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最愛の貴公子様へ、忘れられた花嫁ですが、忘れた貴公子を保護しております  作者: 西野 歌夏
第一章:華族様は花嫁にすると言ってくれた。忘れられた花嫁は、華族様に恋をしたあの夜を忘れられない
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鷹条Side 私の恋

私の初めての恋人は、りんだ。


半年前から、九重家には許嫁の鹿乃子さんとの縁談を無かった事にして欲しいとお願いしていた。



私の力の関係もあり、基本的には、力が覚醒した相手と婚姻の契りを結ぶべきだというのは、両家承知の上で許嫁が定められた経緯がある。


しかし、私の力は日に日に増しているのは、誰の目にも明らかだった。帝すら、気づいた。


ただ、鹿乃子さんにはほとんど会っていない。

帝大の後輩の存在が大きいと思わせていながら、私自身は花房りんが、私の力を大きくしているのは、何となく気づいていた。


だから、母にも父にも、別の女性と結婚したいと伝えていた。その相手は秘密だった。


母が私のために準備して、お守りの紫陽花の刺繍のある詰襟をりんが着ていたことが、発覚を遅らせてくれていたかもしれない。


虹を見た日——りんが『綺麗』と言った瞬間、私も同じ言葉を言いたかった。でも見ていたのは虹ではなく、りんの横顔だった。


桜を見た日——詰襟姿のりんに団子を半分渡した。あの時すでに、私は決めていたのかもしれない。


縁日で2人で笑った日。

蛍を見た夏の夜。

紅葉の下を並んで歩いた秋の日。

帝都に雪が降ったのをお汁粉屋の窓から見た日。



その隣にいたおりんは、後輩などではなかった。


私の恋する女性だった。

だから、手放せなかった。


おりんを失うぐらいなら、鷹条の名などどうでもいいとすら思った。


九重家も、華族のしがらみも、父の思惑も、全てどうでもいい。


雨の中で震えるおりんを抱きしめた瞬間、私の中で、何かが決定的になった。


りんを守り抜くつもりだった。


口付けから、その先に進んで、私の香りの力は覚醒した。


「花嫁になって」

彼女を組み敷いた時、私は本気で、りんに懇願した。



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