僕と幼馴染とエロ本と
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この僕、雄漂木悠輔には幼馴染がいる。
生まれた時から家が隣で、ベビーカーに乗っていた頃から付き合いが続き、小中高と同じ学校に通っている、言うなれば腐れ縁。
櫻井山桜桃。
僕の幼馴染。
僕の幼少期の人格形成に一役買っている存在。
彼女がもう少しまともな人間であったなら、僕の性格も変わっていたのではないか、と今でも本気で思う。
彼女がもう少しまともな人間であったなら、今も付き合いが続いているかは分からない、とも思う。
山桜桃が『ああいう風』だからこその腐れ縁なのかもしれない。
櫻井山桜桃は、少なくとも僕からすれば、変人以外の何物でもない。
すぐ脱ぐ。
下ネタを平気で言う。
スリーサイズを逐一報告してくる。
学校に官能小説を持ってくる。
学校のパソコンでエロゲをする。
……まあ、山桜桃の武勇伝について語るには、かなりの時間と精神力を必要とするのでこの辺にしておくけど。
しかし、黙っていれば山桜桃は美人である。
男にも女にも人気があって、山桜桃本人も満更ではないようだ。何度も告白されているようだが、今のところ彼女の心を射止めた者はいないらしい。
容姿は完璧。スタイルは抜群。
成績も優秀で、運動神経もかなり良い。弓道部に所属しているが、他の運動部の助っ人として活躍する機会も多い。
こうしてみると、山桜桃が変人なのは釣り合いをとるためなんだろうなあ、と思う。
欠点の全く存在しない超人など、リアルには存在しない。
どこかに必ず欠点がある。
光あるところに影があるように、長所があれば必ず短所がある。
そうして釣り合いを取っている。
例えば、つい最近僕の妹となった雄漂木凛々恵に関しても、それはあてはまる。
一緒に住んでてドキドキしてしまう位の美少女である凛々恵だが、感情表現が苦手で誤解を招きやすい、というのが玉に瑕であったりする。
そういうところも含めて人間は魅力的なんだろうなあ、とか、柄にもなく思ったりするけど。
ともあれ。
山桜桃は僕の幼馴染であり、家族も同然の存在だと言える。
それ以上でもそれ以下でもなく。
山桜桃は僕にとって、十七年間付き合ってきた、大事な幼馴染なのだ。
幼馴染・櫻井山桜桃のお話です。
彼女が出ると若干にエロ成分が増える気がします。