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鷹条Side 私の恋
虹を見た日。
桜を見た日。
縁日で2人で笑った日。
蛍を見た夏の夜。
紅葉の下を並んで歩いた秋の日。
帝都に雪が降ったのをお汁粉屋の窓から見た日。
その隣にいたおりんは、後輩などではなかった。
私の恋する女性だった。
だから、手放せなかった。
おりんを失うぐらいなら、鷹条の名などどうでもいいとすら思った。
九重家も、華族のしがらみも、父の思惑も、全てどうでもいい。
雨の中で震えるおりんを抱きしめた瞬間、
私の中で、何かが決定的になった。
おりんを手放すくらいなら、
全てを失っても構わないと思った。




