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手のひらほどの○○を【不定期】  作者: Nadi
小さい君

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7/22

到着

ほのぼのしますね

 キエリとマーガレットをのせた馬車は王都ウルブスの街の門をくぐった。


マーガレットと手のひらにのったキエリが馬車の窓から王都の様子を目を輝かせて興味津々に見る。


 「すっごーい! ここが王都ウルブス! 人がいっぱい! お店もいっぱい!」

 「わぁ、すごいね! あとでお土産買えるかな?」

 「確かに! 母さんと父さんになんか買ってあげたいね。でも、まずは聖騎士! かっこいいだろうなぁ‥‥あっ!」


馬車が街の中を通り、お城に向かって坂を上っていく途中、空が開けた空間に白い馬のような生き物が何体か見えた。


ただ、白い馬には大きな翼が生えており、青空を優雅に飛んでいる。


 「キエリ、キエリ! 見える? あれ、ペガサスだよ! ほんとに飛んでる! 聖騎士の中でも女性だけが乗れるんだって! かっこいい!」


マーガレットは、興奮して鼻息荒く窓を覗く。


キエリもこんなに嬉しそうなマーガレットが見れて自分も嬉しくなった。


 「マーガレットは、聖騎士になりたいんだもんね。ペガサスにのるマーガレット、見てみたいなぁ」

 「うん! きっと、ううん絶対なるから楽しみにして待っててよ」


マーガレットは自信たっぷりといった表情でにこっと笑った。


 キエリには、マーガレットがペガサスにのって聖騎士の鎧を身にまとっている姿がなんだか想像できた。


 馬車は、城門をくぐり、城の玄関前の噴水のある広場に到着した。


 馬車から降りたマーガレットは、馬車旅で折りたたまれたからだを思いっきり伸ばした。


 「はぁー! 到着ぅ‥‥さすがに座りっぱなしだとからだがごりごりになるよ。キエリは大丈夫?」


キエリは、ポシェットから顔を出してマーガレットを見上げた。


 「うん、わたしはからだをのばせたから大丈夫だよ」

 「皆さま、長旅大変お疲れさまでした」


キエリたちを出迎えたのは、ぴしっと背筋が伸びている上品そうな初老の男性だ。


 「こんにちは、テウス村から来ましたマーガレットです! よろしくお願いします!」

 「元気なご令嬢ですね。申し遅れました。私、執事のアリアスです。滞在の間、皆さまが快適に過ごせるようにお世話させていただきます」


男性は、穏やかににこりと微笑み、礼儀正しくお辞儀をした。


ご令嬢だなんていわれたことのないマーガレットは、ちょっとどぎまぎしてしまった。


 「わたしは、キエリと申します。よろしくお願いします、アリアスさん」


先ほどとは違う声が聞こえて、アリアスがマーガレットのポシェットに目をやった。


キエリがポシェットから顔をだしてにこっとアリアスに笑いかけていた。


また御者のように驚かれるかもとも思ったが、アリアスは一瞬目を見開いたものの、すぐにキエリに目線を合わせて再び微笑んで挨拶してくれた。


 「こんなにも可愛らしいお嬢様がいらっしゃるとは思わず失礼いたしました。キエリ様ですね。よろしくお願いいたします」


可愛いと言われて少し照れながらもキエリはもう一度よろしくお願いしますといって、微笑んだ。


 キエリとマーガレットは、滞在先となる城の一室に案内された。


城に入ってからというものの、豪華な雰囲気に終始二人は気圧されていた。


舞踏会の時間まで、湯浴みや身だしなみを整えるのを使用人たちがやってきて、何から何まで準備をしてくれる。


あらかじめ使用人たちにキエリのことを伝えてくれていたのか、彼女たちはキエリの小ささに驚くようなことはしなかった。


 「マーガレット様は、はつらつとした笑顔が素敵ですわ。なので、その雰囲気を大事にした‥‥このようなドレスはいかがでしょう?」

 「あ‥‥はい、それで」


こうやってお世話されるのは慣れないのだろう。


はつらつとした、と言われたマーガレットは今は使用人たちの圧に負けて笑顔が引きつっている。


キエリもこんなに大勢に囲まれるもの慣れておらず、どうしたものかと固まっていた。


 「キエリ様は、銀色の御髪が本当にお綺麗。このようなドレスなどいかがですか?」


 おそらく、人形用のドレスをいくつか用意してくれたのか、使用人がキエリにドレスをあててみせる。


 「あ、すみません。わたし、母がつくってくれたドレスを持ってきたんです。わざわざ用意していただいたのに、申し訳ありません」


キエリは、荷物の中からドレスを一着取り出した。


淡い水色と白の生地を重ねて作られた、ふんわりと裾の広がったドレスだ。


裾は花の刺繡がほどこされている。


このドレスは、ラクリマがいざという時のために作っておいたと言っていたが、そのいざという時が正直あるかどうかわかっていなかったので、舞踏会で着ることができて本当に良かったとキエリは思っていた。


 急な準備に大変だったろうが、使用人たちは嫌な顔一つせず、にこりと微笑んだ。


 「まぁ、お母様が作られたのですね。刺繍もされていてとても素敵なドレスですわ!」

 「ありがとうございます」


キエリは、母のドレスが褒められて嬉しくなって、ドレスを抱きしめながらにこりと笑った。

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