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二日目 モルディブ➁ 受付を探せ!

モルディブのホテルに到着しました。「せっかくなので水上ヴィラ」「せっかくなら飛行機送迎」「せっかくならオールインクルーシブ」の「せっかくなら」を全部足し算していくと、家計は悲惨なことになります。「豪華なホテルでケチケチ」もどうかとは思うのですが。

「ねえ、あの人じゃないの」

妻がスーツケースをひきずって歩きながら指さす。


「無闇に指を指すなって。危ないヒトだったらどうするんだ」

私も同じようにスーツケースをゴロゴロしつつ、声を潜めて続ける。

「アロハシャツでカンカン帽、あのニヤニヤ笑い…何かの勧誘に違いない。目を合わせるな」


「こんな南の島で何の勧誘すんのよ。ホラ、聞いてみなさいよ」


「いやだってば。おい、押すな」


暑い中、私と妻が押し合いへし合いしているここはモルディブの玄関口、ヴェラナ国際空港付属の船着き場だ。モルディブに着いた観光客はここからある者は水上飛行機で、その他の者はスピードボートであちこちの島、すなわちリゾートアイランドに運ばれていく。


空港の海沿いにコーナーがあり、各ホテルのブースが数えきれないくらいずらりと並んでいる。私はようやく自分のホテルの名前を見つけたがそこは何故か無人だった。



「せっかくならお迎えの水上飛行機に乗ってみたかったわ」

妻が口を尖らせる。


「送迎の飛行機は行き帰りでひとり10万円かかる。そしてそういう遠距離のホテルは一泊数十万円だ。数日泊まったら、僕らの世界一周はここが終着地となる」


「んもう、夢がないわ。せっかくのリゾートなのに」


「…おい、あいつ近づいてくるぞ。何か目つきが怪しい。逃げるか?」


「ヘイ、マン」

アロハの男がニヤニヤしながら私に話しかけた。

「コディパル?」


「ノー!」

私が強めに言うと、妻が呆れて前に出た。


「馬鹿ねえ。嘘ついてどうすんの。お迎えの人よ、多分」

そして日本語と英語の中間くらいで受け応えを始める。

「ヤー、イエス。私たちコディパルズビジター。ユー送迎のヒト?」


何だそれ。どうしてそれで自信満々なんだ。




まあ、結局ホントに彼が「送迎のヒト」だった。コディパルの送迎ブースが空だった理由はわからないが、近辺で右往左往している客に声をかけているそうだ。適当過ぎないか。


彼の指示で近くのバーガーキングで待機した。全員揃うまで待つらしい。

ハンバーガーショップのテーブルでボンヤリと恐ろしく青い海を見つめること1時間。


妻がテーブルに乗り、立ち上がって笑顔で手を広げる。でも眼はまったく笑っていない。

ああ、また始まった。


「♪あ~、私の船は、いつまでぇ~待てば乗れぇるの~ ああ 青い顔 私の夫、 天国へ~」(『青い珊瑚礁』)


何で配偶者を天国送りにした。






2025年10月2日 モルディブ➁


空港近くのホテル「h78」は思ったより快適だった。前日は夜遅くに到着し、ヨレヨレで就寝したのでよくわからなかったのだが、清潔で水色を基調とした部屋が何だか可愛く、さらに朝食も美味しかった。


出発までまだ間があったためホテル近辺、モルディブの首都マレを散策してみた。だがさすがに綺麗な海以外に見るものもなく、私たちは朝からクラクラするような太陽に日干し状態となってホテルに戻ったのだった。まあ、私たちは本当にホテル周辺のみしか見てないので何かもしかしたら、きっと多分観光スポットのひとつやふたつ…あったかもしれないと思ったり思わなかったり。



お昼前にh78ホテルの送迎の人が空港まで車で連れて行ってくれた。

でもそれからどこへ行くかはアバウトで「あの辺のどこかにお前のホテルのブースがある」というようなことを言われる。あの辺のどこかかあ。


その後ようやくリゾートの受付と出会い、一時間以上待ってようやくスピードボートに乗り込むことができたのだった。

ボートに乗り込み、どのくらいか…30分くらいで私たちのリゾート!(いい響きじゃん)…そう!「私たちのリゾート」グランドパーク・コディパルリゾートに着いた。


さすがに綺麗だ。海も砂浜もそしてホテルも。ただ…俺たち浮いてないか。

カートに乗せられて、自分たちのヴィラに向かう。何と奮発して水上リゾートへ。

そうか、水上だけに浮いてるのか。


私はこの時点でめっちゃテンション上がり放題である。昨日までのトラベルブルーはどこへやら。



浅瀬の海に突き出た桟橋の途中に私たちのヴィラがあった。


キングベッドがヴィラの真ん中にドーン、その正面には巨大な全面窓がドドーン!そのまた向こうにモルディブの海が…ここまでの道のりの長さを完全に忘れさせる絶景ブルーがドドドドーン!と広がっていた。


ヴィラの前には大きなウッドデッキがあって、その先には海と空のコバルトブルーからサックスブルーのグラデーション、眼下には透き通った海の底にサンゴ礁…私たちはしばし言葉を失った。


「これは…すごいわね」


「ううむ。高いだけのことは」


私たちはこの光景をしばらく黙って眺め、それから後ろを振り返ってフカフカのキングベッドにダイブしたのだった。


ホントに天国だ。妻の予言通り私は昇天した。








<Tips➂>「オールインクルーシブ」


ようやく私たちは最初の目的地に辿り着いたわけですが、ここモルディブは一島一リゾート、つまりひとつの島にひとつのリゾートホテルがあって、それぞれサービスを提供しているわけです。だからいったん島に入ってしまえば、後はこのホテルで飲んだり食べたり、そしてサービスもここで受ける以外ないのですね。で、ほとんどのホテルが「オールインクルーシブ」というサービスを実施しています。ホテルの宿泊代にほぼすべての飲食代とサービス料が含まれているということです。島にいる間はどれだけ飲んで食べてもタダ、っていうか料金はあらかじめ払ってあるわけだからタダじゃあないのですが。


私たちのような高齢の夫婦にはそれほどありがたいというサービスではありません。だって食べ放題とかで元が取れるほど絶対に量が食べられないのはわかりきっていますから。ケチ臭いのは承知ですが、日本でも滅多に食べ放題だのフリードリンクだのバイキングだのビュッフェだの…には参加しません。


…気持ちの問題ですね。ここにいる間は食事や飲酒については好きなだけ好きな時間に‥という解放感を求めるのならいいと思います。

でもねえ、一食2万円超ですよ。どう思います?


何でそれがわかったのかっていうと、「フルボード」と「ハーフボード」っていうサービスを見つけたからです。フルボードの方は文字通りホントのオールインクルーシブ、いくらでもどうぞってやつです。ハーフボードは一日のうち2食(朝食と夕食)付のプランです。その差が1万円ほどだったのですね。

*これはもちろん、今回の場合。プランは季節やホテルでいろいろのようです。


結果的には(私たちにとっては)正解だったと思われます。

朝10時までの朝食をギリギリに食べに行き、しっかり量を取ります。そして日本から持参したスナックを食べながらシュノーケリングしたり、読書して過ごしました。夕食は長い時間をかけて、ゆっくり野菜と肉を中心にたっぷり食べます。これで2万円節約できたことになり笑


まあ、せっかくのラグジュアリーなホテルライフ、世知辛いことは考えず優雅に過ごしたいという人も多いのでしょうね。









読んでいただき、ありがとうございました。

次回はモルディブでのホテルライフです。身の丈に合わない私たちのいじましい姿を笑っていただければ。

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― 新着の感想 ―
アロハにカンカン帽はそりゃ怪しいですよねww普通ならスルーで正解だと思います。 でもその人が「送迎のヒト」だったんですねw「So ゲイのヒト」だったらどうしましょう(ToT) なんだかんだで聖子ちゃ…
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