文通しようぜ
「突然だが文通しない?」
角のとがったデビルの少女が言った。
「脳内文通ならいいわよ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「早速、新出単語。ニューセンテンスだな」
「ここ、テストにでるわよ」
「出ねーよ。なんのテストだ」
「エルフ語検定」
「絶対社会で役立たないだろ」
「資格もってりゃ即戦力よ」
「即戦力外通告だろ。それより、脳内文通とはなんだ?」
「テレパシー的なやつでなんかする」
「もうフワフワ。何もわからん」
「ようするに紙のいらない文通よ」
「なにをようした? 文通は紙でやるものだろ」
「それは古い奴の思考よ。この先の時代では淘汰されてしまうわね」
「言うじゃないか。じゃあ脳内文通やってみるか」
「いいわよ。せーの」
「いやまて、なにそれ」
「何よ?」
「せーのってなんだよ。リズムゲームの導入か?」
「まあ、リズムゲームみたいなもんね」
「どういうこと? 文通って言っただろ。なんでゲーム始める」
「文通もゲームと同じ。駆け引きが熱いじゃない?」
「聞いたことないぞ。文通でなんで互いの腹を探り合わにゃならんのだ」
「弱みを見せたら最後ね」
「お前の中の文通の定義からしておかしいな。文通はもっと他愛のない近況とかを伝え合うものだろ」
「じゃあ文通なんていらないわね。ここでいつも話してるし」
「言っちゃったよ。まあ、考えてみればわざわざ紙で伝えるようなことはないか」
「……」
「ん? 何」
「いや脳内で『無駄な時間とらせやがって』って言った」
「脳内はもういいよ」
二人は喫茶店をあとにした。




