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手のひらほどの○○を【不定期】  作者: Nadi
小さい君

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12/22

すれ違う

 マーガレットはキエリとの約束通りに城門へと向かっていたところ、鳥の羽にまみれたリアンとグリードとソルダに鉢合わせた。


 「リアン!? それにソルダと金ぱっつん野郎! どうしてここに? それにすごい格好だぞ!」

 「マーガレット! 大丈夫か、その怪我どうしたんだ? それに姉さんは?」


 マーガレットは人々に攻撃されたせいで怪我だらけになって、耳にもかさぶたができて、ぼろぼろだ。


 「鳥も馬も暴れているし、姉さんもいないのか!?」

 「説明するからとにかくここから逃げよう! はやく!」


マーガレットは、リアンの手を取って、城門へと走って行った。


 「おい! また走るのか!? おいていくな」


後ろからぜぇぜぇと息を切らせたグリードが後を追い、続いてソルダもついて行った。


 城門からでて、急いで近くの茂みに四人は座り込んで姿を隠し、そこでマーガレットは舞踏会での一連の出来事を三人にすべて話した。


 話しを聞いているうちにリアンの顔はみるみる青ざめていった。


 「姉さんが‥‥妖精? それで、危険な目に」

 「リアン、本当にごめん。キエリのこと頼まれたのに‥‥全然守れなかった」


マーガレットは、悔しさで肩が震えていた。


一番近くにいたのにあのブラッタに酷い行為をされたことが、しかも自分が怒りを結局押さえられずブラッタに突っかかってしまったことも要因だったと考えると、悔しくて情けなくてたまらなかった。


 「本当だよ! 何にも考えてない君の言うことなんて聞かなきゃよかった! クソッ」


リアンは、キエリが危険に脅かされていると思うと冷静さを保てず、マーガレットに怒りのまま吐き捨てた。


ソルダが見かねてリアンを諫める。


 「リアンさん、キエリさんが心配なのはわかりますが言い過ぎですよ。彼女は身を挺してキエリさんを守っていたと思いますよ」

 「‥‥‥っ‥‥」


諫められてもリアンは、怒りが収まらないようで腕を組んでそっぽを向いたままだ。


マーガレットは何を言われても仕方ないと思っているのか、拳を握ったまま俯いて黙りこくっている。


 一方、一番騒ぎだしそうなグリードがなぜか静かに考え込んでいた。


 「マーガレット、キエリはここで落ち合おうと言ったのか?」

 「う、うん‥‥」

 「キエリは来ないな‥‥」

 「え? どういうこと?」


マーガレットが目を丸くしてグリードを見る。


 「よく考えてみろ、キエリの女神のように優しすぎる性格を! キエリが自分が妖精だと知って、欲深い人間に襲われて、友人のマーガレットがそんな目にあって‥‥そんなのこれ以上友人や家族に危険が及ばないように姿をくらますに決まっている」

 「そっ、そんなこと‥‥約束、したのに、あたしのせいで」


マーガレットは、身を切られたように息苦しくなって、うまく声を絞り出せなかった。


このままキエリはどこかに行って、二度と会えなくなるのかと考えると、涙が止まらなくなっていた。


 ソルダが泣き崩れるマーガレットを支えて、ハンカチを取り出して拭う。


 「グリード様、良く落ち着いていられますね‥‥一番騒ぎそうなのに」

 「非常時こそ、落ち着けと父上から教えられているからな‥‥」


 「‥‥‥」


 「これから、どうするべきだろう?」


落ち着いていたグリードが一気に情けない泣きそうな表情になった。


やはり、無理をしていたようだ。


 リアンがおもむろに立ち上がると茂みから出ていこうとした。


 「おい! リアンどこに行くつもりだ」

 「姉さんを探しに行く」

 「こんな暗い中、あてもなく探すつもりか?」

 「だったらなんだ? ここで馬鹿みたいに待ってろっていうのか?」


リアンは完全に冷静さをなくし、今にも誰かれ構わず噛みついてきそうなほど彼の深い青色の瞳がぎらついている。


グリードがリアンの殺気に怯えて肩を震わせているとソルダもおもむろに立ち上がって、素早くリアンの腕を掴み引き寄せ、思いきりみぞおちを殴って気絶させた。


 「なっ!? ソルダ、お前こいつが目が覚めた時大変なことになるぞ!」


ソルダは、気絶したリアンを地面に寝かせた。


 「このままじゃ何をしでかすかわからない危うさがあったので‥‥起きた後のことはその時考えます。まぁ、俺の方が彼より強いですし、何とかなりますよ」

 「お、お前怖いもの知らずだな」


ソルダはにこりと笑った。


 「マーガレットさんはここでリアンさんを見ていてください。キエリさんがここに来るかもしれません。グリード様の考えが間違っている可能性もありますからね」

 「四六時中キエリのことを考えているオレが間違えるはずないだろう!」


後悔でいっぱいいっぱいになっていたマーガレットがやっとグリードのいつもと違う話し方に気付いた。


 「金ぱっつん、お前ってそんな奴だったか?」

 「もう、リアンにバレてしまったのだからもういい! そうだ! オレはこんな奴だ!」


泣いていたマーガレットの頬が少しだけ緩んだ。


 「なんだ、もっと早く言ってくれればよかったのに、あたしが言えたもんじゃないけど、キエリのことよろしくな」

 「お、おう‥‥」


 「とは言ってもどこに行ったか皆目見当がつきませんから、尽力しますが期待はしないでくださいね」


マーガレットは、こくりと頷いた。

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