↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/4

街から消えつつある、プラダを着た悪魔

最近、小説の連載を少しお休みしていたら、ほしいもの探しに情熱がいってしまい。

今の世の中に思おうところがあり、書いてみました。


自分のこと少しと、ファッション業界に願う、かつて服を愛した者の遺言みたいなエッセイです。

この願い。

VOGUEへ届け。

十数年ほど前のことだろうか。


私は、ある一着のコートを試着した。

誰もが一度は目にしたことがある、モードを牽引する代表的ブランド。


ミウッチャ・プラダがデザインをした、あの、PRADA(プラダ)の上質な黒いウールのコートだった。


ちなみに、著者の私は服が好きでその道に進むと思っていた。

実際、学校も文化服装の方へ進学した。

まぁ。人生いろいろあり、今は全く違う分野の仕事をしているのだが。


話は、プラダのコートへ戻る。

試着する前から、予感があった。


これは似合う。


短めの丈に、少しふわりと広がるシルエット。ポンチョのような雰囲気を持ちながら、きちんと袖がある。

そして何より印象的だったのは、大きなビジューをあしらったボタンだった。


黒い生地の上で、その装飾が実に美しかった。


価格は詳しくは覚えていないが、二十万円台くらいだったのではないだろうか。


その時、プラダは手がでないブランドではないな。


と思ったのをよく覚えている。


肩に収まり、生地が落ち、鏡の中で服の形が完成する。


それは単なる防寒着ではなかった。


デザイナーが布と身体の関係を考え抜いた、一つの造形物だった。


私は随分と迷い、結局そのコートを買わなかった。


当時は愛用していた、セカンドハンドで買ったジルサンダーのコートがあったし、他にもいくつかマルニやクロエのコートも持っていた。


私は、富裕層でもなんでもない一般層の人間なので、定価で服を買うことへの抵抗があった。


そして、今でも盛大に後悔している。


不思議なものである。


あの買わなかった一着だけが、十五年近く経っても鮮明に残っている。


あのコートを、今でもたまに探してしまうことがある。


サイズは合わなくとも、たまに見かける。ただ、十五年も前の服だ。


生地は経年変化し、裏地は傷み、装飾もいつまでも完全な状態とは限らない。


ならば、現行の新しいコートを買えばよい。


だが、現在の価格を眺めていると、私は思わず考え込んでしまう。

今ではプラダのコートは七十万〜百万円が相場なのだ。


映画、『プラダを着た悪魔』に登場する主役のアンディは今見ても若い女性だ。

あの物語の中では、月収だって、バカ高いイメージは持てない。


それでも、あの若くて美しい女性が着るからこそのラグジュアリーブランドの美しさは、あの時代。

確かに、街中にあった。


目を光らせて、街中を観察していた私が見ていたのだから信じてほしい。


プラダを着た悪魔は、確かに2000年代前半は世の中にたまに居た。


それは、言うなれば、収入とは関係なく。


努力をして、探せば。


若者でも、手が届き楽しむことができる時代だったと言える。


それがどうやって叶っていたかも、後に書いていこうと思う。


今の私には、あの頃より収入がある。


十代から働き続け、社会人としての経験も積んだ。

上には上がいるとして、一般的に言えば。


決して、稼いでいないほうではないはずだ。


それなのに。


若かった頃には手が届きかけたプラダが、今では昔よりも相当に遠い存在になってしまっている。


生活水準が下がったわけではない。

コツコツコツコツ働いてきた。

かなり頑張ってた時代もある。


なので、当然、昔より余裕がある。


では、何が変わったのだろう。


その答えを探してみると、単なるブランドの値上げでは片づけられない、ファッション産業そのものの変化が見えてくる。


少し長い話になるので、ご興味あれば。


何しろ、私にとってファッションとは、単なる衣服の話ではないのだから。




ちなみに作者は、あまり激しすぎない(ここ大事)モードファッションが大好きでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。