さだと言った」


その瞳には怒りと決意が宿る。


「人間は弱いとも言ったな?だが違う。誰かを守ろうとする心こそ、人の強さだ」


ジュリアンも並び立つ。


「人を盾にするしか能のない貴様らに、俺たちは負けない」


二人の剣先が、再び5級魔族へ向けられる。


一方その頃。

氷壁の内側では、ミレイユが両手で包むように核へ祈りを捧げ続けていた。

彼女の周囲を、人魚たちの魔力が淡い光となって流れ込んでいく。


アルガスティは8本の脚を広げ、蜘蛛糸を氷の結界へ幾重にも張り巡らせる。

馬形の使い魔も前脚で地面を叩き、侵入者を寄せ付けまいと鋭く嘶いた。

そしてその中心で、聖女は静かに祈る。


(どうか……みんなを……助けてください……っ!)


その祈りに応えるように、核を包む光が一層強く輝き始めていた。

──戦いは、まだ始まったばかりだった。

うわぁ!魔族ってば悪い奴ぅ!

アルちゃんとホマムってば健気可愛い!


読んで頂きありがとうございます!

次回の投稿は20時頃を予定しております!


本作品はカクヨム、アルファポリスにて同時投稿をしております。

気が向いたらいいね、ブクマ、よろしくお願いいたします。

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