表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最愛の貴公子様へ、忘れられた花嫁ですが、忘れた貴公子を保護しております  作者: 西野 歌夏
第一章:華族様は花嫁にすると言ってくれた。忘れられた花嫁は、華族様に恋をしたあの夜を忘れられない
11/52

花菖蒲の夜

貴公子がくれた浴衣は、青紫の花菖蒲が裾に流れる、それはそれは美しい浴衣だった。特別に用意されたものだとすぐに分かった。雨に濡れたような深い色合いで、白檀の香りが淡く移っていた。


濡れた髪がうなじに張り付き、ほどいた髪が額を濡らす。


湯上がりの私は、無防備だった。


貴公子は、私の白い首筋に張り付いた髪を長い指でそっとはらった。

 

彼に触れられた肌は熱を帯びて、火鉢の赤い灯りに照らされる私の頬は火照った。



彼の瞳は私を見つめ、その透き通った瞳に私は吸い込まれそうだった。


足の指を晒すことすら恥ずかしいのに、 耐えられなくなり、貴公子の胸に顔を伏せた。

 

彼はそんな私を抱きしめ、壊れ物に触れるように口付けした。



火鉢の赤い灯が私の白い肌を照らした。




***

 

初めての感覚に溺れる。

身体の芯が熱くなり、私は息を呑んだ。



身体の奥が甘く震える。


雨音だけが、二人を包んでいた。


――私だけを見ていてほしい……。



雨の音が止まらない。

私は少しずつ、貴公子に溶かされていった。

 

貴公子の瞳が私をとらえて離さない。

頬を紅潮させて煌めく瞳で見つめる姿が、私には愛おしく思えた。

 

――愛しているよ、おりん……。


真剣な声だった。


その言葉を聞くだけで、胸の奥が熱く震えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ